高世仁の「諸悪莫作」日記

2018-07-14 人権批判を金で黙らせる中国

 日曜放送の「情熱大陸」の納品をきのう済ませたので、土曜のきょうは一日自然の中ですごした。

 朝10時から「玉川上水で変形菌を探そう!」というイベントに参加して、小平中央公園で地面をはいつくばって葉っぱや枯れ枝をひっくり返して「変形菌」さがし。変形菌とは「変形体と呼ばれる栄養体が移動しつつ微生物などを摂食する“動物的”性質を持ちながら、小型の子実体を形成し、胞子により繁殖するといった植物的(あるいは菌類的)性質を併せ持つ生物」(wikipedia)で、南方熊楠の研究で知られる。このイベント、探検家の関野吉晴さんがやっている「地球永住計画」の主催で、私もよく知らないで参加したのだが、カビやキノコと見分けがつかず、探すのに苦労した。https://kokucheese.com/event/index/473318/

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 でも、ヤブのなかに分け入ると、でかいガマガエルに遭遇したり、羽化してこれから飛び立とうとするヒグラシを見たりとおもしろい時間をすごすことができた。変形菌の世界は奥深く、またあらためて書こうと思う。

 朝からとても暑く、汗まみれになったので、いったん帰宅してシャワーを浴び、夕方、かみさんとあきる野市「横沢入り」へ。20年以上欠かしたことがないホタル狩りだ。いつもは6月末に行くのだが、今年はなかなか都合がつかず、これまでで一番遅くなってしまった。いつものポイントに行くと、誰もいない。例年なら、土曜の夜は親子連れなどでにぎわうのだが。やはり、遅すぎてホタルは見られないか・・。

 しかし、心配は無用だった。ホタルの点滅する光のなかで1時間ほどもの思いに浸った。この1年で亡くなった人たちを偲びながら。ホタル狩りは、私にとって、お正月より大きな1年の節目である。また、来年来れるだろうか。

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 中国最先端技術の導入のスピードの速さはそれなりに知っていたつもりだったが、先日、中国のネット通販の記事を読んでうなってしまった。

 北京の北西部にある、中国有数の名門大学・中国人民大学。構内を4輪の付いた箱がのろのろと進む。中国のネット通販サイト「京東商城(JD.com)」を運営する中国最大の小売事業者、京東集団の無人配達車だ。

 GPSやセンサーを頼りに決められた経路を進む。人が近づくと衝突を避けるため止まる。学生寮の前に着くと、商品を注文した人のスマートフォンに通知が行った。寮から出てきた学生が、スマホに表示されたコードを車の側面にある液晶表示に打ち込むと、箱の扉が開き、注文した荷物が出てきた。「とても便利」と学生は満足げだ。

 京東集団は、これまで人力だった学内の集配拠点から顧客への配達無人化している。現場で30分待機し、再配達も可能だ。6月からは、大学の外でも無人車による配達を始めた。

 物流自動化を急速に進め、商品の配送スピードを速めて、コストを引き下げている。陝西省などの人が少ない地域では、集配拠点までの配送ドローンを使うことで高速化と効率化を実現。現在、荷物を10トンまで積める新機種を開発中だ。自動運転トラックの研究も進めている。

 上海にある同社の倉庫「アジア1号」では、四角いロボットが床をはい回る。商品を積んだ棚の下に入り、持ち上げては検品する社員のもとに運ぶ。出荷前の荷物を一時的に集める一角は完全に無人だ。・・・》(朝日新聞7月4日朝刊)https://www.asahi.com/articles/ASL7264WML72UHBI01X.html

 まるでSFの世界のようだ。この京東、1998年わずか4平方メートルの店舗で創業されたベンチャー企業で、14年には米NASDAQ上場。いまでは「中国アマゾン」と呼ばれ、巨人アリババ」と肩を並べるまでになった。

