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2011年11月30日

[][] かけ算・資料集1(2010年までの書籍)

このページは更新しません.最新版は,算数教育・資料集をご覧ください.

はじめに

小学算数の解説書や問題集,教科書(ただし実物にはアクセスできませんので,Webで知り得る範囲内で),学力テストの具体的な出題を列挙し,乗法の意味理解として,どんな事例・教材があるかを,手早く知ることができるようにしました.

これは,7月23日(出題例から学ぶ,乗法の意味理解)を置き換えるものとなります.そのエントリとの違いは,次のとおりです.

  • エントリを分けました.今のところ,「2010年までの書籍(本エントリ)」「2011年以降の書籍」,それと,書籍ではないが重要と思われる情報に基づく「その他」からなります.
  • 「2010年までの書籍」「2011年以降の書籍」について,「(解説書:1978年)」の表記を取り除き,発行日の古いものから新しくなる順に並べました.「その他」では,「:発行年」を取り除き,並べ方は前回と同様としました.
  • 「出題」だけでなく,かけ算の式で表す「事例」も取り入れました.あらゆる表記例を載せるのではなく*1,「A×BでありB×Aとするわけにはいかない」というタイプを基本とし,「A×BでもB×Aでもよい」ものも,入れていきたいと考えています.
  • 書籍における乗法の導入にあたる《AB型》の出題や事例は,割愛しました.ただし,《AB型》でも「B×Aと書いてはいけない」という趣旨の文があれば,残しました.
  • 新しい情報が入れば,追加するよう努めますが,追加の日付は記入しません.

《 と 》で囲んだいくつかの語の意味は,次のとおりです.

  • 《AB型》:文章題で,A,Bの順に数が現れ,A×B(=P)の形で式に表すことが期待される問題.
  • 《BA型》:文章題で,A,Bの順に数が現れ,B×A(=P)の形で式に表すことが期待される問題.
  • 《複数解》:A×B(=P)とA×B(=P)の両方またはどちらか一方を解答することが期待される問題.文章題に限らない(図を見て式に表すものでもよい).

目次

遠山啓著作集数学教育論シリーズ〈5〉量とはなにか

1972年1月26日の『朝日新聞』に小学校のテストをめぐる論争がのった。それによると,昨年の秋,大阪府松原市・松原南小学校の2年生のテストに,つぎのような問題があったという。

「6人のこどもに,1人4こずつみかんをあたえたい.みかんはいくつあればよいでしょうか」

これに対して何人かの子どもは,

6×4=24

と書いたが,その答案は,答えの24こにはマルがつけられ,式の6×4にはバツがつけられ,4×6と訂正されたという。

(p.114.《BA型》)

算数わかる教え方〈2年〉

そこで,かけ算を1あたり量がいくつか(またはいくらか)あるとき,その全体量を求める計算として,かけ算を意味づけています.この考え方だと,

1mの50円テープ*2

  4m分のねだんは 50円/m×4m=200円

  1m分のねだんは 50円/m×1m=50円

  0m分のねだんは 50円/m×0m=0円

  0.3m分のねだんは 50円/m×0.3m=15円

  ¥frac{4}{5}m分のねだんは 50円/m×¥frac{4}{5}m=40円

整数,小数,分数のかけ算はみんな同じ教え方で指導できます.

(p.12)

(ウ)1あたりの数と土台量がわかって,全体量をつくり,求める

ここまでは,かけ算の場面の全景が絵で示されていました.つぎに

「箱が4つあります.この箱にえんぴつを6本ずつ入れていきます.えんぴつを全部で何本用意すればいいでしょうか?」

という形の問題に,はいります.これは,図に書くと次のページのような段階を踏むことになります.

つまり,全体量の姿ははじめみえないわけです.指導はつぎのようにします.

T 1箱にえんぴつを何本ずつつめるの?  C 6本.

T それをはっきりさせるために,タイルで,書いておこう(色タイルを用いる.)

T 箱はいくつあるの?  C 4はこ.

T なにをもとめるの?

T 4はこにつめるえんぴつの全部の数だね.では,それを図に書いてみよう.

T 式はどうなるの?  C 6本/はこ×4はこ.

T タイルの数を数えて,答えを出そう.

(pp.123-124.《BA型》.図および図番号は省略)

算数子どもの考え方教師の導き方 2年

1単位の持つ数量「2」が「5つぶん」あることを「2の5倍」としてとらえ,さらに,2×5の式に表せるようにする.このとき,5×2と表す子どもが意外に多い.1単位のもつ数量や,何倍のとらえ方が,見方によっては反対になることもあるから,そのうちの1部は正しい考え方をしているのではあるが,一般にはとらえ方があいまいで,2と5の数字のみにとらわれた結果であるとみられる.

(pp.98-99.《AB型》)

かけ算を指導するとき,類似のものの集合に目を向けさせることが行われる.

右のような課題と絵が示され,2こずつということと,3まいということから,

2×3

の意味が指導されるのである.

2の段のかけ算を指導するということから,この課題が用意され,おさらとケーキが題意にそって示される.

おさらが3まいあります.

どのおさらにもケーキが2こずつのっています.

ケーキはぜんぶでなんこありますか.

(p.102.《BA型》)

(2)図に表して確かめる練習

ア.5つのいれものに6こずつのいちごがはいっているときいちごの数は全部でいくつあるかを求める式をかかせる.

(5×6とかきやすい.いちごは何こずついくつぶんあるか,図によって確かめさせる)

(p.110.《BA型》)

〈2〉2×5と5×2

1つの花びんに紅白2本ずつの花がさしてある.この花びんが5つあるときの花の総数はいくつであろうか.

名数をつけて式をかくなら,2本ずつ5つであるから,2本×5である.そして,5×2本でもいけないし,5本×2もばつとなる.果たしてそうであろうか.

