高世仁の「諸悪莫作」日記

2018-11-12 アメリカ―赤と青の分断

f:id:takase22:20181109150242j:image:w280:left 9日、安田純平さんが日本外国特派員協会で会見にのぞんだ

https://news.nifty.com/article/domestic/government/12136-121839/

 安田さんからは、ごく短い挨拶があっただけですぐ質疑に入った。最初の質問が、「なぜ謝罪するのか。本当に謝罪をする必要があると思っているのか。歓迎されるべきではないか」というもの。おお、いきなり来たか。

 私の向かいの席にいたジャーナリスト江川紹子さんと目が合い、「外国人記者はやっぱり違うね」と笑った。

 最後の質問も厳しかった。「イラクで拘束されたフランス人(オブナさん)が解放された2004年12月、シラク大統領バカンスを切り上げて、ラファラン首相と2人で空港で歓迎した。安田さんの歓迎されたエピソードを聞かせてほしい」。

 これ、安田さんに言わせるのか・・安田さんは言葉を選びつつ、苦しげに答えていた。ごくろうさまです。

 これで2回の会見、連日の朝から深夜までの取材という嵐のような時期がそろそろ一段落した感じだ。これから安田さんは、これまでの自分の仕事、特に3年4ヵ月の拘束と本格的に向き合うことになるのではないだろうか。

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 米国では「赤と青の分断」が深刻になっているという。

 《「いま米国保守リベラルが一つ屋根の下で暮らすのは泣きたくなるほどむずかしい」。数年前、サンフランシスコ郊外に住む夫婦からそんな嘆きを聞いた。夫は警察官で筋金入りの保守派。妻は反戦が信条のリベラルな作家である。外食先で食べるのは、妻が有機野菜で夫はステーキ。休日に妻が美術館行きを提案すると、夫は釣りに誘う。犬をしつけるのに、しゃがんで全身をなでる妻と、どやしつけて服従させる夫。リベラル保守とでは暮らしの趣向がかくも異なるものかと驚いた。(略)かつては互いに寛容さもあったのに、近年は嫌悪の情が前面に。ついに憎悪にまで至ったというのが米中間選挙を見ての偽らざる感想である。》

 分断が深刻になったのは、トランプが憎悪を煽ったことが大きい。トランプ型のリーダーがブラジルなど他の国にも出現しているようで、これから世界は紛争が多発することになるのではと心配だ。

 ところで、この保守リベラルの違いだが、以前、このブログで、右翼左翼の「統合」がいかにして可能か、などという問題を書いていたときに触れたことがある。

アメリカでは、生活スタイルや外見で支持政党がすぐ分かると言われる。

例えば、典型的な共和党支持者は;愛車はハマーやポルシェカントリー音楽を聞き、スポーツはロデオ、カーレース、男性はスーツに整えた短髪、女性は量感たっぷりの髪形、好物はフライドチキン、バーベキュー。

一方、民主党支持者は;プリウスボルボに乗り、音楽はジャズ、ラップ、好きなスポーツはテニスやサッカー、男性はカジュアル系の服に長髪で髭を生やし、女性はさらさら風の髪で、寿司や菜食を好んで食べる。》

http://d.hatena.ne.jp/takase22/20110121

 ちょっと前のスタイルだが、つまり、保守リベラルは、単に政治という限られた分野の好みの問題ではなく、人格の基本的なレベルにまで根をもつということではないか。

 早慶戦のライバル感覚などとは全く異なる。

 7年前は、ここまで書いて、難しいところに差し掛かって「つづく」。そのまま(いつものように)ほったらかしにしたのだが、右と左の問題はもうちょっと追及してみたい。

(つづく)

2018-10-27 安田純平さんを温かく迎えよう

 安田純平さんが帰国便の機内で語ったところによると、犯行グループによる虐待は私が想像したよりすさまじかったようだ。知れば知るほどゾッとする。

 《「16年からは、ほぼ毎日、『解放する』と言われた。その代わり、『これをやったら帰さない』という不可能なことを要求された。高さ1・5メートル、幅1メートルの場所で、24時間、身動きしても、何一つ音を立ててもいけないと言われた。それを8カ月やらされた」

