(旧姓)タケルンバ卿日記 このページをアンテナに追加 RSSフィード Twitter

2008-04-28

タケルンバの衆院山口2区補選分析 - 福田政権は長くない

昨日、山口県で行われた衆院補選民主党が勝ちましたな。

今回は久々に選挙分析を。山口での補選を見ていきたいと思います。データ山口県選挙管理委員会データを使いました。

ではいってみまひょ。

どんな切り口で行けばいいのやら

分析してみるとは言ったものの、これがなかなか難しいのであります。その理由は市町村合併山口2区内でも市町村合併が進み、過去選挙との比較がしにくいのです。

山口県内でこれだけの合併があるわけですが、それがもう見事に山口2区にかかっているもんで。一番極端なところが那珂郡。前々回、2005年衆院選のときには、以下の町村がありました。

  • 和木町
  • 由宇
  • 玖珂町
  • 本郷
  • 周東町
  • 錦町
  • 大畠町
  • 美川町
  • 美和町

そして今回はというと……あるのが和木町だけ。あとはほとんど岩国市に吸収。大畠町も柳井市に。

そんなわけで、従来有効な市部と郡部の時系列比較がなんの意味もありません。前々回郡部だった地域が、今回はほとんど市部なんだもの。また市部にしても、元々郡部だった地域の票が幾分入っているもんで、これまた横の比較ができもはん。

なので、今回は市町村合併関係なく、前々回の衆院選から現在まで変わりなく郡部である次の地域のデータを使うことに。

周防大島町合併してできたのですが、大島郡内の4町が統一された形なのでセーフ(久賀町・大島町・東和町・橘町)。大島郡としての規模に変わりはないので、この5町で見ていきます。

自民候補民主候補の比較

それではまず最初に、過去3回の選挙での結果を見て行きましょう。わかりやすくするために、自民党候補民主党候補の2者だけで比較してみます。自民党の候補は前々回2003年佐藤信二氏、前回2005年福田良彦氏、今回が山本繁太郎氏。民主党はいずれも平岡秀夫氏です。

(表1)自民候補民主候補得票比較

200320052008
自民91,087104,32294,404
民主109,647103,734116,348

これをシェア比にすると、こうなります。

(表2)自民候補民主候補シェア比較

200320052008
自民45.4%50.1%44.8%
民主54.6%49.9%55.2%

この数字から次の仮説が考えられます。

これがそもそもの実力ではないか?

平岡氏は過去3回とも10万票をとっている。しかも前回は小泉旋風の逆風下。そういうことから考えて、元々10万票をとる実力がある。実際、2003年と同じようなシェア比であった。ということは、今回は風があったわけでも、例外的な結果でもなく、実にノーマルな結果である。例外はむしろ前回の選挙で、小泉旋風があったことによる異常値。本来はこんなものでは? という推測が成り立ちます。

となれば、実は今回の自民敗北は失政とかの問題でないことになる。風が吹かない限りはこんなもの。むしろ予測どおりの結果であって、福田政権の問題でもなんでもない。福田首相責任ではないことになります。この仮説が正しいなら、政局の問題にはならないことでしょう。

過去3回の選挙結果比較

では、この仮説が本当に正しいか。過去3回の選挙結果を比較してみます。比較対象は先にあげた5町です。

(表3)周防大島町*1自民民主比較

03票数05票数08票数03シェア05シェア08シェア
自民8,4078,1337,44459.1%59.1%53.8%
民主5,8105,6326,39040.9%40.9%46.2%

(表4)和木町の自民民主比較

03票数05票数08票数03シェア05シェア08シェア
自民1,4531,6341,31443.9%48.2%41.0%
民主1,8591,7551,89256.1%51.8%59.0%

(表5)上関町自民民主比較

03票数05票数08票数03シェア05シェア08シェア
自民1,6021,5091,66959.8%58.8%61.3%
民主1,0751,0581,05240.2%41.2%38.7%

(表6)田布施町自民民主比較

03票数05票数08票数03シェア05シェア08シェア
自民4,5134,9304,58250.0%53.0%46.5%
民主4,5074,3665,26550.0%47.0%53.5%

(表7)平生町の自民民主比較

03票数05票数08票数03シェア05シェア08シェア
自民3,4933,8193,80547.1%50.4%47.0%
民主3,9283,7564,28952.9%49.6%53.0%

そしてこの5町を合計するとこうなる。

(表8)5町合計の自民民主比較

03票数05票数08票数03シェア05シェア08シェア
自民19,46820,02518,81453.1%54.7%49.9%
民主17,17916,56718,88846.9%45.3%50.1%

かつて自民党と言えば農村ガッチリ抑えてという印象があっただけに、この数字はショッキング。何せ郡部で負け。それも、あれだけの大勝利をもたらした小泉旋風でさえ、シェアを1.6%しか伸ばしていないのに、今回は4.8%も下げている。前々回と比べてもマイナス3.2%。全体では前々回に対し、マイナス0.6%であることを考えると、牙城である郡部が大きく揺らいでいると考えるべきでしょう。

となると先ほどの仮説は間違い。実力どおりどころか、そもそもの実力以上に負けてます。

自民党の足場が揺らいでいるのではないか?

こういう仮説のほうがしっくりきますな。農村部での支持を背景に、あちこちに保守王国を築いた自民党が揺らいでいる。安倍晋三という前首相を輩出した山口県でさえこのありさま。事態は想像以上に深刻と見るべきでしょう。最終的な差は2万票だけども、失ってはいけない票を失っての2万票だけに、見た目の数字以上に重いのでは。

果たして福田首相選挙を戦えるのだろうか

ここからは予想ね。誰でも手に入るデータで検証しても、農村部自民党が揺らいでいることは明白。細かいデータが上がってくれば、よりリアル現実が浮かび上がってくることでしょう。そうなった場合、果たして福田首相で次の総選挙を戦えるか。ここに混乱の目がある。政局の予感。

結論から言えば、福田首相の退陣は近い気がします。極端な話、安倍首相のときみたいに、今日、いきなり退陣の一報が流れてきても、オレは驚かないです、ハイ。そのくらい深刻な選挙結果。「福田では戦えない」という大合唱がはじまるのは目に見えてます。最速で今日ゴールデンウイーク明けにいきなりというパターンもあるだろうし、サミットまでは……どうかなあ。もつとは思えない。風雲急を告げる展開になりそう。

もっとも、これはオレの予測。あまり気にせずに。昨年の参院選はほぼピタリだったとはいえ、2005年衆院選は大外しをしております。目も当てられないほど外しております。いち市井政治ウォッチャー予測ということでひとつ。でも……福田政権は長くないぞ。

追記(2008/04/28 18:20)

念のため、参議院選挙も含め、2001年以降のデータをつくってみた。

(表9)5町合計の自民民主得票比較(2001年以降)

01参院03衆院04参院05衆院07参院08衆補
自民22,52119,46820,82720,02520,27018,814
民主9,12317,17913,66316,56713,09618,885

(表10)5町合計の自民民主得票シェア比較(2001年以降)

01参院03衆院04参院05衆院07参院08衆補
自民71.2%53.1%60.4%54.7%60.8%49.9%
民主28.8%46.9%39.6%45.3%39.2%50.1%

逆風が吹いていた昨年の参院選でさえ、この地域では民主党に対し6割のシェアを維持していたことを考えると、自民党農村部における退潮ぶりは明らか。想像以上に深刻な数字だぞ、こりゃ。

*12003年選挙時は合併前。久賀町・大島町・東和町・橘町の4町

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