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2012年12月25日

[] 「向山型算数」読み足し

00. お知らせ

雑報です.

12月27日に,当初予定していた項目を,面積かけ算ツアーとして公開しました.

同日,「6. TOSS vs AMI」として本記事に追加しました.

0. 前回

1. 教え方のプロ・向山洋一全集

ある人々向けに書くと,「かけ算の順序は,向山洋一氏も認めている」です.

ともあれ,気になった出題をいくつか取り出します.

  • p.40: 「こしかけを ならべています。1れつに4こずつ 5れつ ならべると,ぜんぶでなんこになりますか。」.「⑦同じものがいくつかあるときは かけ算をする1」の「きほんもんだい」です.ページ中央部の絵は,20個のうち14個のいすが黒です.残りは灰色で,なぞるようになっています.こたえとしきを書かせます*1.しきはp.139によると「4×5=20」のみです.
  • p.42: 「こどもが 4にん います。いろがみを ひとりに3まいずつ あげるには,なんまい いるでしょうか。」.「⑧同じものがいくつかあるときは かけ算をする2」の「きほんもんだい」です.《BA型》です.絵は,4人の子と,1人分の色紙はありますが,残りは真っ白で,「このつづきを かきましょう」となっています.その下に,こたえ,しきの順です.しきはp.140によると「3×4=12」です.
  • p.58: 「みかんが たてに6こ,よこに8こ ならんでいます。みかんのかぞえかたを みつけましょう。」.「⑯正しい計算はどれだ!」.みかんによるアレイ図があります.「正しい計算のしかたに,○をつけましょう。」として,「6×8」「6+8」「8×6」「8−6」があり,○がつくのは「6×8」と「8×6」の2つです.「上のもんだいのように,たてをかけられるかずにしても,よこをかけられるかずにしても,おなじときは,どちらのしきでも よいのです。」を含む吹き出しが,ページ下部にあります.
  • p.59: 「4ひきのおさるに,バナナを5本ずつあげました。バナナは,ぜんぶでなん本 あげましたか。しきとこたえを かきましょう。」.絵と,しき・こたえを書く欄の下に,5本ずつ 4ひきにあげるので,〓〓〓の4ばいと考えます。」(〓〓〓はバナナ5本の丸囲み)という注意書きがあります.

出題と別に,次のところにも興味を持ちました.

  • p.9: 「80点〔20点×4〕」として,配点の表記で,「×」が最初に現れます.内容は,たし算とひき算の問題です.

本の巻番号は「62」となっています.裏表紙には「第五期・向山洋一全集」として61から73までが並んでいます.それらをすべて,向山洋一氏が書いてから,他の人々が校閲したのかというと,そうではありません.「まえがき―新しい時代に活用する教材として」に,刊行までの経緯が書かれています.主要なのは,次の2点でしょう.

  • 20年前は「進研ゼミ小学校講座」を担当しました*2.基本計画を明確に打ち出し,選抜した100名位のライターに見本原稿を書かせ論文審査.書き直しをさせ,教材が完成しました.
  • この全集は,もともと「セシール通信教育教材」として開発したものです.向山洋一氏は,「幼児通信教育」の初代開発責任者です.その後セシールは通信教育から撤退するのですが,開発し,そこで日の目を見なかった教材は,「著作権者向山」として出すことになりました.全集として出版するにあたり,百数十名のライターを集め,「向山の方針を示し,原稿を審査し,書き直しを命じた」とのこと.

簡単に言うと,向山洋一氏はそれら教材のプロデューサなのでした.

この本は授業・教え方ではなく,出題・教材の整備が中心で,氏の「生の声」がほとんどなかったため,全体としてのパワーは弱めに映りました.

とはいえ,算数教育に携わる団体のトップが,「かけ算の順序」を是認している*3のを,書店で見たとき,驚きを隠せませんでした.

2. 向山型算数授業法事典 小学2年

編者(木村重夫)は,一つ前で取り上げた本で,校閲者として名前が入っています.幹部クラスと思ってよさそうです.

内容はというと,各教科書を使った授業例が書かれています.教科書会社は,東京書籍・啓林館・学校図書・教育出版と目次に並んでいますが,その中でもっとも,項目数とページ数が多いのは,啓林館です.啓林館のかけ算①はpp.60-79で,集中して読みました.以下は,昨日no titleとして公開した内容を,当ブログ用に書き換えたものです.

