Hatena::ブログ(Diary)

わさっき RSSフィード

2018年04月17日

[] ツかトか

情報処理科目の授業の準備にとりかかりました.今週の授業です.

大枠は決めています.テーマは昨年度と同じく「ソフトウェアの管理」で,授業中に一つ,各自のPCでソフトウェアダウンロードし,インストールしてもらいます.対象バージョンの変更のほか,この1年のBYOD運用で,Windows Update関連のトラブル*1も聞いていますので,その必要性と注意点を,新たに1枚のスライドにしました.

スライドを見ていく中で,語句の列挙はこれでいいのかなと思ったものがありました.以下は昨年度の授業スライドからの抜粋です.

さまざまなソフトウェアアプリ

参考書には「電子メール」*2が混じっていますが,あえて入れていません.「日本語入力と「統合開発環境」は,参考書にはない項目です.

改訂新版と見比べました.項目は変わっていないな,じゃあこのままでいいかと思った直後に,「オフィス・スイート」という見出しになっていることに気づきました.

ツのままか,トに変えるか….

どっちでもいい話ですが,数秒間,悶絶した結果,改訂新版の「オフィス・スイート」を採用することにしました.

同じスライドの下部に,囲みを設けて以下のように書いていました.

スイーツ」(またはスイート)はsuiteと綴り、よく使われるソフトウェアや機能的に関連のあるソフトウェアをひとまとめにしたソフトウェアパッケージをいいます。

ここは,スイーツとスイートを入れ換えました.


参考書について:

今月と先月に書いたのは:

*1:更新しないことによる不具合,ではなく,授業で1週間ぶりにPCを開いたら,アップデートが始まり,通信帯域を大幅に使用したというほか,思わぬタイミングで再起動してしまい,保存していなかったデータが消えたという話を,聞いています.

*2:書かれているのは,電子メールの仕組みではなく,いわゆるメールソフト,あるいはMUA (Mail User Agent)のことです.Webメールも,初版で言及されていました.

2018年04月15日

[] 120人!

いきなりですが問題です.

"exhaustive search"の同義語・類義語を,できるだけ多く答えてください.

日本語・英語を問いません.

金曜日の午後一番の授業(ネットワークセキュリティ)です.授業スライドと別に,「はじめのテスト」と「まとめテスト」をPowerPointファイルにして,いつものプレゼン用具一式をカバンに詰め込み,講義室に入りました.

開始数分前にもかかわらず,座席を埋め尽くしている状況に驚きました.4人横並びの座席は,両端の2人だけでなく,中の1席分にも,誰かが座っているのが,当たり前だったのです.

配付資料は昨年度より少し多めの90部*1,小テストの解答用紙は100部しか,持って来ていません.足りないのが,目に見えています.

授業を終えて自室に戻り,答案枚数を数えてみると,こちらの用紙に解答したのは95名,ルーズリーフなどに書いて提出してくれたのは25名,合わせて120名となりました.

一人ひとりに,向き合えるでしょうか…


話を戻して,解答です.

「次回以降も,授業のはじめに,授業内容と関連するような小テストを解いてもらう予定です.

さて,"exhaustive search(イグゾースティブ・サーチ)"の同義語・類義語ですが,まず日本語に訳すなら,『全探索』といいます.対象をすべて,検索することです.数学では『全数探索』とも呼ばれます.なお,searchの訳語は『検索』が一般的ですが,前につく言葉によって『探索』とするのが良い場合もあります.exhaustiveという単語を直訳するなら『徹底的な』です.

なのですが,セキュリティの分野では,"brute-force attack(ブルート・フォース・アタック)"という言葉のほうがよく使われます.forceに『力』という意味もあり,"brute-force attack"は『力づくの攻撃』という訳し方もできます.とはいえこの言葉は,『総当たり法』または『総当たり攻撃』と呼ばれることが多いです.

