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大学生が変わる(1): 本を読むこと

大学生が変わる

大学生が変わる

大学生向けではなく大学教員向けの本です.ただ一点だけ,大学生も目に入れてほしい記述があったので,段落ごと引用します.太字は引用者がつけたものです.

本や文章を読んでも何が書いてあるのかわからないという,読解力がまるでない学生が少なくないことにも驚かされる.漢字や言葉の意味がわからないと,国語辞典で調べてみることもせず,予習をなげだしレポートを書いてこない学生も少なくない.漢字や言葉の意味がわからないだけでも,学習につまづき意欲を失うのである.学知的な教養の力をつける基本の作業は,読んだ文章を,自分がもっている知識や認識や自分が理解している意味連関において洞察や批判的考察を加え,自己の知的体系の文脈に再構成していくことである.読解力がないというのはその作業をしない(できない)ということである.このような現状は,単に知識がないという問題ではなく,学ぼうとする意欲やわかりたいと思う力そのものが衰退していることであり,深刻な問題である.
(p.17)

太字が,(特に大学生に対する)読書の意義なのですが,助詞が一部おかしいため,読み取りにくいです.「読んだ文章“に対して”…洞察や批判的考察を加え」なら自然なのですが.
以下は,上の本の趣旨から離れます.学生に本を読ませる際の注意点もいくつか与えないと,読めと言うだけでは,教員の期待する読み方ではなくなるようにも思えます.自分の今の読書スタイルや,ふだんから学生に指導していること振り返ってみます.

  • 奥付を見ます.「初版」あるいは「第1刷」の年月日を見つけます.それより後に起こったことは,その本に書かれていないことに留意します.
  • 誤記や,論理的なまずさなど,間違いが多いですあるかもしれないことに注意して読みます.高校までの教科書や参考書は,十分に練られているので皆無ですが,大学の教科書は,出版までに「目を通す人」が少なく,誤りがスルーされている可能性があります.
  • 書かれていることを一字一句間違いなく抜き出し,「と書かれていた」と表現するのは,事実の記述であるとしても,その書かれていることが正しいかどうかは,別途チェックです.これが「批評」の第一歩です.
  • 慣れれば,書評をつけましょう.小さなメモ用紙に書いて,挟み込むことを勧めたいです*1
  • 慣れれば,複数の本をカバンに入れて行動しましょう.1冊の文庫本を読み終えるのに,通学電車で平均何日かかるかを知り,新たに読む本の読みやすさ/読みにくさを把握できるようにしましょう.
  • さらに,1回の電車旅で,1〜2冊の本を読めるような,旅行プランを立ててみましょう.書評を,その旅に結び付けて綴ることができれば,最高です.

*1:書き込みは,それを手放さないと決めたのならいいのですが,そうでないならお勧めしません.たくさん買って,1〜2度目を通せば,古本屋さんに買い取ってもらうほうがいいでしょう.当然,図書館から借りた本へは,書き込み厳禁です.