  • 「かけられる数」と「かける数」の区別を重視します.最初は,それらを黒板の式に吹き出しに載せ,子どもたちにも書き写させます.
  • 囲みで〈ポイント〉として,「5×8と8×5との区別をする」(p.69),「あとあと,2×8と8×2との区別をするためである」(p.73)と書き,「何このいくつぶん」を徹底しています.
  • pp.76-77では,「おかしのはこが4つあります。1つのはこには,おかしが5こずつはいっています。みんなでなんこになるでしょう。」という教科書からの問題を取り上げ,「かけられる数とかける数が入れ替わった文章題」を扱います.問題解決学習だとここで,「4×5=20」と「5×4=20」の式を出させて比較するところ,本文では「4×5=20」が出ることなく,板書の図を書き写させて,「5×4=20」へと導いています.
  • pp.78-79(かけ算①の最後の見開き)は,作問の授業です.教科書の出題は,「下のえを見て,3×4のしきになるもんだいをつくりましょう。」です.子どもたちが問題を作ったら,先生はそれを見て,寸評とともに「4点」「1点」「10点」といった個別評定をします.「10点」でなければ作り直します.2〜5の段のかけ算へと広げて、同様に子どもが問題を作り,先生が個別評定をしていくと,そのうち「12点」という点数が出て、子どもたちはびっくりします.それは「前時にやった「かけられる数」と「かける数」が入れ替わった文章題」です.

点数の基準は,「式と絵が合っていたら4点,式と問題が合っていたら4点,もんだいカードになっていれば2点」(p.79)で,すべて満たしていれば10点のようです.「1点」は,「何を聞いているのかわかりません。1点。」(p.78)というところで出てきます.おそらく書いた努力は認め,「0点」にはしないのでしょう.

こういった点数を,先生がノートにつけるわけではありません.「4点」「1点」「10点」といった点数を言われた子どもたちは,「やった!」「やり直さなきゃ」と反応をする,そんな学級運営が,個別評定の背景にあるように思います.

もう一つは,形成的評価です.『教育評価 (岩波テキストブックス)』pp.123-124の解説は,一つの単元で複数回からなる授業を念頭に置いています.しかし上の話から,1回の授業で,合格点(10点)に届かない子はやり直させて,合格点を取った子も「2つ目3つ目をつくらせ」て,授業時間中に手(そして思考)を止めないようにしながら,かけられる数とかける数の役割の理解を,形成・定着させようとしているのが,認識できました.

ところで,TOSS(向山型算数)の本をいくつか見ていると,独自の型で授業を実施しつつ,形成的評価だとか,学習指導案だとかいったものと無縁に見えるのが,気になっていました.

仮説ですが,あえて教育制度から独立させ,教材や指導法を整備しているのでしょう.

そしてその独立性から,2つの利点が言えそうです.一つは単純で,制度が変わっても*4,授業で使えるということです.

もう一つは,学習指導案といった既存の(学校その他が勧める)フォーマットに,TOSSの教材や指導法を載せることが可能ということです.そういった作成文書を,公表するとなると,使用した教材の著作権への配慮も必要ですが,TOSSの本を書店で読んでたまたま,授業に取り入れようというよりは,赴任したらTOSSに熱心な先輩教師がいたのでその下で学んだという可能性のほうが高いでしょうから,そのあたりでノウハウの継承もなされるはずです.

3. 元先生の話を聞く

10年ほど小学校教師をしていた人と,ひょんなことで,かけ算の指導法について会話をすることができました.夫婦の会話にアレンジして,以下に残しておきます.