 遠くない将来、経済規模でも米国を抜き、外交的・軍事的にも超大国として圧倒的な影響力を持つようになるだろう。

 その記事の紙面をめくると、そこには「中国人権派弁護士への圧力巧妙化 拘束よりも登録抹消」の見出しの記事がある。2015年7月9日から2カ月間で、中国各地で人権弁護士人権活動家など約320人がたて続けて勾留・逮捕された「709事件」から3年になる。弁護士らへの圧力は続いているが、当局はより巧妙な手法を使い始めているという内容の記事だ。

 中国については、現代化で群を抜く勢いをもつという面と、人権の厳しい抑圧が続く、いやむしろ抑圧が厳しさを増している面との両方に目配りをすべきだろう。

 中国はその経済力を背景に、途上国ばかりか先進国の政策決定にも影響を拡大している。例えば、ギリシアでは経済危機につけこんで中国企業ピレウス港という拠点港湾を買い取った。去年6月、EUが中国人権侵害批判する声明を出そうとしたとき、ギリシャが反対したため、初めて見送られたという「事件」があった。http://news.livedoor.com/article/detail/13266575/

 中国ギリシャだけでなく、欧州各国の企業や資産を次々と買収しており、先端技術を失うこととともに中国人権問題への批判ができなくなることを憂うる声が出ている。

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 ノーベル平和賞を受賞した中国民主活動家で作家の劉暁波氏(去年7月死亡)の妻、劉霞氏が、8年間に及ぶ実質的な軟禁状態を解かれて出国し、10日ドイツに到着したというニュースがあった。何の罪にも問われていない劉霞氏を解放するよう求める声が国際的にも高まっていたが、ドイツ政府が粘り強く交渉して今回の出国がもたらされた。

 一時期、劉霞氏が日本に来る希望をもっていたと報じられたこともあった。日本政府は劉霞氏の処遇についてどんな対応をしてきたのか。

 今回のカンボジアでの選挙に見られるように、中国という存在が世界の人権状況に大きな影を投じる時代になったことを踏まえ、中国人権問題に対しては主要国が原則的な姿勢をくずさないで批判していくことが、いっそう重要になっていると思う。ドイツに学びたい。

2018-07-09 天災が人災の時代

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 京都在住の古い友人が「うちの近くで、おもしろいことが起きているんだけど、興味ある?」と連絡してきた。もちろん、あるある。彼は自作の映画を上映するために8日(日)に東京に来るというので、うちのオフィスの近くの明治大学で待ち合わせ。

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 大学がオシャレになって、ちょっと見るとホテルか高級マンションのようだ。1階に喫茶店がある。先に着いたので、木陰のテラス席でコーヒーを飲んでいたら、いきなりスズメがテーブルに降り立ってしばらく遊んでいった。スズメに好かれたのか。うれしいね。

友人の話というのは、日本と中国との関係にかかわる実に興味深いもので、番組にしたいね、と言って別れる。近々に彼が企画書を書いてくれることになった。

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 西日本を襲った記録的豪雨による死者はきょうまでに126人、80人以上の安否が分かっておらず、平成に入って最悪の豪雨災害となった。気象庁は「平成30年7月豪雨」と命名した。亡くなった方のご冥福をお祈りします。

 天災人災か」という議論があるが、今起きている事態のおおもとは温暖化による気候変動、つまり人間由来なのだから、天災人災だということになる。温暖化なんてフェイクニュースだと言ったとされるトランプ大統領だが、そのトランプ政権でさえ、去年11月、「地球温暖化は進行しており人類の活動以外の原因は見当たらない」と結論付ける全米気候評価報告書を公表している。人間活動由来の温暖化気候変動を否定するたくさんの議論が出て来たが、ほぼ決着はついたと思う。「持続可能性」は今の時代のもっとも重要な目標でありスローガン

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 きのう8日の東京新聞社説に、我々が取材した夜間中学が取り上げられていた。http://d.hatena.ne.jp/takase22/20171224少しでも多くの人に夜間中学に関心をもってほしい。長いが、以下、紹介する。