ある子どもは紅の花5本,白の花5本とみて,5本×2としているかもしれないし,事実,この例があったのである.また,間違いでもない.5×2本は小学校では避けた方がよい.というのは乗法を適用する場面をとらえるのが,しっかりしていない段階では混乱を起すからである.しかし,高校では,これが平然と使われる.(a・b)本の意味でa×b本とするのではなくて,ab本としても,誰も間違いは起さない.とすると,5×2本は小学校だけで間違いであるとは,おかしなことになる.小学校ではこの書き方を避けるということを教師は踏まえて,適当に指導するのがよい.

(p.116.《複数解》.編者・松原元一の解説)

さんすうの授業 第1階梯 小学校1・2・3年生

銀林浩氏は,筆頭の監修者です.

(5)かけ算の文章題づくり

かけ算の意味が子どもに理解できているかどうかの最終的なツメです。意味がわかれば,問題がつくれるからです。そこで,「6×8の文章題をつくりましょう」と問題を出し,ノートに文章題をつくらせました。

子どもがつくった文章題〕

1) 1あたり量が先にきている問題

  • 1はこにトイレットペーパーが6ロールはいっています。そのはこが8こあります。トイレットペーパーはなんロールありますか。
  • 1ぴきの「なまず」の水そうに,えさの「めだか」を6ぴきずつ入れることになりました。「なまず」の水そうは8こです。さて「めだか」はなんびきいるでしょうか。

2) 分量が先にきている問題

  • ねこが8ぴきいます。1ぴきにすずを6こつけると,すずは何こいりますか。
  • 8びんにジュースが6dlあります。ジュースは何dlですか。
  • 車が8だいありました。どの車にも人が6人ずついます。ぜんぶでなん人いるでしょう。

3) つまずいている例

  • 1さつ8ページの本があります。その本が6さつあります。全部で本のページはいくつでしょう。
  • ふねが6そうとまっています。人間が8人ずつのっています。ふねは,何そういるでしょう。
  • (残り2例省略)

(p.176)

算数つまずきの診断と治療 (上巻)

算数つまずきの診断と治療 (上巻)

算数つまずきの診断と治療 (上巻)

奥付によると著者は“「算数・数学教室」経営 数学教育協議会々員 雑誌「ひと」編集委員”で,遠山啓・銀林浩の監修または編集による著書もある.

(4) かけざんの しきを かいて こたえを もとめなさい.

4こいりの せっけんの はこが 3はこあります.せっけんは みんなで なんこ はいっていますか.

しき(      ) こたえ(    )

いろがみを 8人にくばります.1人に3まいずつくばると なんまいくばることに なりますか.

しき(      ) こたえ(    )

かぶとむしが 4ひきいます.かぶとむしの あしは 1ぴきに6本あります.あしは みんなで なん本ありますか.

しき(      ) こたえ(    )

5dlいりの ジュースのびんが 8本あります.ジュースは ぜんぶで なんdlありますか.

しき(      ) こたえ(    )

(pp.112-113)

(4)の文章題では,②の問題で式に

  ⓐ 3×8=24

  ⓑ 3まい×8=24まい

  ⓒ 3まい×8人=24まい

  ⓓ 8×3=24

  ⓔ 8人×3まい=24まい

などの式がみられた.どれも正答として扱ったが,ⓓについては,1人あたり3まいずつ,8人の色紙のまい数を求めるのだから,式は,

(1まいの数)×(いくつ分)=(全体の数)

 3まい × 8 = 24まい

と,被乗数は1あたりの数の「3」のほうがよいことを説明した.なお助数詞をつけるかつけないかについては,それぞれの学校や先生方の考え方もあることだから,どれでもよいことにした.しかし,わたしは説明する場合は助数詞をつけて,3まい×8=24まいを使っている。本来なら,3まい/人×8人=24まいで説明したいのだが,2年生には,3まい/人はむずかしいので,そうしているのである.

文章題についての誤答は意外に少なかったが,そのわけはかけ算ばかりの問題で,しかも乗数と被乗数を入れかえた式を書いても正答にしたためである.

(p.116)

小学校教育評価全集〈4〉算数

また,「ボートが9そう走っています。1そうに4人のっています。ボートにのっている人は,ぜんぶで何人でしょうか。」を9×4=36と表現する子どもが多く(35%),乗法の意味をよく理解していない結果が現れている。

(p.198.《BA型》)

おかしなおかしな数学者たち

おかしなおかしな数学者たち (新潮文庫)

おかしなおかしな数学者たち (新潮文庫)

pp.102-124で,遠山啓を取り上げている.

もう大分前のことになると思うが,あるとき私の所へ,名古屋から電話がかかってきた.そしてその電話の主はつぎの話を私にした.

「名古屋のある小学校で、算数の試験につぎの問題が出た。

ミカンを4つずつ6人の人に配りたいと思う。ミカンは全部でいくつあればよいか。

この問題に対して、大部分の子どもは、

4×6=24

個と答えたが、なかに一人、

6×4=24

と答えた子があったが、先生はこれを0点にしてしまった。

この先生の考えでは、問題の性質上、これは4掛ける6と考えるべきであって、6掛ける4というのはおかしい。したがってたとえ答えはあっていてもこれは0点であるということであったらしい。

ところがPTAの人たちは、答えがちゃんと合っているのに0点とはひどいといって騒ぎ出した」

ここまで話したその電話の主は

「ところで矢野先生は、4掛ける6がよくて、6掛ける4はいけないとお考えですか。それとも4掛ける6でも、6掛ける4でも、どちらでもよいとお考えですか」

と私の意見を求めた。

(pp.119-120.《AB型》)

と答えてもよいではないかという返事をして、私はようやく一時間の宿題を解いたわけであるが、一週間ほどのちに、遠山先生に以上のことをお話したら、

「矢野くんはやっぱり算数は素人だね。実際、矢野君の言うように考える子がときどきあるんだよ。われわれはこのような配り方を、カード式配り方と呼んでいるがね」

ということであった。

つまり、遠山先生のお考えによれば、いやしくも数学の教師たるものは、乗法の交換法則4×6=6×4に対してもここに述べたような二つの方法による説明を知っているべきである、ということであった。