 部屋の外で監視され、要求された行為ができないと、自身の独房の前に他の収容者が呼ばれて殴りつけられ、その様子を見せつけられたという。

 「頭を洗ってはいけないというルールが設定され、服も洗えない。指を動かして関節が鳴ってもダメ。歯磨きもダメ。頭も体も洗っていないから、かゆくてかくと音が鳴る。鼻息も、指が鳴っても、寝ている間に体が動いてもダメ」

 安田さんは、犯行グループのメンバーが「ゲーム」としてこうした要求を出していたと考えている。

 「毎日、今日こそ帰りたいから頑張って身動きしないようにしようとしても、うたた寝してダメだったりした。24時間体が動くことがないよう、(食事に伴う身動きを避ける目的で)20日間、絶食した。骨と皮みたいな感じになって、吐き気がすごくなった。これ以上続けたら死ぬという状態になり、他の施設に移った」》 

 安田さんが7月31日公開された動画で、涙目で「私の名前はウマル。韓国人です」言ったことが大きな話題になった。なぜなのか、安田さんがこう言っている。

《「自分の本名や日本人であることは言うなと要求されていた」。

「他の囚人(監禁被害者)が、釈放された後に『あそこにニュースで出ている人質の日本人がいる』と言われたら、私の監禁場所が世間にばれて(犯行グループが)攻撃されるかもしれない」と説明。そのため、「『韓国人だと言え』と言われた」といい、従ったという。》(朝日)

 私の謎解きはこうだった。

 《「助けてください」と言わされているが、それは私の真意ではない、日本のみなさんはこの映像を相手にしないように、というのが安田さんのメッセージだったのではないか》

http://d.hatena.ne.jp/takase22/20180810

 完全に「はずれ」!だったことが判明したのだが、拘束中の「地獄」の中でも、命乞いや身代金の支払いなどはしないようにと妻に伝えていたことがこの間の報道ではっきりした。

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 複数のテレビ番組で、拘束間もない頃に書かれた安田さんのローマ字のメモを紹介していた。これは、交渉代理人を自称する人物Nが、安田さんの妻に、二人しか知らない質問をさせ、それに純平さんが答えたもの。本人が生存していることを示し、交渉ルートが本物であることを証明する、こうした生存証明は誘拐事件ではよくある。

 好きな焼酎の銘柄の質問には、Asahi(朝日)という実在のメーカーに続いて, Harochaakan(はろちゃあかん),Danko6446(断固無視しろ)と書いてある。「身代金は払うな、断固無視しろ」というのだ。

 韓国人です」の謎解き自体ははずれたが、拘束中の安田さんの厳しすぎる「自己責任」感については「当たり」だったわけだ。

 帰国したあとも、「助けてほしくないなら、ほっておけばよかったのに」「勝手に危ないところに行ったのだから、保釈金を負担すべき」など安田さんへのバッシングが止まない。

 バッシングを見越して、安田さんを温かく迎えてほしいと思い、共同通信のオピニオン欄に書いた一文が25日夜に配信された。翌26日の地方紙などの朝刊に掲載されたようで、山形新聞も載せてくれた。私なりのバッシングする風潮に対する小さな闘いである。

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 《敬意持ち、出迎えを  紛争地の実相伝える》

 フリージャーナリスト安田純平氏(44)が帰国した。戦争のリアリティー(実相)が遠ざかり、平和のありがたみも希薄化する日本の現状に危機感を抱き、アルバイトをしながら戦時下のイラクシリア取材を続けてきた。功名心にはやったり、大言壮語したりする人ではない。敬意を持ち、温かく迎えたい。

 私はテレビ制作会社の代表として、フリージャ―ナリストの取材の成果を番組にして、テレビ局に売り込んだりしている。安田氏はそうした記者の一人だった。

 力量は傑出している。新聞記者出身だけに取材手法をわきまえ、事実確認もしっかりしている。文章もうまいし、映像取材にも非凡な才能を見せた。

 何より彼は、志の高い人だ。第2次大戦が73年前に終わり、戦争の記憶が風化する中、戦場の悲惨さ、戦地で苦しむ人々の声を届けるために紛争地に足を運んだ。

 2004年4月、戦時下のイラクで武装集団に拉致された。ボランティア高遠菜穂子さんら3人が拉致された後だった。

 今回のシリアでの拘束はイラクに次いで2回目ということになる。

 15年6月、トルコ取材していた安田氏から「シリアに入る方法を探っている」という連絡を受けた。その後、彼は国境を越えて拘束された。反省や教訓はもちろんあるだろう。

 だが、完璧を目指しても不測の事態が起こるのが戦地だ。身代金を得るため、記者の誘拐をビジネスにしている組織もある。協力者のコーディネーターらが金で寝返ることだってあり得る。