「夜間中学」が教えること       2018年7月8日

 小中学校で勉強する機会を逸した人々が、自分の学びを取り戻しています。公立中学校の夜間学級。希望を編み直す自由がそこには広がっています。

 猛暑が和らいだ夕刻。東京葛飾区双葉中学校に、かばんを抱えたふだん着姿の人々が集まりだしました。夜間学級の生徒たち。

 四十二人がめいめいの習熟度に応じ、必修教科を学んだり、日本語を習ったりします。五時半から九時まで給食を挟んで四時限。授業はもちろん、無償。多世代、多国籍のグローバル社会です。

◆学び場はグローバル

 ネパール人のカトリ・ヒマルさん(19)は日本語を学ぶ。インド料理店のコックの職を得た父と母とで、二年前に来日しました。

 故郷は山岳地帯の農村。交通の便は悪い。歩いて片道二時間の道のりでは通学できず、中学相当で諦めてしまった。インターネットを使い、独学したそうです。

 ヒマラヤ山脈を擁するネパールは、豊かな水資源に恵まれ、水力発電が主流です。けれども、基盤整備が立ち遅れ、電力を賄えない地域が農村部を中心に広がる。

 「日本の工業高校電気工学を勉強し、母国水力発電の発展に貢献できればうれしい」。将来を真っすぐに見据えればこそ、学びに貪欲になれるのかもしれない。

 十一月に七十九歳になる在日朝鮮人の崔元一(チェウォンイル)さんは、八つ下の妻朴榮喜(パクヨンヒ)さんと机を並べています。

 戦時中に疎開した山形の小学校で四年余。帰京して朝鮮初級学校に入り、言葉に難儀した。朝鮮戦争が勃発し、今度は日本人の中学校で二年間。民族教育の機運が高まり、また朝鮮中高級学校へ移ったが、途中で学資が尽きました。

 九人きょうだいの長男。幼少期から家業を手伝い、江戸川の土手の草を刈り、牧場主に売った。三輪トラックを運転し、荷物を運んだ。苦労を重ねた人生です。

◆後押しする法律施行

 母は日本人。政治に翻弄(ほんろう)されたような学校生活でした。「日本と朝鮮の関係が頭を離れない。私は板挟み。歴史の産物です。古代史を学んで本を正し、融和をめざしたい」。欠けた自我のかけらを探すかのごとく学び直す日々です。

 通称「夜間中学」。明治の近代学校制度の創始と共に歴史を刻んできました。昭和の戦争期に消えたが、戦後間もなく復活した。

 困窮家庭は多く、子どもは貴重な労働力でした。昼間に家事や仕事を任され、通学できない子や戦災孤児に学びをと、熱心な先生が開いた。一九五五年、全国でおよそ九十校に五千人が学んだとも。

 国は一貫して背を向けた。学校制度の根幹を脅かすと心配したのです。抗(あらが)うように増えたのは、草の根ボランティアらの自主夜間中学や識字講座。残念ながら、中学卒業扱いにはなりません。

 枠組みに収まらない不登校生や実質的に学べなかった形式卒業者、国際結婚や就労に伴い来日した外国人らの「学びたい」の声は多く、強い。人権としての学ぶ権利に応えるのは国の務めです。

 教員免許を持つ先生が、学習指導要領に則して教える公立夜間中学は八都府県に三十一校。生徒は千七百人程度にとどまります。

 ようやく二年前、後押しする教育機会確保法が施行された。埼玉県川口市千葉県松戸市が来春の開校をめざし、生徒募集に乗り出しました。学ぶ意味さえ分からないまま成績ばかりを競い合う教育に風穴を開けるかもしれません。

 九三年に公開された山田洋次監督の映画「学校」は、夜間中学を描き、世に存在を知らしめた。

 五十すぎに読み書き、計算を学び始めたイノさんが急死する。学級担任の黒井先生と同級生たちは冥福を祈りつつ語り合います。

 イノさんは幸せだったのか。幸福とはどういうことか。議論迷走の末、元不登校生のえり子が問いかける。「だから、それを分かるために勉強するんじゃないの。それが勉強じゃないの」