  「あのさあ」

「どしたん」

  「何や小学校の算数で,『作問』てのがあるんやてな」

「さくもん?」

  「4×8=32になるような問題をつくりましょう,みたいな」

「あ〜,そういうの,あるね」

  「んでな,子どもによっては,『赤いボールが4つあります.青いボールが8つあります』」

「…」

  「んで分かると思うけど,『かけるといくつになるでしょう』」

「あるある(笑)」

  「あ,そんなに笑うんや」

「実際あるもん.文を書かせたら,子どもが分かってるか分かってないか,すぐ分かるから」

  「ふむ,分かるんかいな」

「あたしが,2年の担任を持ってたときは,かけ算の宿題で,毎回そんなんやってたね」

  「へえ」

「宿題で,文章題を作らせんねん.5の段を勉強したら,5の段になるようなんな」

  「ふむ.文と,式と,答えかいな?」

「絵もかかせたよ」

  「ほお」

「それで学校へ持ってきたら,1個1個見ていってな,マルつけたり」

  「ま,先生のおしごと,やな」

「4×8と8×4は違うからその辺にも注意してな」

  「ああ,そんなんあるんや」

「せやで.それにしても,算数のそういった問題だけやないで.子どもの学力はな,作文見たら分かるわ」

対話者の個人情報は出さないようにしたいところですが,文系なのは,別の機会に教わっていました.国語・社会が強く,中高もそれらの科目の免許を持っているとか.

こっちは「4×8と8×4,答えは同じだけど意味が違う」というのがどのくらいの範囲で認められているかを調査していて,今月やっと,それが裏付けられる英語文献を見つけたところです.小学校の先生の側は,教え方の要所の一つとして,頭の中に入れていて,子どもたちへの指導でも意識し,そしてこのように,同業者でない者へも,さらっと言ってくれたわけです.

この件は,「4×8と8×4,答えも意味も同じ」あるいは「意味*5の違いというのが不適切」という信念の人々の間との,対立点となっているように思います.

折り合いをつけていくには,「意味が違うことがある」なのだろうと思っています.先日引いた中にも,"..., 3×4 may not be the same as 4×3 in a real-life situation."とありました.

そうすると,どんなときに違っていて,どんなときは同一視できるかが,次の問題となってきます.Anghileriらの図と,冒頭の『教え方のプロ・向山洋一全集』収録の教材の共通点として,見えてくるのは,次のことです.アレイでは,a×bでもb×aでも良いため同一視できます.そしてその構造でなければ(4つのはこにおかしが5こずつの問題を含め),あるa×bのみがその場面に対応し,b×aでは意味が異なります.というのが,算数に携わる人々の共通理解であるようです.

4. 面積の発見

新たに読んだ本です.

面積の発見 (岩波科学ライブラリー)

面積の発見 (岩波科学ライブラリー)

書かれている中で,面白いなと思ったのは,「段積360歩」の話です(pp.26-27).『令集解』では,「古記に言う,田は長三十歩,広十二歩を段とする.段積は三百六十歩」とあります.中国の『九九算術』の記述と合わせて,かけられる数もかける数も,面積も,単位が「歩」と書かれていたことを,示しています.先日,新たなかけ算のサンドイッチで書いたのに当てはめると,段積の計算も,「数×数」に入ることになります.

「長」「広」という,面積計算の構成要素については,今年のはじめに一つ論文を読み,長方形の面積,数直線でかけ算わり算の前半で取り上げました.面積というとほかに,数学者による「かけ算の順序」複比例〜文献からでも少しずつ,書いています.

著者は「長方形の面積は,縦の長さと横の長さの積として求められる」という定理(あとがき,p.123)の証明で,ある疑問が氷解したと書いています.本を読み終えた自分はというと,おそらく著者の思いとは逆で,面積は,2次元イメージ(縦・横の広がり)を持たせた,1次元の量で表されるもの,というのがその本質だと思っています.

面積として一つの値すなわち量を決めると,長さや重さと同じ方法で,加減算,定数倍,等分除・包含除の演算ができます.定数倍以外のかけ算は,一つは体積(底面積×高さ),もう一つは比例関係に基づくものです.労働時間や収穫量と,面積とも,そういった観点で対応づけられそうです.

「1次元の量」「2次元イメージ」の両方が現れる,小学校の算数の有名なものに,ペンキ塗りの問題があります.

1dLで4/5 m^2ぬれるペンキがあります。

ア 3dLのペンキでは何m^2ぬれますか。

イ 1/3 dLのペンキでは何m^2ぬれますか。

分数の乗法|算数用語集

上の問題は,面積以外のものに置き換えることができます.例えば「4/5 mの紐にぬれるペンキ」「何mぬれますか」としても,場面の設定は可能です(数量の調整は必要ですが).その意味で,1次元の量となります.