 特にフリーの場合、安全面の弱さを抱える。米国の大マスコミなら、現地事情に精通した人物を助手として高額で雇ったり、防弾車を用意したりできるが、そんなことは望みようもない。

 では、フリージャーナリストは危険な場所には行ってはならないということだろうか。答えは「否」である。尊敬する友人のフリージャーナリストが私にこう語ったことがある。

 母国を逃れた難民取材した。自国の政府に相手にされず、国連などの支援も及んでいなかった。キャンプに足を踏み入れると、大歓迎された。『よく来てくれた』『私たちのことを外の世界に伝えてほしい』。口々に訴えられた」

 2回目の拘束ということで、安田氏はバッシングされやすい状況にある。フリージャーナリスト後藤健二さんが15年1月、過激派組織「イスラム国」(IS)に殺害された後、当時の高村正彦自民党総裁は「政府の警告にもかかわらず、テロリストの支配地域に入った。真の勇気ではなく蛮勇」と批判した。

 お上の意向に反し、シリア入りした後藤氏への反感が見て取れる。しかし、オバマ米大統領は同時期「後藤氏は報道を通じ、勇敢にシリアの人々の苦しみを世界に伝えようとした」との声明を発表した。情報が民主主義を支えていることへの敬意が感じられる。

 人はそれぞれ伝えたい言葉を持っている。弱い立場にある人はなおさらだ。日本の大手マスコミが危険な取材に慎重を期す中、紛争地の人々の声に耳を傾け、伝えるのはフリージャーナリストの仕事だ。安田氏は紛れもなくその1人である。

ジャーナリスト テレビ制作会社ジン・ネット代表

高世仁山形県生まれ)

2018-10-19 今上天皇に学ぶ「滝田修」

f:id:takase22:20181020011520j:image:w280:right きのう、1冊の本が送られてきた。「謹呈」とある。

 たけもとのぶひろ『今上天皇の祈りに学ぶ』(明月堂書店)。おお、なつかしい。著者の竹本信弘とは、滝田修のペンネームで知られ、1969年「京大パルチザン」を結成、1971年の埼玉県朝霞駐屯地での自衛官殺害事件の共謀共同正犯として指名手配された。10年間逃亡の後、逮捕された、いわば過激派の教祖。「日本のゲバラ」とも呼ばれた。裁判では強盗致死の幇助で懲役5年の判決だった。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%AB%B9%E6%9C%AC%E4%BF%A1%E5%BC%98

 実は竹本さん、私のバンコク駐在時代、うちに滞在していたことがある。友人の紹介で会ってそのままうちで寝泊まりするようになったのだが、どうしてそうなったか、細かい事情は忘れてしまった。一緒にネオン街で呑んだり議論したりと、私も楽しかったが、竹本さんも居心地がよかったらしい。かみさんによると「1ヵ月くらいいたはず」だという。いつの間にか、私は竹本さんに「兄弟」と呼ばれるようになっていた。

 「初めて外国に出て、ものすごく勉強になっとるわ」と毎日いきいき暮らしていた。そして「むかしのわしを解体する作業をやっとるんや」とも言っていた。すでに出所直後に『滝田修解体』(世界文化社)を出していたが、その自己批判を徹底していくというのだった。

 それにしても今回いただいた本は、今上天皇に「学ぶ」というのだから驚いた。ぱらぱらめくると、天皇の言葉から戦後民主主義を読み解く趣旨のようだ。後日紹介したい。

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 サウジアラビア政府批判してきたジャマル・カショギ記者が、トルコにある総領事館で殺害された疑惑。なんとも恐ろしい話である。

 サウジとのビジネスで私的にも巨額の恩恵を受けているトランプ大統領は、「ならず者の殺害者」がやったなどと必死にサウジを擁護しようとするが、皇太子ら権力中枢の指図であることは間違いない。詳細も明らかになりつつある。