 双葉中の夜間学級に通う新谷藍吾さん(16)は、二年次からやり直しています。昼間の中学では二年から病欠を繰り返し、授業について行けないまま卒業を迎えた。

 前の中学では、テストの答案用紙に順位が書き込まれた。夜間の先生は「これからどうするかを考えるテスト」と言う。質問に丁寧に答えてくれ、勉強が楽しい。

◆幸福追求のよすがに

 昼間の中学時代には周りの目が気になり、不登校になったという三年の女子生徒(16)。希望の進学先を通信制から定時制の高校に切り替えた。「友だちをつくりたい」と明るく語る。大切にされているという思いが伝わります。

 学校とはなにか。教育とはどうあるべきか。そんな難しい問いに、夜間中学は自ら答えを示しているのかもしれません。

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 社説に出ている「教育機会確保法」は多くの人が制定に向けて努力した結果できたもので、高く評価されるべき法律だが、この成立には、あの前川喜平前文部科学省次官もかかわっていた。前川氏はきょうの朝日新聞夕刊にこう書いている。

 《すべての人に教育の機会を保障することは、教育行政第一の目標だ。私は夜間中学を支援したいと常に思っていた。この法律は、これまで一貫して冷淡だった国に方針転換を求めるものだった。私は現職中から夜間中学関係者からの要望には極力応えることにしていた。》

 「教育機会確保法」ができて1か月後、前川氏は「天下り問題」の責任を取って辞任することになる。彼はいま、福島神奈川自主夜間中学(公立ではない)でボランティアで教えている。立派な人である。今の政権はこういう素晴らしい官僚には居場所がないのか。

2018-06-16 こだまでしょうか

 アメリカ米韓軍事演習をやめるというニュースが波紋を呼んでいる。

 米朝首脳会談の直後、トランプ大統領記者会見でこんなことを言っていた。

 「大統領選挙戦でも言ったように、在韓米軍を撤退させたい。米韓軍事演習は非常に金がかかる。やめれば莫大な金額を節約できる。韓国も負担しているが100%ではない。今後の交渉課題だ。グアムから6時間半もかけて爆撃機を飛ばして演習するのは恐ろしく金がかかる。こんなのはやりたくない。」「北朝鮮の非核化のコストは、韓国と日本が出す用意があるはずだ。北朝鮮に近いのだから。」

https://www.whitehouse.gov/briefings-statements/press-conference-president-trump/

 トランプ氏の「アメリカファースト」というのは、目先の損得勘定中心のきわめて狭い「国益」のとらえ方にもとづくことがよく分かる。もともと、アメリカからはるか離れた朝鮮半島情勢には関心がない。核搭載ミサイルアメリカに飛んでこなければそれでいい。北朝鮮の非核化も、近い国がコストの面倒を見るべきでアメリカは関係ないと言っているのだ。

 日本の進むべき道を、こういう政権に「お任せ」するのが危険であることはいうまでもない。

 先週末、周防大島で知り合いになった人のFBを見ていて笑ってしまった。

「全ての選択肢はテーブルの上」といえば「全ての選択肢はテーブルの上」という

米朝会談の中止」を言えば「米朝会談の中止」という

米朝会談を行う」と言えば「米朝会談を行う」という

「最大限の圧力という言葉は使いたくない」と言えば「最大限の圧力という言葉は使いたくない」という。・・・

こだまでしょうか

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 先週のこと。カナダ先進7カ国首脳会議(G7サミット)で、日本と米国だけが、深刻化する海のプラスチックごみを減らすための数値目標を盛り込んだ文書署名を拒否した。環境団体からは「恥ずべきことだ」などと批判が相次いでいる。(共同)

http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye3392536.html

 また、こだまが聞こえる。

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(年間700万トンもが投棄されているというプラスチックごみは早急な対策が求められる)