(p.124.「カード式配り方」は「トランプ配り」)

現代小学校学級担任事典〈第7巻〉算数科授業研究

1つのはこにせっけんを6こずつつめようとおもいます。はこが3つでは,いくつのせっけんがつめられますか

(1) 6+6+6+6+6=30 30個

(2) 6×5=30 30個

(3) 5×6=30 30個

(留意点と参考事項)(1)の式を書く場合は,不注意による場合もあるが乗法の意味が理解できていない場合もある。(3)は,1箱に詰める石けんの数と箱の数(いくつ分を表す数)の理解が明確ではないので,前時に扱った内容であるが,再度取り上げ,説明し,必要なら個人指導もする。

(p.307)

(指導段階と主な発問)

2×5=□となるような問題と 5×2=□となるような問題をつくりましょう。

(主な反応と教師の助言)

2×5=□も5×2=□も同じみたい。

答えは同じだけれど違う。

〈例〉2×5=□

お友だちが5人きました。1人に2こずつケーキをくばるとケーキはみんなでいくついりますか。

 (図:省略)

5×2=□

1はこに5こずつケーキが入っています。2はこ買うとケーキは,みんなでいくつありますか。

(留意点と参考事項)

  • 2×5=□,5×2=□となるような問題ができれば,本時の学習内容が理解できたものと考えてよい。
  • 2×5=□,5×2=□のいずれか一方の問題視かつくれない場合は2×5,5×2の意味の理解が明確でないと考えられる。このような子供には,情景を具体的に説明したい。
  • 机間巡視そして2×5=□,あるいは5×2=□ばかりをつくっている子供など,注意して見ておく。
  • ノートや紙を最後に回収し,評価する。子供によっては,2×5,5×2の区別がつきにくいが,かけ算の指導全部の見通しをもって繰り返し取り上げ,個別指導をするなどの配慮が必要である。

(p.308)

かだんにチューリップのきゅうこんをうえたいとおもいます。1れつに9こずつならべて,4れつにします。チューリップのきゅうこんは,なんこあればよいでしょう。

(p.341.《複数解》)

数と計算(新算数指導のポイント)

「四つのお皿にみかんを3個ずつのせてあります。みかんはみんなで何個でしょうか。」という問題を与え,立式させると,3×4と4×3との区別がつかず,問題にかかれた数字の順番に4×3と立式する子どもをよく見受ける。

これは,かけ算の意味がよく理解できていないことから起こると考えてよいであろう。また,12という答えがみかんの個数なのか,皿の枚数なのかがあいまいな子どもいる。

(p.152)

上記は「[18] 4×3の意味」から.巻末によると執筆者は嶋田博次(和歌山県和歌山市教育委員会).

かけ算とわり算 (わかって楽しい算数教室 1)

どのかぶと虫にも足が6本ありますから(略)3匹のかぶと虫の足の数は

6本/匹×3匹=18本

だということがわかります.

(pp.12-13.《AB型》)

上の問で思いついたものをつかって,かけ算の問題を作りましょう.たとえば,牛の足は4本で,ひづめは1つの足に2個です.ですから,

1頭の牛のひづめの数は全部でいくつですか?

という問題ができます.

(p.11.《BA型》.この設問では,かけ算の式で表すことを要請していない.)

子どものつまずきと授業づくり

ある大学の先生が、小学校の先生と共同で、子どもたちのかけ算の理解について調べた調査結果があるんです。三年生から六年生を対象にして、どれくらい九九を覚えているかとかね。その調査問題の中に、つぎのような問題があるんです。

4×8の計算で答えを出す問題(お話)を作って下さいっていう問題です。普通の問題とは逆なわけですね。問題を作るのが『問題』なんです。(略)

(p.29)

調査の対象になった子どもたちも,この問題をやったわけです。ではねえ、どれくらいの子どもたちが問題を正しく作れたと思います? 三年生と六年生の正答率を予想してみて下さい。横浜の小学校で、各学年五〇〇人くらいのデータです。すごい人数ですね

(p.30)

プリントの表を見てください。正しく問題を作れたのは、三年生から六年生まででほぼ同じ割合ですね。だいたい50%弱……(略)

ただし、式を逆にして問題を作った子どもが、どの学年でも15%くらいいるでしょ。かたいことを言わなければ、これもまあ正解だよね。そこまで正解とすると、三年生から六年生までどの学年でも、65%くらい。まあ大ざっぱに言って全体の三分の二といったところですね

(p.31)

  • 小野田先生が大学の授業で紹介した「かけ算」の調査――佐伯胖・長坂敏彦・上野直樹「小学校算数における理解のドロップアウト」昭和六二年度特定研究成果報告書『子どものドロップアウトに関する教育学的研究』*3。(略)

(p.204)

算数入門 かけ算プリント集

もんだい2

ふくろが7フクロあります。どのふくろにも,りんごが6コずつ入っています。りんごは,ぜんぶで何コ〔=?コ〕あるでしょう。

(p.44.《BA型》.最初の《BA型》はp.13に見られる.)

子どもたちは,文章のはじめにある数字を〈1あたりの数〉として式を作ってしまいます。ですから,はじめに「数字の出てくる順番ではない」ということを言い,何を箱に入れてかけ算のしきを作ったらよいか考えるよう指導します。

立式の答え合わせのとき,〈1あたりの数〉と全部の数(答え)の単位が同じになることを子どもたちに教えておきます(立式が正しいかどうかの確認の意味があります)。本書では,単位が同じになることを矢印で表しています。

(pp.44-45)

はなまるリトル2年生 算数

はなまるリトル 2年生 算数

はなまるリトル 2年生 算数

ボートが 7そう あります。1そうに 5人ずつ のると,ぜんぶで 何人 のれますか。

(p.45.《BA型》)

まず1あたりがいくつなのかをさがさせます。(3)は,ボート1そうあたり5人ですから,5×7と立式させます.7×5だと1そうに7人ずつ乗ったボートが5そうあることになるので,式の意味が違うことを確認させましょう。

(解答・解説 p.12)

算数・数学科重要用語300の基礎知識

乗法の意味を指導するときや,かけ算九九の指導をするとき,乗法の交換法則の指導は慎重に扱うべきである.かけ算の意味の指導では,交換法則が容易に説明できないからである.4円×8と8円×4とでは,式の意味が同じではない.式の意味が理解され,児童が法則を意識できるようになってから指導する方がよい.かけ算九九の指導を終え,ある程度計算できるようになった段階で指導しても遅くはない.

