(旧姓)タケルンバ卿日記 このページをアンテナに追加 RSSフィード Twitter

2009-09-12

肉を楽しむ正しい知識と正しい対策

ふむ、ステーキのどんでもO-157ですか。

こうなると「肉大丈夫か?」「肉あぶねーんじゃね?」という話になりがちなわけですが、それはそれでありまして、ええ。「何故、食中毒が起きたのか」ということをきちんと理解し、対策を打っていれば何の問題もありません。

75度以上で1分間の加熱

O-157の対策の基本は十分な加熱です。

75℃以上1分間の加熱により菌は死滅すると言われているため、調理にあたっては、中心部まで十分に加熱するとともに、調理した食品はすみやかに食べる。

97/08/21 一次、二次医療機関のためのO−157治療マニュアル

厚生労働省もこのように申しております。十分な加熱をすれば菌は死にます。加熱をすればO-157も恐れるに足らずです。

一枚肉の場合

O-157ある日どこかでいきなり誕生する正体不明の細菌ではありません。「大腸菌」というくらいなわけで、腸内細菌のひとつで、主に牛の大腸にいます。糞便などによって体外に排出され、それを媒介にして感染するというルートが一般的です。

なので一枚肉の場合、肉の内部から菌が自然発生するわけではありませんので、肉表面にO-157が付着します。内部には付着しません。

ですから、肉の表面を75度以上1分間加熱すれば安全に食べられます。肉の内部にはO-157は存在せず、表面を焼きさえすれば感染を防止できるので、肉の内部は生焼けでも問題ありません。ステーキレアで食べることができるのは、このためです。

例外

O-157が付着した器具を肉の内部に刺した場合、肉の内部がO-157に汚染されますので、その場合はレア食べれません。肉全体を75度以上で1分間加熱しなければなりません。

例えばミートテンダライザー。

キング ミートテンダライザー

キング ミートテンダライザー

あるいはフォーク。こうしたもので肉をぶすぶす刺した場合、その器具が汚染されていれば、内部が汚染されてしまいます。

一枚肉の内部にはO-157はいないはずですが、汚染された器具を内部に刺せば内部も汚染される。非常に当たり前ですね。

なので肉の内部を刺す場合、その器具は消毒しておく必要があります。

成型肉の場合

成型肉はひき肉をつなぎ合わせてつくります。そのため、ひき肉にO-157が付着したものが混じっていた場合、肉全体が汚染されます。これはひき肉をつくる過程で使った器具などが汚染されていた場合も同様で、例えばフードプロセッサーの刃が汚染されていた場合、O-157を全体に混ぜることになります。

そのため、加熱する場合は肉の内部まで含めた肉全体に75度以上で1分間の加熱処理が必要です。これはひき肉を使ってつくるもの、例えばハンバーグなども同様で、肉表面だけではなく、中心部まできちんと加熱しなければなりません。ハンバーガーチェーンなどで、定期的に肉内部に温度計を刺してチェックいるのはこのためですし、グリドルで焼く場合にフタをして蒸すのは、中心部まで加熱を行き渡らせるためです。焼きよりも蒸し・茹で・煮込みが安全なのも同じ理由です。焼きは表面以外に十分な加熱処理をしにくいので。

よくある勘違い

牛肉レアでも大丈夫。故に牛肉100%のハンバーグレアでも大丈夫という勘違いがありますが、これは危険です。何故なら、牛肉レアでも食べられるのは、肉表面にしかO-157は付着しないため、表面を十分に焼けば内部の加熱度は問われないからで、肉内部にまで菌が行き渡る成型肉の場合、事情が変わってきます。

牛肉だからレアでも大丈夫」なのではなくて、「一枚肉だからレアでも大丈夫」が真実です。牛肉100%でもひき肉からつくった肉製品の場合、全体に十分な加熱が必要です。くれぐれも「牛肉だから大丈夫」と思わないでください。大事なのは製法であり素材です。

