今年も平泉

 今日は遠足だった。留年して、今年も1学年に所属している私は、2年連続の平泉。「あぁ、またか~」なんてぜんぜん思わない。とてもいい所だ。ほどほどに歩く距離もあるし、歴史的価値において不足はないし、個人で行けば1000円も払わなければならない金色堂がタダで見られるし・・・他の学年のように水族館やショッピングモールに行くより絶対にいい。(→昨年の記事
 今年は、1学年5クラスの国語の授業を丸抱えにしていて、他の先生との意見調整が必要ないので、予習として、全クラスで2012年のNHKスペシャル「世界遺産平泉 金色堂の謎を追う」を見せた。
 昨年も書いたことなのだが、1962年から7年間にわたって行われた解体大修理に一切触れず、いかにも創建当初から今のような状態であったかのように語るのはよくない。それでも、これ以上の映像作品がないので、仕方がないなと思ってみせるのだが、今回、解体大修理について調べてみようと思って情報を探していて、You tubeで記録映像を見られることに気付いた。1970年に日本科学映画制作社によって作られた「よみがえる金色堂」(45分)である。
 なにしろ50年以上前の映像なので、カラーではあるが色は悪い。あの素晴らしい装飾がいまひとつ鮮明に見えない。しかし、一方で、金色堂を「作る」時に焦点を当てたNHKスペシャルに比べ、「修理する」時に焦点を当てた映像は、その手間を描き出すことにおいて数段上を行く。どれほど途方もない労力が費やされた結果として今の金色堂があるのか、見ていて圧倒される。限られた時間の中で生徒に1本だけ見せるとしたら、新しい「謎を追う」か、古い「よみがえる」か、これは悩ましいことだと頭を抱えた。生徒が見た時に、どちらの方がより一層「見てみたい」という気を起こさせるだろう?それが基準になるのだが・・・一度、「よみがえる」を有志生徒に見せて意見を聞いてみようかな。
 さて、昨年に続き、今年もお天気には恵まれた。ぼやっとした花曇りで、昨年に比べると少し湿度が高い。それでも、暑からず寒からず、日差しもあまり強くなく、名残の山桜も咲いている一方で、新緑も盛りを迎えつつあり、人出も実にほどほどで、なかなかの遠足日和だった。
 昼食後、2時間近い自由時間に、月見坂を上り返して白山神社能舞台まで足を運んだ生徒が、今年は昨年の3倍くらいいた。全クラスで予習をさせた効果かどうかは知らない。ただ、競争率0.84倍で、今年の新入生は大丈夫かなぁ?という不安が語られることも多い中で、不安を打ち消し、期待を持たせる生徒の動きだったような気がする。せっかく時間に余裕があるのだから、「謎を追う」に出てくる無量光院や柳之御所、あるいは毛越寺も見せれば、それなりに興味を持って見るかもしれないなぁ、などということも思った。


 少し疲れたこともあって、いつもより早めに帰宅したら、沖に水産高校の練習船・宮城丸が停泊していた。昨年は、私たちの遠足の前日が出港式だったが、今年は、今日、出港式をしたのだろう。昨年同様、沖で2~3日体調確認をした上で、ハワイ沖に向かうと見える。いいなぁ、春。