認証のためのパスワードを見つける,暗号文を持っていてその鍵をコンピュータで求める,といったときに,すべての候補を試して,当たりが出るまで行う,というのが,brute-force attack,総当たり攻撃の行動となります.ということで,exhaustive searchや全探索との同義語になるわけです.

ここまでは同義語です.少し手を広げて,類義語として何があるかを,答えてみますと,コンピュータ分野の俗語として『なめる』というがあります.漢字で書くなら『舐める』です.関西人なら『ナメとんのかワレぇ』のような脅し文句(あるいは気軽なツッコミフレーズ)を聞いたことがあると思いますし,ポケモン世代なら『したでなめる』という技のほうが,なじみかもしれません.

ベロは使いませんが,対象を先頭から順に見ていくことを,『なめる』と言います.これは全探索の類義語と見なせます.英単語は"scan"です.先ほど,俗語と言いましたが,ある辞書によると,『なめる』の意味の一つとして『くまなく及ぶ』と書かれていまして,用例には『火は商店街をなめつくした』とあります.

また別の類義語に,話を切り替えます.『素朴な方法』あるいは『単純な方法』と日本語で言い,英語にすると"naive method"です.simpleでは,ありません.やっていることが単純で,かつスマートなら,simpleでかまいません.やっていることは単純だけれど,どう見ても鈍くさい方法で,ちょっと手を加えれば,同じ問題,セキュリティならパスワードクラックや解読などを,より短時間で解くことができるだろうってときに,naive(素朴)という言葉が好んで使われます.

…と,こちらで用意した解答を,振り返りますと,日本語だと『全(数)探索』『総当たり法/攻撃』『なめる』『素朴/単純な方法』,英語では"brute-force attack","scan","naive method"となります.みなさんの解答の中に,きっとこちらで考えてもいなかった,面白い言葉があると思いますので,持ち帰って,学生番号順に答案を整理してから,じっくり読ませてもらいますね」

*1:2年前までは,学科の3年生が大部分だったので,65部ほどで足りていました.昨年度(の3年次)からメジャー制に切り替わりまして,他メジャーのからの受講もあって70人台となり,そのときでさえも驚いたものです.

2018年04月11日

[] 某ゼミ初回〜提出方法の変更,加入学生への対応

前期授業が始まりました.さっそく5限に,マスターコースの学生と教員が集まる某ゼミがありました.初回の顔合わせとガイダンスにとどまらず,学生3人が発表しました.

主任の先生が,PowerPointを使って30分ほどガイダンスをされました.今年度の大きな変更点の一つに,発表に対するコメントは紙ではなく,学内運用のMoodleで提出するというのがあり,そこに時間をかけて説明し,ブラウザ画面に切り替えながら周知をしていました.

事前に,連絡をもらっていましたので,こちらはこの某ゼミに,ノートPCを持参してみました.発表コメントの提出について,締切は翌日なのですが,ゼミ中に打ち込んで提出しても,いいのではないかと思ったのです.

試した結果,1人目,2人目の発表は,ゼミ中にコメントを書くことができました.手書きのときよりも,多くの字数を書くことができたように思います.

3人目は,少々あせりました.質疑応答の時間は,発表学生にどんな質問をしようかよりも,コメントをどのようにまとめればいいのかに,意識が向いてしまいました.


誰が言ったかはあえて書きませんが,ガイダンスが終わって学生発表となる直前に,「学生は部屋の前方で聞きなさい.真剣さが足りないよ.すでに卒業した人たちは,いま,就職先で必死にやっているんだから」と,説教がありました.

瞬間にこれはまずい,部屋の空気を凍らせると感じました.教室後方に座っていた学生は,教員の所属の移動により加入した学生だったからです.「学生は前方,教員は後方」という,我々の某ゼミの運用ルールを,把握していなかったのです.4月から入ってこられた先生が,そのとき不在だったのも,災いしました.