しかし面積を採用しているのは,分数の乗法という計算の「意味」を視覚化するためなのでしょう.面積図を横方向だけでなく縦方向にも切って---これが2次元イメージ---,かけ算の答えが何分の何になるかを知ることができます.

図を見ていて,分数の乗法が厄介なのは,別の向きで切るという操作のほか,量分数と割合分数の両方を使用している点がありそうです.「量分数」「割合分数」*6といった用語は小学生向けでありませんので,それらをどのように見せるか,あるいは隠すか,学習させておくかが,児童らの分数計算への理解や関心に,影響を与えるようにも思います.

あれれ,読んだ本から,変な展開になってしまいました.

5. A piece of information

今年だったか去年だったか,学生の英文に"an information"とあったので,それらの間に"piece of"を入れるよう,赤書きをしました."an"のnを取り除くよう,指示したかどうかは,ちょっと記憶にありません.

google:an informationで引くと,こう書いても良さそうなのが上位に来ていますが,検索語を少し変えたり,日本語ページのみを出させてみると,それはまずいというものばかりになりました.

不可算名詞の代表格であるinformationに不定冠詞aをつけて、an informationと言ったりするのは、下であり、a informationとするのは下の下です。

no title

今日では不可欠なinformationという単語は、不可算名詞の代表格!「情報を一つ」と言いたければ、a piece (a bit, an item) of informationであってan informationではありません!

実践ビジネス英語Q&A : 日経Bizアカデミー

ネイティブでない限り、不可算名詞を意識的に覚えていく作業は欠かせません。なぜなら、「an information」は変だというような「感覚」をネイティブでない学習者は持たないからです。

JAPA101 » Maintenance Mode

例えば、日本語の「情報」に相当する英語の"information"は非可算名詞である。An informationやinformationsとは言わない。アナログの時代であればまだしも、いまやデジタル時代で情報も1個1個数えられる時代である。可算でもいいと思われるが、そう簡単に言語のルールを変えるとことはできず、いまでも非可算名詞のままである。あえて非可算名詞を数えたい場合には、a piece of information のように表現する。

理系のための英語講座1

そういった文法や,英語の言葉感覚も大切ですが,情報の実質といいますか,情報の一つ一つを大事にしたいとも思っています.

見かけた情報を,切って捨てたくない,というのが本音です.とりあえず心の片隅に置いて,他の情報が来たり,注目したりしたときに,浮かび上がらせるようにしたいのです.

そう思うのは,研究で開発する(あるいは学生が開発している)データベースや全文検索に登録する各情報が,必ずしも検索されるとは限らないけれど,結果として出せるよう格納されていて,その蓄積がシステムの信頼性・有用性を支える重要な要素となっているからです.

計算機を離れると,歌集にトリアージを書いたのはもう4年も前の話です.乗法宝探しの最後の項目だけを取り出して,情報お宝探しを作ったのも,いい思い出です.

蓄積された情報をもとに,新たな知見を引き出し,言葉にすることが,求められています.蓄積された情報をすべて,頭の中に入れておくことはできないのも,事実です.Webで見かけた情報は,ブラウザのブックマークやはてブといった外部記憶を,うまく活用していくとします.

6. TOSS vs AMI

対立を煽る意図はないのですが,2つのトピックで,TOSS(向山型)とAMI(数学教育協議会)それぞれの本を照合することができそうです.

まず,『学力向上のTOSS算数ワーク 小学2年編』p.40に,「こしかけを ならべています。1れつに4こずつ 5れつ ならべると,ぜんぶでなんこになりますか。」という出題があることを述べました.式は「4×5=20」のみです.

これについては,「かけ算の順序」で有名な,遠山啓の文章を持ってこないといけません.

ミカンを配るのに,トランプを配るときのやり方で配ると,1回分が6こ,これを4回くばるのだから,それを思い浮かべる子どもは,むしろ,

6×4=24

という方式をたてるほうが合理的だといえる。

これが,もし,つぎのような問題だったら,どうだろう.「教室の机は1列に6つずつ4列ならんでいます.机はみんなでいくつありますか」という問題では,4×6でも,6×4でもいいとせざるをえないだろう.

