東京都交響楽団 第680回定期演奏会
会場:東京文化会館
指揮:小林研一郎
コバケンによる「わが祖国」全曲演奏会。都響定期では23年ぶりの登場らしい。一体今まで何があったのかね?渡辺暁雄や若杉弘が音楽監督をしていたし、山田一雄もときどき客演していたから、東京芸大とは結びつきはありそうなモノなんだけど、それゆえに都響は客演しなかったと言うことなのだろうか。
本来であれば、昨年の10月に行われるはずであった、小林との「わが祖国」だけれど、文化会館側の手違いから、ブッキングになり、今回、満を持しての登場となった(ちなみに、キャンセルになった定期演奏会の代わりに広島公演で指揮したらしい)。
そんな経緯があったから、今回の都響vsコバケンは不安なく聴けた。というのも、コバケンと都響で相性が合うのか不安だったんだけど、広島でそれまでのインターバルを解消しているんだから、今回の定期は問題ないハズなのだ。
そして、演奏もまったく問題なく、非常に満足できるモノだった。
指揮者が完全にこの曲を自分のモノに消化しているので、非常に燃焼度というか充実した演奏なのだ。「プラハの春」音楽祭のオープニングコンサート(チェコ・フィル指揮)で、東洋人初のスメタナの交響詩『わが祖国』全曲演奏したことがきっと自信に繋がっているはずである。一音一音をゆるがせにしない、確固たる演奏だ。
第1曲目のヴィシェフラド(高い城)冒頭のハープから非常に確信的な音作りだ。ゆったりとしたテンポながら、曲想に併せてアッチェレランドしたりする。それがまったく作為的でない。ということは、やはり小林はこの曲を完全に自己のモノとして消化している。
もっとも、こうした小林のアプローチは以前、N響で「わが祖国」を指揮したエリシュカと比べると指揮者の個性が前面に出ていると思う。とはいえ、この曲が交響詩という形式を持つ標題音楽である以上、そうした演奏スタイルは必ずしも悪いとは言えないと思う。
曲自体も、そして小林自身も4曲目(ボヘミアの森と草原から)以降、非常にノッていたし、演奏も熱気を孕んでいて聴衆もそっちを評価するだろうけど、管理人自身は前半の3曲が都響の弦の美しさが非常によく生かされていて最高の「わが祖国」だった。
うーん、これだけクオリティの高い「わが祖国」はそう簡単に聴けるモンじゃないよ、きっと。
そういえば先に挙げたエリシュカも今年10月に九州交響楽団と、首席客演指揮者になった札幌交響楽団を指揮するためにまた来日して「わが祖国」を振るらしい。いいなー、札幌のヒトは。
どーでもいいけど、コバケンの呻り声、今回も全開だった。今回も呻ってますなぁ…と思ったけど、文化会館ってサントリーホールより唸り声は目立たないように思う。(管理人の文化会館での席は前列やや左あたり)どーだろうか…。
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↑は試しに載っけてみた、クーベリック指揮&チェコ・フィルの「第2曲 モルダウ」。