タヌキの出る家



(9月13日付学級通信より)


 一昨日は、午後から昨年の副担S先生がいる県工業高校に行っていた(S先生には会えなかったけど…)。小会議室で、県内の実業高校生の作文を読みながら、なんだか暑いな〜と思って、エアコンがないことに気付いた。なんだエアコンないのか、と多少の不満を感じた瞬間、そんな自分の感覚に驚いた。学校にエアコンがないのは当たり前で、今の宮水はプレハブだからという配慮で付いているだけなのに、エアコンがあるのが自然という感覚になりかけている。自宅にエアコンのない私でさえそうなのだから、自宅でもエアコンに頼っている人はなおさらだろう。

 車にしてもテレビにしても、パソコンにしても携帯電話にしても、もともと世の中に「文明の利器」は何もなかった。それが登場するや、最初のうちは、あることが特別で、その便利さ快適さを喜ぶのに、やがて、あることが当たり前となり、ないことが特別になって、なしではいられなくなる。その結果が環境や資源の問題である。恐ろしいものだな、と思う。

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 1週間ほど前の話、暗くなってから車で帰宅すると、ヘッドライトの中でノソノソと動く焦げ茶色の生き物が見えた。猫ではないようだ。何だろう?と思った瞬間、その生き物が私の方をじろりと見た。タヌキだ!よく見ると、垣根の向こう側にもう一匹いて、じっと私の方を見つめている。ヘッドライトに照らされているのに、恐れている様子もない。

 そういえば、ずいぶん前の話になるが、日曜日に私が家の中でぼんやりしていた時、バーン!!と大きな音を立てて、一羽の鳥が我が家の窓にぶつかった。鳥の方でも驚き、また頭でも強く打ったらしく、茫然とした表情で、1分あまりも立ち尽くしていた。見慣れない鳥なので、あわてて図鑑で調べてみると、間違いなく「大鷹」であった。

 我が家はけっして山奥にあるわけではない。一番端っこではあるが、石巻市のど真ん中、日和山の住宅地である。そんな場所にも、大鷹やタヌキといった野生動物がいるのだ。恐いとか、気味が悪いなんて全然思わない。豊かな自然の存在は、人間に安心を与えてくれる。いいなぁ。