 さて、対北朝鮮では、米朝会談に押される形で、いよいよ日本が独自に対応しなければならないところにきている。拉致被害者家族はじめ期待が高まっている。しかし、

 ラヂオプレスによれば、北朝鮮の国営ラジオ平壌放送は15日夜、日本人拉致問題に触れて、「日本はすでに解決された拉致問題を引き続き持ち出し、自らの利益を得ようと画策した」と伝えた。日本政府の対応について「無謀な北朝鮮強硬政策にしがみついている」とも主張した。》朝日新聞

 今後の具体的な交渉には、根本的な困難がいくつも待ち受けている。

(つづく)

2018-06-05 組織的じゃないのに処分20人

f:id:takase22:20180603143406j:image:w280:right 週末、武蔵国分寺公園で「てのわ市」が開催された。青空に恵まれ、子どもを連れた家族が草の上に寝転んだり、思い思いに和やかな時間を楽しんでいた。行政主導でやるマルシェもあるのだが、これは民間主導で今年はじめて開かれたもの。全然雰囲気が違う。来年もぜひやってほしい。

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組織的じゃないのに処分20人 (長崎県 張本雅文;朝日川柳5日より)

 森友文書の改ざんで20人も処分しといて、「組織的ではない」(麻生財務相)というのだから、常識が通じない。

 「首相答弁契機に改ざん 森友文書、財務省報告」(4日、中日新聞)

 「財務省「政権との関係でデメリット」 共産党が文書公表」(5日、朝日新聞

 次々に出て来る事実は、誰もが想像していたシナリオ、つまり安倍夫妻が「起点」で森友の事態が動いていったことを裏付けている。それでも蛙のツラになんとかで、内閣が責任をとろうとしない。

 森友文書の改ざんの原因を問われると「それが分かりゃ苦労せんのですよ」(麻生財務相)。いやはや。

 東京新聞・望月記者「300ヶ所の改ざんが罪に問われないとなると、あらゆる公文書で偽造や変造が起こり、国民が検証できなくなる。今回の様な事案が罪に問える様な公文書管理法が必要だという認識は?」

 菅官房長官「いずれにしろ、検察の判断」

 もう、常識が通じないだけでなく、日本語が通じない状況である。こうなると野党側ももっと「毒」をもった言動で追及してもよいのでは。

 山本太郎議員「総理、『責任を感じる、丁寧に説明する、膿を出しきる』と言葉だけ踊らせて貴方は何にもやってない。更に文書が出てきた。谷さんが女帝、昭惠様に粉骨砕身つくしてる事が解る文書。昭惠様の命を受け、昭惠様のお友達の為に財務省に問い合わせた」

https://twitter.com/umekichkun/status/1003275677070602240

 よくまあ、「女帝、昭恵」「昭惠様」と言ったものだ。私はこのブログで以前、山本太郎議員を批判したが、見直した。このくらいの激しさがないと。

 山本氏については、もう一つエピソードがある、私も参加した上野公園の集会「主権者が政治を変える!さくら祭り」(http://d.hatena.ne.jp/takase22/20180405)で、市民団体が昭恵氏を刑事告発する準備をしていたのだが、それを山本太郎議員がわざわざ集会にまで来てやめさせた。

 「(刑事告発して昭恵夫人に)逃げ道を与えてしまったら、最悪のパターン。市民がもっと賢くならなければならない」。山本議員はステージから呼びかけたのだ。というのは、刑事告発すれば、昭恵夫人側は証人喚問を拒否する口実に刑事告発を持ち出してくる。かりに証人喚問に応じたとしても、刑事告発を理由に証言拒否で押し通すことは想像に難くない。山本議員がそれをやめさせようと市民団体を説得したのだった。

 今後の展開を見据えて、市民団体にきちんと説得する行動力を見て、彼に対する以前の評価を変えたのだった。今後もいてほしい議員である。

2018-06-03 五感をフル出動させた人間関係

 この週末、多摩地区の古墳をいくつか自転車で巡ってきた。古墳といえば西日本が本場だが、実は多摩川に沿っても古墳が多く、東西にベルト状に密集している。4世紀末には下流域の大田区や世田谷区で前方後円墳や円墳が造られ、5世紀末から6世紀になるとより上流の府中市周辺にも小さな円墳が造られてくる。浸食作用でできた崖線(ハケと呼ばれる)には湧水もあって暮らしやすかっただろうと想像する。