(p.175)

ヴェルニョー(Vergnaud, G.)は,乗法・除法を成立させている最も基本的な操作や場面を,2つの量空間の間の比例関係から捉えようとする.乗法は,導入に際しては同数累加の簡便法として意味付けられることが多いが,ここではヴェルニョーの考え方と図式を利用して乗法の意味を捉えてみる.

(1) スカラー関係に基づく乗法

(2) 関数関係に基づく乗法

(3) 量の積に基づく乗法

(p.187)

どの子も伸びる算数力

どの子も伸びる算数力

どの子も伸びる算数力

「小さな子が、公園の砂場で遊んでいます。何人いるかなと数えてみると、6人いました。どの子も三輪車に乗ってきています。じゃあ、車輪の数は、みんなでいくつあるでしょう」

1回で文意が理解できない子には、2回でも3回でも、ゆっくりと語り聞かせるように繰り返し話してやります。問題の中身が分かったら、式を書かせてみてください。きっと、十中八九は失敗します。「ひっかかったわね。落とし穴にはまったわ」とおどけてやりますと、子どもはいぶかります。きょとんとしています。子どもはきっと「6×3=18」という式を書いています。

この式なら、言葉で言うと、6人ずつのかたまりが3つあるということになります。そして、答えが18人ということになってしまうのです。

この問題では、車輪の数はみんなで何個あるのかを問いかけているのです。三輪車に車輪が3個あります。その三輪車が6台あると、みんなで車輪の数はいくつかということを聞いているのです。1台ずつに3つのかたまりがあって、全部で6つある。じゃあ、車輪の数の合計はいくつになるのかというのが、求める答えです。

けっして6×3ではありません。3個が6つあるのですから、式は「3×6=18」と書かなければなりません。

(pp.172-173.《BA型》)

使える算数的表現法が育つ授業

使える算数的表現法が育つ授業 (算数的表現力を育てる)

使える算数的表現法が育つ授業 (算数的表現力を育てる)

このような経験をしたあとで,これらの言葉を式にするのである。

3こと2こ⇒ 3+2

3こが2こ⇒ 3+3

でも「3こが2こ」と束ねた言い方では,3と2という数字があるのに,式になると2が出てこない。

そこで,

3こが2こ ⇒3×2

とかくことを教えるのである。

突然かけ算の式を見せられるのではなく,このようになんとか,束ねた言い方を考えるという意識が働く中で,かけ算の式に出会わせることができた。

この言い方は,この後,数が増えると本当に便利になってくる。

3こと3こと3こと3こと3こ ⇒ 3こが5こ ⇒ 3×5

というようにである。

ここにも,かけ算の式のよさがある。

(p.71)

板書で見る全単元・全時間の授業のすべて 小学校算数2年〈下〉

ヨットが8そうあります。同じ人数ずつ*4のっています。ぜんぶで何人いるでしょうか。

(p.43.《BA型》)

4本の木に、それぞれ5こずつリンゴがなっています。リンゴはぜんぶでいくつでしょうか。

〈しき〉

5×4=20

4×5=20

どっちが正しいのかな?

(p.49.《BA型》)

正しくは5×4なのであるが,問題文の中では,4の方が5よりも先に使われているので,4×5だと考える子がいるようである

(p.48.上の引用の解説.)

ふしぎな花のさく木

(図省略)

このような問題を扱うと,次のような場面を考えてくる子がいる。「4×5」でも「5×4」でもどちらでも答えが求められる場面である。

(p.49.《複数解》)

おかしがはこに入っています。何こあるでしょうか。

(図省略)

7×4=28, 4×7=28

(p.57.《複数解》)

徹底反復文章題さかのぼりプリント

8人のこどもに、5ひきずつ、メダカをあげました。メダカは、ぜんぶでなんびきでしょう。

(p.106.この本で唯一の《BA型》)

(しき)5ひき/人×8人=40ぴき (こたえ)40ぴき

(p.128)

新しい発展学習の展開算数科 (小学校1〜2年)

これまでのたし算やひき算の式では、式の中で用いている数はすべて同じ種類のものだった。たとえば、りんごが8こあって新たに4こもらうというようなとき、8+4=12としてりんごの総数を答える。このとき登場する8、4、12という数は、すべてりんごの数である。

これに対してかけ算の式では、登場する数が2つの種類になる。

たとえば、次のような場面を4×3=12とあらわすのだが、りんごの数は4と12だけであり、3はいくつ分あるかをあらわす数となっている。

(図:省略)

これがまず大きな違いである。このような演算を単項演算という。この場合は、3×4と4×3の意味は異なる。これが抽象的な数になり2つの数が対等になったとき、二項演算になる。このときから交換法則が成立するようになる。

(p.86)

シールの色にこだわる必要はない。ただ、ひと塊になる量だけは同じ色にしておきたい。

この段階では、9×3と3×9はまだ別のものだからである。(略)

(p.89)

確かな学力を育てる算数科学習指導略案集 低学年編

(問題文の左に図:省略)

みかんのふくろが4つあります。

1つのふくろには,みかんが5こずつはいっています。

みんなでなんこになるでしょう。

(p.110.《BA型》)

2,3,4,5の段の九九を使って,基準量が後に示された問題を解く。

(p.110)

