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ボートが 3そう あります

来年度の教科書―掛け算には「正しい順序」がある!? | メタメタの日があって,それを背景としてhttp://d.hatena.ne.jp/takehikom/20101207/1291657362#c

メタメタ 2011/01/30 16:49
はじめまして。
別アーティクルでの引用ありがとうございます。
(それについては別にして,)文章問題の状況を絵にすることですが,「皿が5枚ある」と先ず文章にあれば,先ず5枚の皿の絵を描くと思うのです。たけひこさんもそうされているように。(ですから,立式も,「5× 」となるのが,かけ算の単元を習い終わったあと,つまり,交換法則も習った後では,「自然」だと思うのですが,それは別にして)
 ところが,今年度から使用される予定の東京図書の教科書では,りんごを描いてからそれを乗せる皿を描くという,普通はあまりしない描き方が「正しい絵の描き方の順序」のように載せています。
 式の「正しい」順序も問題ですが,絵の「正しい」順序まで「強制」するのは,どうかと思われませんか。
http://ameblo.jp/metameta7/image-10742669809-10929332358.html

と書かれていて,

takehikom 2011/02/01 21:07
これまで,おそらく本意ではない引用のしかたをさせてもらって,すみませんですね.
さて,画像を拝見しましたが,「ボートが3そうあります」でボートの形を3つを描くのでは,そこに何人乗るのか分かりません.人数が予想以上に多いことに気づくと,中に入れるマルが小さくなって,描き間違い・数え間違いが起こり得ます.なので,「1そうに2人ずつのっています」まで読み,「1つ分の大きさ」と「いくつ分」(そして最後の文も読んで,全体の大きさとして何の数を求めるのか)を発見し,それから,「1そうに2人がのったボート」を描いていきましょう,といった解釈を思いつきました.
…といったことをきちんと検討するには,「教材研究」です.私自身,教科書・書籍・Webの情報を講義に取り入れるにあたり,入念に読み,(記述単体としての)内容の正しさはもちろんのこと,伝えやすさ・理解のしやすさ,指導内容の継続性も踏まえて,必要に応じて「ここにはこう書いているけれど…」と前振りして独自解釈を言っています.
ご提示の件も,教科書の図のとおりに解説する先生もいれば,これは教育上良くない図だと判断して使わない先生もいるかもしれません.
小学校の先生で「教材研究」を知らない人はおそらくいないと思いますので,免状を持っていない私なんかよりも,身近で先生をやっている人に尋ねてまわり,結果を取りまとめるのはいかがでしょうか.

と対応しました.その後,音沙汰なしなのは,私が2日置いて回答したからと思うことにして,この応答を見直しました.
まずはまたまたラベリングです.
《ボートの問い》:ボートが 3そう あります。1そうに 2人ずつ のって います。ぜんぶで 何人 のって いますか。
そしてこれに「図と式と答えを書きましょう」を加えたとき,思い浮かんだ解き方を,箇条書きにしてみます.

  • 「ボートが 3そう あります」だから,ボートに相当する縦長の丸を3つ描きます.次に,「1そうに 2人ずつ のって います」なので,3つ描いた縦長の丸の中に,人に相当する小さめの丸を2つずつ描きます*1.式は,3×2=6です.図と比べると,人数(小さめの丸の数)は6人で,合っています.答えは6人です.
  • 「ボートが 3そう あります」まで読んだからといって,まだ図にはしません.というのも,何人が乗るボートか,分からないからです.適当にボートを描いて,思っていたよりも多い人数が乗り込んだら,きちんと数えられないかもしれません.そこで,次の「1そうに 2人ずつ のって います」を読みます.これで,どのボートにも2人が乗ることが分かりました.すでに学んだ「1つ分の大きさ」×「いくつ分」=「全体の大きさ」に当てはめると,「1つ分の大きさ」は,1艘*2のボートに乗る2人で,「いくつ分」は3艘です.なので図としては,ボートに相当する縦長の丸を1つと,その中に,人に相当する小さな丸を2つ描き,これを1つ分として,3つ分を描きます.式は,2×3=6です.図と比べると,人数(小さめの丸の数)は6人で,合っています.答えは6人です.
  • まず,問題文を全部読みます.これは,「1つ分の大きさ」×「いくつ分」=「全体の大きさ」に当てはめて,答えを出すのが良さそうです.このとき,「1つ分の大きさ」は,1艘のボートに乗る2人で,「いくつ分」は3艘です.図にするときは,まず「ボートが 3そう あります」と書かれているので,ボートに相当する縦長の丸を…ただし,2人が乗り込めるような大きさで…3つ描きます.次に,「1そうに 2人ずつ のって います」なので,3つ描いた縦長の丸の中に,人に相当する小さめの丸を2つずつ描きます.「1つ分の大きさ」×「いくつ分」=「全体の大きさ」に当てはめるわけですから,式は,2×3=6です.図と比べると,人数(小さめの丸の数)は6人で,合っています.答えは6人です.

3つの項目のうち,最初がメタメタさんのコメントに基づく解き方,2番目はそれに対する私のコメントによるもの,最後は,状況を図にするの最初のGIFアニメーションをベースとした解き方です.指導においてどれが良いか,またどれがボートの数や人数の変更にも対応しやすいか*3の比較検討は,読者にお任せします.ンなわけないか.私自身は,記録に残しながら解いたり,人に説明したりする際には3番目の解き方が自然ですが,2番目の考え方は,(来年度の)教科書の該当する図が「なぜそのような描き方をしているのか」を読み解くのに,有用だと思っています.
なお,メタメタさんベースの解き方で,「式は,3×2=6です」がなぜ発生するのか明記していません.私自身,理由は分かっていませんので,説明を待ちたいと思います.
あと追加なのですが,昨日,一昨日の当雑記のエントリに関して,「《ルール1》と《ルール3》の両方が利用できないと仮定し,《ルール2》(と九九)を既知として,どうやって*4,皿とりんごの《問い》にせよ,本日の《ボートの問い》にせよ,かけ算で個数・人数が求められるのか」について,個人的に検討しているところです.(本日ではなく)当該エントリに対する,コメントもしくはトラックバックとして,アドバイスいただけると幸いです.

*1:このとき,2つ,2つ,2つの順に丸を描くこともできますし,トランプ配りの要領で,3つ,3つの順で丸を描くこともできます.

*2:船を数える単位はなんですか?艘(そう)隻(せき)台(だい)いろいろあ... - Yahoo!知恵袋, 船の単位は、1隻・1艘・1艇とありますが、何が違うんですか? - 船... - Yahoo!知恵袋

*3:状況を図にする1.5は無視してください.と断りながら書いて,誘導を図るわけですが.

*4:「どんな合理的なルールを付け加えれば」に置き換えられるのかな,と思っています.