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《館内で何が起こったのか。鍵を握るのが、トルコ当局が入手したとされる館内の音声データだ。音声データを聞いたという地元紙イェニ・シャファクなどによると、入館直後に総領事の執務室に連れていかれ、男らに殴られた後、叫び声や暴れる音が響いたという。

 館内では怒号も飛んだ。

 「私をトラブルに巻き込むな。執務室の外でやれ」。総領事がどなると、「生きてサウジに帰りたければ黙れ!」。実行犯の男が大声で返した。法医学者の男が「私はこの仕事をするとき、音楽を聴くんだ。君たちも聴きなさい」と、体の切断を始めたという。犯行はわずか7分間だった。》(読売新聞より)

 この「音声データ」は、記者がつけていたアップル社の「アップルウオッチ」で音声が録音され、記者が婚約者に預けた自身のiPhoneや、ネット上のデータ保存サービスに送信されていたものだとトルコ紙は伝えている。

 ところで、この疑惑については、早くも14日に、イギリス、フランス、ドイツの外相が共同で、「今回の事件を極めて深刻に受け止めている。何が起きたのか信頼できる調査による真相究明を行ったうえで、責任者を処罰しなければならない」との声明を発表し、サウジ政府に真相究明を求めている。

 こういう人権にかかわる重大事件では、わが日本政府はいつも沈黙である。情けない。

 中国のウイグル族弾圧もしかり。中国当局がウイグル人ら100万人もの少数民族を拘束しているとの疑惑だ。10月4日、欧州議会は、「中国・新疆ウイグル自治区でウイグル族とカザフ族に対する大規模な強制収用が行われていること」に関する緊急議案を審議し、中国政府による宗教の自由に対する抑圧を非難すると同時に、被収容者の即時解放を求める決議を採択した。国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチは、国際社会が中国政府に制裁を科すべきだと主張している。日本政府は、中国に対して尖閣問題では抗議をする一方で、人権問題では何も言わない。日本政府自体が人権とは縁のない体質だから?

 上(米国)におもねり、弱きをくじき、身内をえこひいきして、息をするように嘘を吐く。政府が見せる姿勢は、その国民の精神形成にも影響する。その意味でも、もうこの政府は一日も早く取り換えたい。

2018-09-26 民族間の不均衡はなぜ生じたのか

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 ゴジカ。昼ごろ開いて1日でしぼむので「午時花」。東南アジア原産で日本には江戸時代に入ったという。

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 イヌサフラン。痛風持ちの私も世話になったコルヒチンという薬がとれる。しかし、猛毒で、2006年から2016年の間に誤食して6人が死亡している。ギョウジャニンニクと間違えやすいという。

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 トランプ大統領国連総会の一般討論演説がニュースになっている。そもそも30分も遅刻して、国連なんか重視していないぞとアピール。「(就任から)2年足らずで大半の歴代政権よりも多くのことをなし遂げた」と自慢げに演説を始めて失笑を買い、「米国米国人が統治する。グローバリズムを拒否し、愛国主義の精神を尊重する」とぶちあげた。

 地球温暖化対策の「パリ協定」、イラン核合意など多国間の枠組みに背を向け、国連人権理事会やユネスコから脱退するなど一国主義で勝手放題のトランプVS国際社会という構図を見せつけた。こういうのを見ると、やはり誰がリーダーになるかは大事だなと思う。日曜は沖縄知事選だが、台風で荒れ模様になる可能性もあるという。

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 わが国がナンバーワン、わが国民こそ最も偉大だというトランプ流「愛国主義」は他民族へのヘイトのベースになり国際協調を妨げる。この考え方は日本にもじわじわ浸透してきたように感じる。

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 そこでお勧めなのが、ジャレド・ダイアモンド『銃・病原菌・鉄』(草思社)だ。1998年度ピュリッツァー賞(一般ノンフィクション部門)受賞の名著である。

 この本の目的は、「世界のさまざまな民族が、それぞれに異なる歴史の経路をたどったのはなぜだろうか」という人類史最大の謎を解明することだ。「世界には、文字を持たず、単純な技術しか持たない狩猟採集民でありつづけた民族がいる一方で、農業を発達させ、さまざまな技術を開発し、文字を持つ文化を形成した民族もいる」。こうした歴史的な不均衡はなぜ生まれたのか。この大問題に、UCLAの医学部教授であるダイアモンド博士は、分子生物学から遺伝子学、考古学、人類学、言語学その他多様な分野の知見を駆使してダイナミックに迫っている。