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 立派に復元された「武蔵府中熊野神社古墳」。7世紀中頃で、この地域では末期のもの。珍しい上円下方墳(上が丸くて下は四角)。そばに展示館や石室の模型もあって勉強になる。

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 「高倉塚古墳」。住宅に取り囲まれて中庭みたいだ。6世紀前半のものと推定されている。

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 「御嶽塚古墳」の頂上。ここは西府(にしふ)駅前の公園の遊び場になっている。子どもが走り回っていて心和む古墳だ。

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 「石塚古墳」。地下レーダー調査で1993年に古墳と確認されたという。住宅や道路でだいぶ面積が削り取られ、かろうじて古墳と分かる。

 ほとんどの古墳は、その上に建物が建ったり、畑になったりしていて、見た目に古墳と分かるのはごく少数。それでも3時間ほどで9つをめぐった。1500年前の人びとが何を考えて暮らしていたのかを想像しながら、いい時間を過ごした。

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 「孤食」の話のつづき。

 山極寿一さんによると―人間は類人猿の対面コミュニケーションを継承しながら、相手と対面し見つめ合って「共感力」を高め、安心を得てきた。人間だけ白目があるのは、視線のわずかな動きをとらえ、相手の気持ちをよりつかめるように進化した結果だ。脳の大きさは組織する集団の人数に比例し、集団の構成人数が多いほど高まる社会的複雑性に脳が対応した。現代人と同じ脳の大きさになったのが60万年前。言葉を得たのは7万年前だから、言葉なしでも信頼関係を構築できたのだった。

 現代はどうなっているかについて、山極さんはこうも言っている。

 《直近では、人々はソーシャルメディアを使い、対面不要な仮想コミュニティを生み出しました。人間の歴史の中にない集団のつくり方です。嗜好や時間に応じ、出入り自由なサイバー空間で「いいね!」と言い合い、安心しあう。現実世界であまりにもコミュニティと切り離された不安を心理的に補う補償作用として、自己表現しているのかもしれません。でも、その集団は、150人の信頼空間より大方は小さく、いつ雲散霧消するかわからない。若者はますます、不安になっています。

 クリスマスを一人で過ごす若者の中に「一生懸命働いた自分へのご褒美」に、自分に高級レストランを予約する人もいると聞いて考え込んでしまいます。人間は他人から規定される存在です。褒められることで安心するのであって、自分で自分を褒めるという精神構造をずっと持たなかった。それがいま、少なからぬ人々の共感を呼んでいる。やはり人間関係が基礎部分から崩れていると感じます。

 土地とも人とも切り離され、社会の中で個人が孤立している時代です。人類はどうやって安心を得たのか、生身の体に戻って確かめるために、霊長類学が必要とされているのでしょう。》

 《人々が信頼をつむぎ、安心を得るために必要なことはただ一つ。ともに時間を過ごすことです。その時間は「目的的」であってはなりません。

 目的的とは「価値を得られるように過ごす」こと。いまは短時間でより多く価値を増やすことが求められますが、安心を得るのに必要なのは、見返りを求めず、ただともに過ごすこと。互いに相手に時間を捧げる。赤ちゃんに対するお母さんの時間がよい例です。》

 《グローバル化で社会が均一化すると、逆に人々の価値観は多様化する方向に向かいます。個人が複数の価値観を備え、自分が属する複数の集団でそれぞれのアイデンティティーを持つようになります。そうした時代には、五感をフル出動させた人間関係のつくり方がさらに重要になるでしょう。》朝日新聞2017年1月1日「私たちはどこにいるのか」より)

 五感をフル出動させた人間関係とは?これから考えてみたいテーマである。