グレーゾーンの子どもに対応した算数ワーク

[1] あめを 一人 4こずつ 6人に くばります。あめは ぜんぶで 何こ いるでしょう。

[2] 3人ずつ のった ボートが 7そう あります。ぜんぶで なん人 のって いるでしょう。

[3] はこが 8つ あります。この中には チョコレートが 6こずつ はいって います。チョコレートは ぜんぶで なんこ あるでしょう。

[4] ふくろが 9こ あります。この中には りんごが 8こずつ はいって います。りんごは ぜんぶで なんこ あるでしょう。

[5] 本を 一日に 6ページずつ 読むのを 一しゅうかん つづけました。ぜんぶで なんページ 読んだでしょう。

[6] 本を 一日に 4ページずつ 読むのを 一しゅうかん つづけました。ぜんぶで なんページ 読んだでしょう。

(p.77)

エントリ:グレーゾーンの子どもに対応した,かけ算の出題

算数科:授業と板書のアイデア12か月 1〜3年編

かけ算のよいところ

  • かんたん
  • いくつぶんか すぐわかる.
  • たくさん かかなくていい.

(p.65.増田朱美:かけ算の式と意味を知ろう)

本時では,いくつ分の量が先に,基準量が後に示された適用題を扱うが,子どもたちは数値の与えられた順に立式してしまいがちである。そこで,題意をとらえ,基準量が何なのかを判断して正しく立式できるようにするために操作活動を取り入れる。問題場面を読み,基準量をおはじき,いくつ分をカップを用いて表すことによってかけられる数とかける数の意味をしっかりとらえさせたい。

(p.67.瀧崎美保子:なんのいくつぶんかをかんがえよう)

おかしのはこが5つあります.1つのはこにはおかしが4こずつはいっています.みんなでなんこになりますか.

でてきたじゅんばんに かけちゃだめ

かけられる数 かける数には いみがあるよ

(同)

オトナのための算数・数学やりなおしドリル

オトナのための算数・数学やりなおしドリル

オトナのための算数・数学やりなおしドリル

2×3と3×2は同じ答えですが、考え方が違います。3組のカップルが映画館へ行ったとき「ペアシートが3席」と「3人用シートが2席ある」のでは違いますね。かける数、かけられる数の関係には、ちゃんと意味があるのです。

(p.14)

歌で必ず暗記できる新版9×9のほん

「みんなで 5にんね! あめを 2こずつ クッキーを 3まいずつ 配りましょう。」

「あめは ぜんぶで 2こ×5にん・・・ 2×5=10こ いるね!」

「クッキーは ぜんぶで なんまい いるかな? 3まい×5にん・・・ 3×5=15まい!」

(pp.21-22,こんなとき9×9(くく)がだいかつやく)

かけ算とわり算 (算数の本質がわかる授業)

文章問題として、「いちごをお皿に4個ずつ載せます。それと同じものを3皿分作ります。いちごは全部でいくつあればよいですか」などを「国語式」と表現すれば、「4個/皿×3皿=12個」は「算数式」、そして「4×3=12」は「数字式」といえるでしょう

式を「算数式」と「数字式」に分けて考えれば、より現実の場面をとらえやすいのは「算数式」です。

かけ算を(1あたり量)×(いくつ分)=(全体量)と決めて目前の現象を見たとき、「4個/人×3人=12個」と「3個/人×4人=12個」では、全体量は同じでもようすは違います。

(p.18)

教育評価

教育評価 (岩波テキストブックス)

教育評価 (岩波テキストブックス)

たとえば,「乗法(かけ算)の意味理解」にかかわる実践を例にあげれば,「生活知」(加法の延長に累加――3×2=3+3――として乗法をとらえている状態)と「科学知」(「一あたり量×いくつ分=全体量」として乗法をとらえること)の競合関係をいかに教育的に組織するのかという課題が成立する.この場合,何よりも実践者に意図されていることは,「生活知」の限界(乗数が大きくなれば累加は実際上困難)と「科学知」の有効性とそのための条件(あるものが均等配分されている場合には「一あたり量」と「いくつ分」を確定できれば「全体量」がわかる)を子どもたちが納得できる問題状況を設定することである.

(p.120)

それでは,「乗法の意味理解」を例として,さらに具体的に説明してみよう.まず乗法の意味としては,正比例型(一あたり量×いくつ分=全体量),直積型(面積),倍比率型(倍),累加型(たとえば3+3+3)の4通りがあることを確認しておこう.しかしながら,乗法が後の微分や積分の基礎になるといわれる場合には,その意味内容として正比例型が重要となる.つまり,数学教育における乗法の核心的な意味は,「加法」の延長(累加を簡単にしたもの)にあるのではなく,均等分布を前提として異なる次元の量(一あたり量といくつ分)によって構成されるところにある.

(pp.155-156)

情報過多問題

牡鹿には角が2本ある.大人になるとその角に枝角が6本生える.牡鹿の角の大きさは5フィートである.さて,大人の牡鹿の枝角は何本か.

情報不足問題

象の背の高さは13フィートである.象は,毎日,干し草やフルーツや野菜を130ポンド食べる.象は3日間で干し草を何ポンド食べるのか.

(p.157)

パフォーマンス評価の一種である「作問法」(この場合は「算式法」)では,「4×8=32となるようなお話をつくってください.そして,そのお話を絵で描いてみましょう」という例があげられるであろう.(略)

この場合の採点基準としては,「乗法の意味内容を踏まえたお話であるか」(正比例型,直積型(面積),倍比率型となっているか),「乗数と被乗数の意味が区別されているか」(とくに正比例型では「4」は「一あたり量」,「8」は「いくつ分」と区別されているか),「お話が現実的であるか」(略),「お話と絵が一致しているか」を考えておけばよいだろう.(略)

(p.158)

このパフォーマンス課題では,「4.十分な達成――このプラン作成のために乗法を使う.3.実質的に達成――示唆を得て,このプラン作成のために乗法を使う.2.部分的な達成――プラン作成にあたって乗法で時々つまずく.1.未達成――このプラン作成のために乗法をつかわない」というルーブリックが提案されている.