質疑応答で最初に質問したのは,そこの研究室の学生でした.今年度からの某ゼミの運用ルールに,質問の前に所属研究室・学年・氏名を言うことが追加され,これまでにない研究室名*1だったのでした.

*1:この質問を含め,はじめの何人かは,“教員名”研究室名ではなく,「情報検索とアクセス技術研究室」のような,“やっていること”研究室を,所属として言っていました.うちの研究室は,“やっていること”研究室を標榜していないんだよなあ,尻込みしないかなあと思っていたら,ちょうど,うちの研究室の学生が挙手して指名され,“教員名”研究室で所属を言ってくれました.

2018年01月17日

[] 要再提出

○○ ○○さん

takehikomです.
あなたが,先週木曜日の授業中に提出したファイルは,
拡張子が.zipで,こちらよりみなさんにダウンロードできる
ようにしておいたファイルと同一です.

このままでは採点できませんので,
授業中に編集した,拡張子が.htmlのファイルを提出して
くれますか.
△△ △△さん

takehikomです.
あなたが,先週木曜日の授業中に提出したファイルは,
拡張子が.lnkで,これはショートカットと呼ばれる形式の
ファイルです.開いても,実体がありません.

このままでは採点できませんので,
授業中に編集した,拡張子が.htmlのファイルを提出して
くれますか.

先週木曜の授業で,Moodleにアップロードの形で提出してもらったファイルを,今朝採点していると,上記のように採点のしようのない答案が2件あり,それぞれにメールを送ったのでした.

2017年12月28日

[] 検索とは?

「検索は,こうやってすることを言うんですよと,今さら説明する必要はありませんよね.ブラウザの右上の検索窓に打ち込んで,Enterキーを押せば,欲しい情報が簡単に手に入ります.スマートフォンの,音声を使った検索も,製品やテレビコマーシャルを通じて,ずいぶん普及しました.

ともあれ,大学の授業だからこそ,ちょっと考えてもらいたいこと,知っておいてほしいことがあります.スライドの中央の図をご覧ください」

f:id:takehikom:20171228233011j:image

「我々が普段している『検索』という行為を,検索する人の後ろから見て,モデル化すると,このような図で表せます.

左から見ます.まず,これこれこんな情報が欲しいと思いながら,問い合わせをします.

それで,結果が表示されます.上から下へと並んだ中で,タイトルや,ページの一部などを見まして,一つを選びます.

そうすると,そのページに移って,詳細を知ることができます.

ですが,それでおしまいとは限りません.一つのページを見て,不満に感じたら,前に戻ります.結果表示のページです.そこから,他のページを見ることもありますし,言葉を変えて,問い合わせをやり直すこともあります.

そうして行きつ戻りつして,一つの欲しい情報にたどり着くか,いくつか情報を知ったので,まあいいだろうとなれば,検索は終了です.

この図を使って,一つ,質問をします.『検索』とは,この中の,どこなのでしょうか?」


「行きつ戻りつするという,この図,全体を,『検索』ととらえることができます.」

f:id:takehikom:20171228233007j:image

「別のとらえ方もできます.『問い合わせ』こそが検索だ,とする立場です.」

f:id:takehikom:20171228233002j:image

「その場合,結果表示や詳細閲覧は,一つの検索を終えた後の行動となります.

また別の解釈もあります.ここまでは,人間の行為として,『検索』とはどこにあたるのかを見てきましたが,コンピュータが行うこと,すなわち情報処理としての『検索』は,どこだというと,この部分なのです.」

f:id:takehikom:20171228232956j:image

「言葉にすると,こうです.問い合わせのための情報を受け取って,処理を行うコンピュータの側で持っている情報と照合したり,計算したりして,結果表示のための情報を作ること,これこそが『検索』だというわけです.残りの要素は,利用者の行動であったり,インターネットの通信や,ブラウザでの表示や動作が担うべきだとして,実際戻るのはブラウザの機能ですからね,『検索』の範囲外とします.

