多余的話

大沢武彦のブログです。

第9回戦後満洲史研究会備忘録

報告者:金美花(明治大学兼任講師)
報告タイトル:「満洲国崩壊後の延辺社会の変動」

あいにくの雨と中国現代史研究会と重なってしまったためか、普段よりも参加者はやや少なかった。その分、マニアックな、密度の濃い議論となり、司会をやっておりながら、思いっきり時間を延長をしてしまいました。報告は、戦後内戦期における延辺の社会変動、特に土地改革を中心とする動員が社会にどのような影響を与えたのかを論じるものでした。精力的な史料調査と聞き取り調査をもとにした多くの事実の発掘が、個人的に興味深く感じました(そうした一面は、例えば、金美花「満洲国崩壊後の延辺朝鮮自治州の土地改革」『東アジア研究』第36号、2003年にも見られる)。


中国共産党の土地改革と言えば、田中恭子さんの『土地と権力』という巨壁が、10年以上にわたって学界にそびえ立っている現状が続いておりますが、それを民族という要素からも考え直すこともできるのかなと考えさせられました。

土地と権力―中国の農村革命

土地と権力―中国の農村革命

菊池一隆「研究余滴 『現代中国研究』の活力ある発展の模索」

『現代中国研究』第20号が自宅に届く。大学院修士時代の指導教官である菊池一隆先生の「研究余滴」を読む。菊池先生が往時を振り返り、投稿論文についての熱い思いを書いている箇所では、まるでかつての大阪教育大学の研究室で直接、自分に語りかけられたかのような気分になる。


特に菊池先生が、研究の幅を広げるため、同一の報告はしないと自分に課していた、と書かれた部分では、近年、同じような報告ばかりをやっていた我が身を顧みて恥ずかしい気分となり、襟を正さねばという思いがした。

やっと

周恩来秘録』を読んだよ。


同書の性格上、やむ得ないとは言え、指導者の個性に還元しすぎる叙述がやや多いような気がしますが、力作であることは間違いないと思います。訳文も読みやすいですし、研究者でない方にもお勧めです。それにしても、本書を読むと、我々が読むことができない資料が山のようにあるのだなぁという当たり前のことに愕然とします。


周恩来秘録 上

周恩来秘録 上

周恩来秘録 下

周恩来秘録 下