(p.159)

小学算数なっとくワーク2年生

小学算数なっとくワーク2年生

小学算数なっとくワーク2年生

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(p.99)

2-①え ②う ③い ④あ

①と④が逆になってしまうことがあります。「いくつのまとまりが」「何組あるか」で正しく式を立てられるようにしましょう。

(解答・解説p.19)

1まい7円の 色紙を,4人に 2まいずつ 買ってあげます。ぜんぶで いくらに なるでしょう。

(p.109)

しき 2×4=8 7×8=56

答え 56円

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(解答・解説p.20)

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(解答・解説p.20)

算数教育指導用語辞典

算数教育指導用語辞典

算数教育指導用語辞典

計算法則に関する注意事項

数の拡張では,三つの計算法則の確かめが必要であったが,これはあくまでも形式であって,これと離れた具体的な場面では注意すべきことがある。

例えば,交換法則に関しては,同じ加法でも合併なら交換が可能であるが,追加(増加)の場合では交換は不可能である。例えば,ミカンが5個あっても3個もらうと8個になるということから,3個もらって5個あってというのは意味が曖昧になってしまう。不用意に交換すると時間差を無視したりすることになる。

また,乗法で,被乗数と乗数を交換しているのは,2次元的な面積の場合が,縦横同じ種類の者が並んでいる人間とかおはじきなどの数を求める場合はわかりよい。

ただし,この場合でも,被乗数と乗数を交換したとき,その基準量をどうとらえたか,操作の観点をどこに置いたかをよく考え,その違いをはっきりとつかんでおかねばならない。同数累加や倍概念で操作する1次元的な乗法では,安易な交換は許されない。

例えば,三つの皿にみかんが2個ずつあるとき,みかん全部の個数は2×3で求められる。しかし,皿の数三つにみかんの数2個をかけて3×2というのは意味がなく,このような具体的な場面で2×3が3×2に等しくなることを理解させるのは,かなり無理があると考えられる*5

(pp.18-19脚注)

かけ算の式

数量に対応して,かけ算の式を考えるときは,例えば,6×8のかけられる数6と,かける数8には異なる意味が対応している。

(かけられる数) (かける数) (積)

6 × 8 = 48

(作用を受けるもの) (作用を及ぼすもの) (結果)

しかし,結果を求める計算や,その式がどんな数を表すかをみるとき*6は,6×8も8×6も同じ結果を表していると考える。

(p.189脚注)

算数好きにする教科書プラス 坪田算数2年生

まっすぐな道にはたが立っています。

はたは6本です。

はたとはたの間は、どこも8mです。

はたのはしから、はしまで、何mでしょう。

さっそく、問題が解かれる。

(1) 6×8=48(m)

(2) 8×6=48(m)

(3) 8×5=40(m)

(1)は二重の誤りで、式の表現が一つ分に当たる数といくつ分に当たる数を書く順が約束に合っていないし、間の数も違う。(2)は間の数を考慮していない。(3)が正解。子供の意見で徐々にこれが明らかになるように話を聞く。

(p.73)

田中博史の算数授業のつくり方 (プレミアム講座ライブ)

例えば,次のような文章題を考えさせてみます。「船が5そうあります.1そうに4人ずつ乗ることにします。」このような問題文になっていると子どもは必ず式を間違えますよね。「5×4」と書きます。今まで文の中に出てきた順番に数を使って式を書くだけで,ずっと丸をもらえていた子たちは,必ずこういう問題で引っかかります。

(p.62.《BA型》)

中学入試をめざすトップクラス問題集算数 小学2年 徹底理解編

トップクラス問題集算数小学2年―中学入試をめざす 徹底理解編

トップクラス問題集算数小学2年―中学入試をめざす 徹底理解編

〈乗法の式のたて方〉

「5枚のお皿に柿が3個ずつのっています。柿は全部で何個ありますか。」というような問題では,問題に出てくる数字の順に「5×3=15」という式を書いてしまう場合があります。これは,問題の場面をしっかりイメージしていなかったり,乗法の式の意味を十分理解していなかったりするためにおこると考えられます。そこで,問題文を読むときに,「1つ分の大きさ」に当たる数を○で,「いくつ分」に当たる数を□で囲むように指示し,問題場面を具体的にイメージしているか,確認してみましょう。乗法の式では,初めに「1つ分の大きさ」を表す数を,次に「いくつ分」を表す数を書くことを理解できるようにしていくとよいでしょう。

(答えと解き方 p.27.《BA型》)

必備!算数の定番授業 小学校2年

「かけ算を使って表せることが、この教室に見つけられるかな?」

「あるよ。このロッカーは4×3=12だよ。」

「4×3=12の12は、このロッカーでいうとどこにあるのかな?」

「このロッカー全部の数」

「では、4は?」

「この縦の4つ」

「たし算にすると、どうなるかな?」

「4+4+4=12」

このロッカーの数のように縦横に並んでいて捉え方が2通り(この場合は4×3=12と3×4=12)ある場合は、ここであえて、違うたし算の表し方を問いたい。それをたし算で表させることで“単位とする大きさ”をかけられる数に表すことを明確にしていく。

「このロッカーから、他のたし算を考えた人はいるかな?」

「私は3+3+3+3=12を考えました。横の3個をひとまとまりにしました」

「こういう場合はかけ算にすると、3×4=12となります。足し算にしたときに何回も足される数をかけ算の一番左(かけられる数)に書きます。」

(pp.48-49)

おまんじゅうが24こ入った箱

●●●●●●
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4×6=24
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3×8=24
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2×12=24
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6×4=24
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1×24=24
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●●●●  ●●●●
●●●●  ●●●●
3×4×2=24

(p.113)

「だったら、6×4もあるよ。」

「でも、それは4×6と同じだよ。」

「こうやって箱を回せば同じだもの」

交換法則を、箱を使って確認する。

(p.112)

