take-bow2006-09-23

安倍自民党新総裁就任記念
で、渋谷のイメージフォーラムにてドキュメンタリー『蟻の兵隊』をついに観てきた。池谷監督の作品は中国の文化大革命を描いた『延安の娘』に続いて二作目となる。
前作もそうだが、正直言ってドキュメンタリーの手法といい、構成といい、決して上手いとは言い難い。むしろ荒削りなテーマが前面にそそり立つ。しかし、そのテーマがまさに問題なのだ。知らなかった(^^;)。北支派遣の日本軍で終戦後も八路軍との戦いにかり出され、国民党・軍閥に利用されていた人々がいたことを。その上で主人公達は、あの戦争が実に醜いモノであったということを証明していく。初年兵は必ず「肝試し」と称して、中国人を刺殺させられていた。この話は認知症で完全に呆けている私の義父も今だにする。忘れられないのだ、彼らには。80歳以上で中国に派遣された方々がみな背負っている原罪なのだろう。主人公の奥村和一さんはその原罪を背負って、ゴルゴダの丘を登るイエスの如く贖罪の旅を続ける。自ら初めて人を殺した処。日本兵に輪姦されたお婆さんの話を聞き、自分の罪の話をする。そして4年も国共内戦を戦い、中国共産党軍の捕虜となった場所。中国では「日本鬼子(リーベンクイズ)」と呼ばれる日本軍。本当に「鬼だった」お爺さんたちが、自らの罪を問い続けている姿がイタイ。


この映画を、皆さんにはお奨めできません。誰もが観る必要はないし、知る必要はないし、分かる必要はない、そう思ってしまうほど重い。