 今から1万3千年前、最終氷河期が終わった時点では、人類は世界各地で似たり寄ったりの狩猟採集生活をしていたのだが、その後、各大陸で異なった歩みをたどる。その結果が、ユーラシア大陸系の民族や北米への移民の子孫たちが世界の富と権力の大部分を支配している今の国際秩序をもたらしている。

 支配する側、日本を含む「勝ち組」の人々は、歴史発展の差異は、人種や民族による生物学的な差異が生み出したと考えがちだ。つまりわが民族が生物学的に優秀だったからだ、と。

 ところがダイアモンド博士は、これを明確に否定し、「歴史は民族によって異なる経路をたどったが、それは居住環境の差異によるものであって、民族間の生物学的な差異によるものではない」と結論づける。その民族が優秀だったかどうかではなく、定住した場所によるというのである。

 近年、日本では中国や韓国を侮蔑するなど民族的な偏見を煽る言説がネット上であふれ、多くの出版物でも目に付く。トランプ大統領の演説にも触発されて、この本を紹介したくなった。

(つづく)

2018-09-23 節気はもう秋分

f:id:takase22:20180917124420j:image:w300:right 栗のイガが茶色になり割れ始めた。夕方暗くなるのが早くなったと思ったら、もう秋分ですか。昼と夜の長さが同じで、ここから夜が長くなり冬に近づいていく。

 きょう23日から初候「雷乃収声」(かみなり、すなわちこえをおさむ)で夏の雷が終わるということ。夕方の空にはイワシ雲が見えた。次候「蟄虫坏戸」(むし、かくれてとをふさぐ)が28日から。虫たちが冬籠りの準備をしはじめる。10月3日からは末候「水始涸」(みず、はじめてかるる)。稲刈りを終えた田んぼから水が抜かれるころになる。

 中秋の名月はあす24日だそうだ。晴れてほしい。

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 大坂なおみ選手、東レ・パンパシフィック・オープン決勝で敗れて準優勝。残念でした。先日、彼女の国籍の話をしたが、最近は国籍が問題になる選手が次々に出てきた。

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 きのうサーフィンのワールドゲームズ(WG)の最終日、個人で2位になった五十嵐カノア選手。




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 また、スポーツクライミングで東京五輪メダル確実と言われる17歳の白石阿島(あしま)選手。二人ともアメリカとの重国籍。スポーツ選手としての国籍をどこにするかで日米の駆け引きがさかんになっているという。国際結婚や海外移住が進む中で、こうしたケースが増えてくる。

 バーレーン、カタールなどは国策として外国のスポーツ選手を招いて自国選手として出している。自分の国の選手層が厚くて代表になれそうもない場合、選手が進んで他国の代表になるのを希望することある。甲子園をめざす高校生が、出身県から遠く離れて野球留学するのと同じ。選手本人にとっては、どの国籍で登録するのが有利かという判断になるのだろう。

 以前、アメリカで、外国人が「アメリカ人になれよ」と説得されているのを見たことがある。優秀な人がアメリカ人になることは、アメリカにとってもいいことだから、だという。また、私の知り合いの東欧出身の男(日本人の奥さんと子どもと日本に住んでいる)は今後の自分の国籍で迷っていたが、「日本も悪くないけど、アメリカ国籍のほうが今後可能性が広がりそうだ」と米国籍をとる準備に入った。

 アメリカ人である」ではなく「アメリカ人になる」・・・。自分で国籍を選ぶという発想は驚きだった。私だけでなく多くの日本人は国籍は生まれる前から死ぬまで変わらぬ属性と思い込んでいるから、大坂なおみのような人が出てくると、ことさらにジャパニーズらしさを見いだして納得しようとするのかもしれない。国際化は国籍を便宜的な属性に変えようとしている。

 そう考えると、アジア競技会もオリンピックも選手の国籍で大騒ぎする意味があるのか疑問になってくる。いっそ、国別メダル獲得ランキングなんてやめればいいのに。