ドリルの王様2年の文しょうだい

ドリルの王様 2年の文しょうだい

ドリルの王様 2年の文しょうだい

[6] 9人の 子どもに,いろがみを 3まいずつ くばります。いろがみは なんまい あれば よいでしょう。

しき(        ) こたえ(    )

(p.38)

[6] しきを9×3=27としてしまうまちがいがみられます。「3まいずつの9人ぶん」なので,もとになる数は3です。3×9と9×3では,しきのいみがちがうことをりかいしましょう。

(p.88)

9 えんぴつを,1人に 4本ずつ 6人に くばりました。

1人に 7本ずつ くばるには,あと なん本 あれば よいでしょう。

① 7本ずつ くばるには,1人に なん本 たりないでしょう。

② 1人に たりないぶんに 人数を かけて,あと なん本 あれば よいかを もとめましょう。

(p.52)

誰もができる子どもに活用力をつけるワクワク授業づくり

(1) おかしが、1枚のさらに2個ずつのっています。さらは3枚あります。

(2) さらが3枚あります。1枚のさらには、おかしが2個ずつのっています。

この文を式で表すと、どちらも「2×3」になるのだが、子どもに立式させると、(2)を「3×2」としてしまう間違いが見られる。文に出てきた数を、そのままの順番でかけ合わせるという間違いである。文を読み取り、具体的な場面をイメージできなかったことが、間違いの原因の1つと考えられる。

(p.67.《AB型》《BA型》)

┌─┐┌─┐┌─┐┌─┐
│□││□││□││□│
│△││△││△││△│
│○││○││○││○│
└─┘└─┘└─┘└─┘

○「4×3にも見える」という声が出てくると予想される。それは、箱の枠を取り払い、新しいかたまりをつくることで見えてくるものである。

(p.69.《複数解》)

時代を拓く子どもが育つ授業

かけ算を習ってしばらくしてから,次のような問題を出すと,多くの子どもたちは,問題文に出てきた順番通り立式しようとする。

ドーナツのはこが 4つ あります。

1つのはこには ドーナツが 5こずつ 入っています。

ドーナツは ぜんぶで なんこ でしょう。

4×5=20

しかし,この式に異を唱える子も出てくる。

「だって,『ずつ』という言葉が後から出てきているよ。」

「図をかいてみればいい。」

そういって,この問題文は,

5×4=20

の式が正しいと主張してくる.

式の順番などどうでもよい,答えが正しければいいじゃないか,という大人もいる。しかし,表現の手段としての「式」を考えた場合,それはまずい。

実はこのクラスの子どもたちは,かけ算の学習当初から,「○×△」は,「○のまとまりが△つ分」という意味を算数の言葉で表したもの,というように式=表現ということを繰り返し学んできた。「ドーナツを4つずつ5個に入れる」場合と「5こずつ4箱に入れる」場合はまったく違うことが意識できる子どもたちなのである。

(pp.21-22.《BA型》)

小学校 算数科の指導

小学校 算数科の指導

小学校 算数科の指導

おかしの はこが 3つ あります。

1つの はこには おかしが

6こずつ はいって います。

みんなで なんこに なりますか?

しきは、3×6かな?

6×3かな……

(同上, 右囲み)

(p.69.《BA型》)

(2) かける数とかけられる数

一般に,具体的な問題は,「基準量」と「いくつ分」が,この順番で示されているので,演算の意味を考えもしないで乗法の式に表す傾向がある.乗法の演算の意味を深めるためには,次のようなかける数とかけられる数が入れ替えた問題を取り扱い,確かな乗法の演算の意味理解を図ることが大切である.

(p.69)

みよじいちゃんの「なんで?」にこたえるおもしろ算数 小学1・2年

3+3+3のように,同じ 数字の たし算の しきが あるとき,これを 3×3と かけ算の しきで あらわすことができます。×は かけると いいます。

(p.93)

もんだい2

(あ) えんぴつが 2ダース(1ダースは 12本)と あと4本 あります。ぜんぶで 何本 ありますか。→答えは136ページ

(い) 子どもが 7人います。色紙を 1人に 6まいずつ あげるには,ぜんぶで 何まい あればよいですか。→答えは136ページ

(p.103)

(あ) しき 12×2+4=28 28本

(い) しき 7×6=42 42まい

(p.136.(い)は《BA型》に見えるところ,数値の現れる順に書いて×を挟めばいいと読める)

れいだい5

(3) 9×10は 9×6と [4]×9に わけられます。

(p.102)

算数の授業で育つ言葉の力

はこが、4はこあります。

それぞれのはこには、

あめが3こずつ入っています。

あめの個数は,12個だよ。*7

T:あめの個数を求める式は?

3×4でも,4×3でも,どちらでもいいと思うよ。

そうだよ。どちらも答えは12になるよ。

(p.60.《BA型》)

「4が3こ」じゃなく,「3が4こ」だから,3×4じゃなきゃだめだよ。

(p.60)

新編算数科教育研究 改訂版

新編算数科教育研究

新編算数科教育研究

(1) 乗法の定義

丸1 公理論的立場から:ペアノの公理系

ペアノの公理系によって自然数を構成するとき,乗法は次のように,加法を用いて帰納的に定義される。

 (i) a×1=a

 (ii) a×b'=(a×b)+a (ただし,b'はbの後者を表す)

この定義より,結合法則…(a×b)×c=a×(b×c),乗法の加法に関する分配法則…a×(b+c)=a×b+a×c,交換法則…a×b=b×aなどが演繹的に証明される。

丸2 集合論的な立場から

乗法を加法とは別の演算として,2つの集合の直積を基に定義する方法がある。AとBを2つの集合とするとき,AとBの直積(または積)とは,Aの要素aとBの要素bとの順序づけられた組(a, b)全体で作られる集合のことであり,これをA×Bと表す。p個の要素をもつ集合をA,q個の要素もつ集合をBとするとき,pとqの積を次のようにA×Bの要素の個数と定義する。

n(A)×n(B)=n(A×B)