例外

ひき肉由来の肉製品の場合、全体にO-157が行き渡る可能性があるからレアで食べられません。十分な加熱が必要です。但しこれは菌があるかもしれないからの対策。そもそも菌が存在しないのであれば、ハンバーグレアで食べれます。

例えば無菌加工したものであれば問題ありません。無菌状態の食材を無菌状態の場所で加工し、無菌状態のまま密閉、出荷したものであれば、たとえ店舗O-157が付着したとしても表面のみなので、表面さえしっかり焼けばレアでも食べれます。問題は菌がいるかいないかであり、菌が死んでいるか死んでいないかなので、菌がいない状態であればレアでも問題ないわけです。

より無難な方法

基本的には薄切り肉の方が安全性は高いと言えます。厚い肉の場合、肉の中心部まで温度が上がりづらいわけですが、薄切りであれば簡単です。

ですので、焼肉の場合、薄切りの成型肉は向いていますが、厚切りは向きません。内部まで加熱が行き届かない可能性が高いからです。

逆に煮込み料理などは厚切りに向いています。煮込み料理は焼きに比べ全体に過熱が行き届きやすいからです。

一枚肉が良くて成型肉が悪いという単純な議論ではなく、それぞれに可能な食べ方と向いた調理法があるというだけの話なので、それに応じた使い分けを懐と相談しながら行うのがベターです。成型肉うまいのも事実ですし。但し一枚肉と同じ使い方、同じ食べ方はできないよねってだけでして、ええ。

調理器具への注意

ミートテンダライザーやフォークから感染するケースがあるように、調理器具から感染するケースはままあります。

例えば、焼肉では肉を網の上にトングを使っておきますね。これは肉がO-157に汚染されていた場合、割り箸を使って網にのせていると、菌が肉から割り箸に行き、割り箸から感染するというケースが考えられるからです。肉はきちんと加熱されていて安全だとしても、割り箸を75度以上で1分間加熱するってことはまずありませんからねえ。割り箸感染するんです。

そのためにトングを推奨されるわけです。肉を口に入れる道具(割り箸)と、網にうつす道具(トング)を使い分けることでO-157感染を防止しとるわけです。

同じようなものにまな板もありますね。O-157に汚染していた肉をまな板にのせる。その後に他の食材を同じまな板にのせる。そうすると、まな板経由で汚染されるわけですよ。サラダなんかを肉を処理した後で調理する場合、かなりデンジャラスですね。

食材への注意はされていても、調理器具への注意力というのは意外と低いものです。衛生知識は食材に対するものもさることながら、調理方法や調理器具に対するものも大事です。お気をつけください。

正しい知識と正しい対策

きちんと食べれば成型肉だっておいしく安全ですし、きちんと食べなければ一枚肉だって危険です。

大切なのは正しい知識を持って、正しい対策を打つこと。安全に食べれば、お肉はとてもおいしいものでございます。

きちんと安全においしく肉を楽しみましょう。風評に惑わされず、正しい対策を打って、周りが混乱するのを尻目に、肉をおいしく食べましょう。

ちなみに国産牛肉の場合、風評被害が起きた場合に生産調整が可能なので、こういうときでもあまり値下がりしません。出荷しなければいいだけですからね。牛さんをちょっと余計に育てるだけ。せっかく育てた牛さんを安く売る人なんて誰もいません。

なので逆に内臓関係は高くなります。内臓は新鮮度第一で、出荷が減れば、市中に出回る量も露骨に減ります。レバーなんかは特に要注意ね。

逆に成型肉は値下がりする可能性あり。投売り状態になる商品もあるかも。一時の冷凍食品みたいに、安売りコーナーができるかもね。そういう商品をきちんとした処理でおいしく食べるといいと思いますね。お得だし。

以上、アルファNeekがお届けする肉ちょっといい話でありました。