(『遠山啓著作集数学教育論シリーズ 5 量とはなにか 1 (1978年)』p.116)

こしかけの問題と,机の問題が,まったく同じ構造となっています.

とはいえ違いもあって,こしかけの問題には図があり,列ごとに空きがあり,同じ列のこしかけの間隔は,ほとんどありません.それにより,4個ずつのグルーピングができており,「4こ」がかけられる数,「5れつ」のほうがかける数,と区別されます.

遠山のほうは,机の問題に関する図は見当たりません.実際のところは,(かけられる数・かける数を交換した)2つのかけ算の式で表せるという他の例として,挙げています.

どちらに軍配を上げるのかというと,出版年の新しさ,言葉と状況(図)との対応づけ,そして「タイル×タイル」で引用したとおり,遠山が見解を変更していることから,TOSS側,すなわちこの種の出題では,かけ算の式は一つだけとするほうを,支持したいと思います.

もう一つのトピックは,「12点」の件です.『向山型算数授業法事典 小学2年』p.79で,「前時にやった「かけられる数」と「かける数」が入れ替わった文章題」に,10点を超える点数をつけたという話です.

比べるのは,1980年代の次の文章です.

(5)かけ算の文章題づくり

かけ算の意味が子どもに理解できているかどうかの最終的なツメです。意味がわかれば,問題がつくれるからです。そこで,「6×8の文章題をつくりましょう」と問題を出し,ノートに文章題をつくらせました。

〔子どもがつくった文章題〕

1) 1あたり量が先にきている問題

  • 1はこにトイレットペーパーが6ロールはいっています。そのはこが8こあります。トイレットペーパーはなんロールありますか。
  • 1ぴきの「なまず」の水そうに,えさの「めだか」を6ぴきずつ入れることになりました。「なまず」の水そうは8こです。さて「めだか」はなんびきいるでしょうか。

2) 分量が先にきている問題

  • ねこが8ぴきいます。1ぴきにすずを6こつけると,すずは何こいりますか。
  • 8びんにジュースが6dlあります。ジュースは何dlですか。
  • 車が8だいありました。どの車にも人が6人ずついます。ぜんぶでなん人いるでしょう。

3) つまずいている例

  • 1さつ8ページの本があります。その本が6さつあります。全部で本のページはいくつでしょう。
  • ふねが6そうとまっています。人間が8人ずつのっています。ふねは,何そういるでしょう。

(『さんすうの授業 第1階梯―自主編成研究講座 小学校1・2・3年生』p.176)

Amazonの書籍情報では見えませんが,この本の筆頭の監修者は,数学教育協議会委員長を務め,遠山との共著も多数ある,銀林浩です.

「1あたり量が先にきている問題」と「分量が先にきている問題」を,正解として対等に並べています.

もし私が正解・不正解の判定をするなら,おそらくこうすると思います.8が先,6が後にきている問題(答案)を見かけたら,文をよく読んで,「分量が先にきている問題」と「つまずいている例」に振り分けます.

ともあれ,「前時にやった「かけられる数」と「かける数」が入れ替わった文章題」にせよ「分量が先にきている問題」にせよ,先生としては興味をそそる,子どものアウトプットなのでしょう.そのいくらかは,たまたま数を取り違えて,できたのかもしれないのですが.

(最終更新:2012-12-27 朝

*1:こたえが先なのは,かけ算でなくても,数えて答えを出すのでもいいよという意図なのでしょう.

*2:あとがきによると,これは「法則化運動」よりも前の話です

*3:いつものフレーズを書いておきますね:「かけ算の順序」という言葉が混乱・困惑の原因であり,算数教育をより適切に理解するためのキーワードは,「意味の理解」「かけられる数とかける数の区別」です.

*4:教育評価に関していえば,「観点別評価」「指導と評価の一体化」あたりが今後,消滅あるいは変容していくように予想します.

*5:「乗法の意味」というよりも「式の意味」を指します.したがって,式のみからは何を考えてそう書いたかを得ることができない,という主張と結びつきます.

*6:イの問題で,ペンキの量が「1/3 dL」になっているけれど,式としては「1/3」すなわち割合に変換されます.そのようにできる背景に,比例の考え方があります.割合も比例も,英単語はproportionです.