一般に集合Aがp個,集合Bがq個の要素からなる有限集合ならばA×Bは(p×q)個の要素をもつ集合となる。そして,直積A×Bはp個ずつq行並んでいる,あるいはq個ずつp列並んでいるとみることができる。丸1のペアノの公理系による乗法の定義は代数的であることに対して,こうした定義は図2-1にあるように横軸にA,縦軸にBをとった幾何的に表現できる。このように並べたものはアレイと呼ばれ,この図から加法(同数累加)との関連付けができ,また交換法則が成り立つことも明らかである。さらに,分配法則が成り立つことも証明できる*8

(pp.39-40)

丸1 乗法の意味

乗法の導入時に子どもが既習経験としている演算は加法である。したがって,乗法の意味は加法を基にした「同数累加の考え」で導入されることが多い。これは,考える対象が同じ大きさの数で表される場合に「何を何回加えるか」を簡潔に表す方法として乗法を意味付けるものであり,たとえばaのかたまりがb個あるときにa×bと表す。この考え方は,先のペアノの公理系における乗法の定義の考え方にも通じている。問題は,この考え方ではa×bにおけるbは「aを何回加えるのか」という個数を表すことになり,したがって,bは正の整数のときにしか意味をなさない。そこで,いくつ分を表すbを「倍」とみて,同数累加の考えを基にa×bの意味を「(aを1とみたとき)aのb倍にあたる大きさ」という割合の見方でみられるようにもしていく。このような見方に触れていくことで,bが小数や分数のときに必要となる乗法の意味の拡張を,子どもが行いやすいようにする(略)。

なお,上記のように考えたときa×bのaとbはそれぞれ異なる意味をもつ。

(p.41)

“つまずき”サインチェックシート

[1] しきをかいて考えましょう。

(1) ○○○,○○,○,○○○○○○ ぜんぶで ○は いくつですか。

(2) ○○○,○○○,○○○,○○○ ぜんぶで ○は いくつですか。

(p.44)

答え

[1] (1) 3+2+1+6=12

(2) 3+3+3+3=12,3×4=12

(p.45)

“つまずき”サインをチェック!

[1](2)もたし算の式だけをつくった場合は,かけ算の意味がわかっていません。

(同)

筑波大学附属小学校田中先生の 算数 絵解き文章題

筑波大学附属小学校田中先生の 算数 絵解き文章題 (有名小学校メソッド)

筑波大学附属小学校田中先生の 算数 絵解き文章題 (有名小学校メソッド)

文とあう絵をえらんで,――でつなぎましょう。答えも書きましょう。

  • 花を,1人に5本ずつ4人に配ります。花は全部で何本いりますか。
  • 花を,1人に4本ずつ5人に配ります。花は全部で何本いりますか。
  • 3人の子どもに,花を5本ずつ配ります。花は全部で何本いりますか。

(図省略)

(p.75)

文とあう絵をえらんで,――でつなぎましょう。式と答えも書きましょう。

  • 長いすが4つあります。1つの長いすに6人ずつすわると,みんなで何人すわれますか。

(図省略.式を書く欄は□×□=□となっている)

(p.79.《BA型》)

P79の文章では,「いくつ分」→「1つ分の数」の順に数字が出てくるので,読み取りをまちがえないように注意しましょう。

(p.136)

今回は,P82,P83のそれぞれで,「1つ分の数」→「いくつ分」の順に数字が出てくる文章題(Aパターン)と「いくつ分」→「1つ分の数」の順に数字が出てくる文章題(Bパターン)を織り交ぜて提示しています。

お子さんがこのようにちがったパターンの文章題に取り組むことで,場面を正しくイメージする力を養う訓練になります。

(p.137)

算数・数学教育つれづれ草

算数・数学教育つれづれ草

算数・数学教育つれづれ草

昭和40年(1965年)ころ,「5円の品3個の代金の立式は,3×5ではダメなのか」の論争が大阪や神戸から湧き起こった。それは海外で教育を受けた子どもが日本に帰国して授業に臨むと,上記問題の正答は,5×3のみで,3×5はダメという指導に遭遇した。そこで,帰国した子どもの親たちから担任教師に対する反発が起こり,問題化していった。

(p.46)

5 『小学校指導書 算数編』文部省 昭和53年5月10日 大阪書籍 正答 5×3,3×5

“1本の長さが5cmのリボン4本分の長さを5×4と表す。しかし,結果を求める計算や,その式がどんな数を示すかという立場で考えているときは,5×4も4×5も同じ結果を表しているといってよい。その点,どのような立場で式を考察しているかをはっきりさせて取り扱うよう,指導の際特に注意することが必要である。”p.61〔2年〕

(p.47)

乗法とは

(1つ分の大きさ)≡a,(いくつ分)≡bが認知できたあとで,(全体の大きさ)≡cを求めること であって,a×b=cまたはb×a=cと書く。

(p.47)

*1:当雑記内で,過去の表記を見直し,エントリにしたものとして,2010年11月20日(自分の「×」の使い方)があります.

*2引用者注:原文ではここで改行しない.以降5行の開始位置を揃えるため,ここで改行している.

*3引用者注:この文献はCiNiiでヒットしない.

*4引用者注:「同じ人数ずつ」の下に波線と「3人ずつ」があります.これらは,板書において,問題文を書いた後で書くものとされています.

*5引用者注:トランプ配りによって,3×2もこの場面を表した式とみなせる.しかしその解釈ができても,「皿の数三つにみかんの数2個をかけて3×2」という式の読み(また別の解釈)を打ち消すことはできない.関連:http://d.hatena.ne.jp/takehikom/20111227/1324932859

*6引用者注:出題者が「6×8」を提示して,「答えを求めましょう」「これと答え(積)が等しくなるようなかけ算の式を,九九の表から見つけましょう」などを出題する場面と思われる.前の段落の「数量に対応して,かけ算の式を考えるとき」との違いに注意したい.

*7:原文では,この文は吹き出しの中にあり,その右に「→※上の文に続けて板書しておく。」が添えられている.

*8引用者注:結合法則については記載なし.

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