「正の数の乗法の逆元は正」の証明

経済学のための数学入門』、練習問題2.1.3(7)(64頁)。



「乗法の逆元」というのは、元の数にかけたら(乗法の単位元である) になる数のことでした(詳しくはこちら)。いわゆる「逆数」のことです。
の乗法の逆元は だし、 の乗法の逆元は と、元の数が正なら、逆元も正ですよね。それを証明します。
使うのは、実数の性質(公理)のうち、

  • 非負の数同士をかけあわせても非負

です。



背理法でいきます。
正の実数 について、

と仮定しましょう。移項したら

ですね。 は非負ということになりました。 も非負(正)ですから、かけあわせても非負です。

逆元を元の数にかけると ですから、

になりました。移項すると、なんと

となってしまいます。これは矛盾ですね( の証明はこちら)。
矛盾が導かれたということは、 のときに という仮定が間違いだということですから、 なら が正しいことになります。以上で証明は終わりです。