3種類,『検索』の対象をお見せしましたが,このうちの一つだけが正解,残りは間違いと,いうものではありません.試験で問うわけにもいきません.『検索』を広くとらえるか狭くとらえるか,人間の行為で考えるか計算機処理として考えるかで,さまざまに解釈できるのです.

合わせて,いくつか用語を知っておいてください.『検索』を表す英単語はsearchで,名詞でも動詞でも使えます.ですが『情報検索』となると,information searchではなく,information retrievalと書くのが一般的です.retrievalは名詞で,その動詞形はretrieveと綴りまして,『取り戻す』というのが基本的な意味です.『あの情報,どこかにあったはずなんだけどな…検索して…あったあったこれだ』とするのがまさに,情報のretrievalとなるのです.

問い合わせの際に与える語句を,『検索語』と言います.これも,英語を知っておきましょう…search termと書きます.termは『用語』を意味し,technical termと書けばこれは『専門用語』のことです.

図の真ん中,結果表示についてですが,ブラウザやスマートフォンで表示を見る際には,ページのタイトルやURLに続けて,中身の一部を見ることも多いと思います.検索語が強調表示されていたりします.あれのことを『スニペット』(snippet)と言います.

情報処理としての検索を,きわめて狭い範囲としましたが,範囲の左と右の端に,着目します.すなわち,どんな風に問い合わせ画面を表示させ,検索語の入力だけでなく,検索語以外の条件なんかも指定できるようにして,それから結果をどのように提示するか…といったことを引っくるめて,『ユーザインタフェース』と言い,user interfaceの頭文字をとって『UI』とよく書かれます.

行きつ戻りつの操作について,利用者の行為の観点で,全体を囲みましたが,その行為を,システムの側からサポートすることも,大事になってきます.効率よく,欲しい情報が手に入れられるような検索システムを作ろう(または作った)というのなら,それは利用者の体験を支援するものとなります.

利用者の体験,というのを英語にしたuser experienceをもとに,『UX』という略語,そしてユーザインタフェースと合わせた『UI/UX』というのは,情報検索に限らず,良いサービスを提供するためのどうすればいいのかを考える際のキーワードとなります.

検索にまつわる用語として,知ってもらいたいのは,あともう少しです.行きつ戻りつと言ってきましたが,1回問い合わせて情報をもらってそれで検索は終了,というのではなく,結果表示や詳細閲覧で得た情報を見て,元のステップに戻りながら,利用者が検索を行うというのは,『インタラクション』と呼ばれます.英語ではinteractionと綴ります.これをinterとactionに分けてみると,利用者のアクションと計算機のアクション,それらが相互(inter-)に機能するというわけです.形容詞形はinteractiveで,『インタラクティブ情報検索』に関する研究も,盛んに行われています」

なにこれ

昨日,「災害情報学」という冬休み集中講義が始まりました.学部の3年後期,どのメジャーにも属さない,専門選択科目です.

オムニバス形式の授業です.私も1コマを担当することになりまして,15回中の第2回,「ネット上の情報収集技術」をテーマに,スライドを用意し,しゃべってきました.

上記は「検索の第一歩」と題するスライドの一部です.「スニペット」を含む段落以降は,話そうと用意していましたが,あいにく時間がとれませんでした.

以前に書いたこと

(略)

インタラクティブ情報検索とは,(古典的な)情報検索に,人間の行動を加えたものと言えます.序章(p.2)には,「古典的なIR評価はこのシステムは適合文書を検索できるか,という問いを投げかけるが,IIR評価は人々はこのシステムを使って適合文書を見つけることができるか,という問いを投げかける.」とあります.ここで,IR = Information Retrieval = 情報検索,IIR = Interactive Information Retrieval = インタラクティブ情報検索,です.

被験者ではなく実験参加者と書こう