タケルンバ卿日記 このページをアンテナに追加 RSSフィード Twitter

2010-03-18

個人請負の話の前に大学をなんとかせんか

どうも、大卒即日からブリバリ個人請負をやっとりました就職氷河期の者です。

まあ、個人請負形態自体は増えることになるだろうね。ポジティブな理由ではなく、ネガティブな理由で。

最大の理由は、何はともあれ人件費抑制最低賃金ってのがあるから、賃金を引き下げるにも下限があるし、流れとしてはむしろ逆で、基本的に現政権が考えていることは、「最低賃金を上げよう」なので、賃金の額面を減らすのは物理的に難しい。

となると「雇用形態でなんとか」、という話になるわけだけども、実は非正規雇用でも社会保険の加入義務がある。本当は常時雇用労働者とかでも、厚生年金の被保険者にしなきゃならん。意図的にブッチしているケースが多いのは現実だけども、まあ制度上というか建前はそうなっているし、制度上は問題アリアリな行為なわけで、「コンプライアンス」ってのを意識している「まともな」会社は、非正規雇用であっても社保分を負担している。単純に言って賃金の1割増程度余計にかかる。これがじわりと効く。

じゃあ、となって出たのがいわゆる「派遣」。これだと社保分は派遣会社の負担。しかも派遣会社に払う料金は消費税の支払いを伴なうので、普通賃金と違い、支払い消費税を計上できる。経理上、とてもおいしい話だったわけなんだが、いわゆる「労働者派遣法」の改正で、1年以上派遣されている者を継続使用する場合、きちんと雇用しなさいよということになった。

派遣労働者雇用

第40条の3 派遣先は、当該派遣先の事業所その他派遣就業の場所ごとの同一の業務(前条第1項各号に掲げる業務を除く。)について派遣元事業主から継続して1年以上前条第1項の派遣可能期間以内の期間労働者派遣の役務の提供を受けた場合において、引き続き当該同一の業務に労働者を従事させるため、当該労働者派遣の役務の提供を受けた期間(以下この条において「派遣実施期間」という。)が経過した日以後労働者を雇い入れようとするときは、当該同一の業務に派遣実施期間継続して従事した派遣労働者であつて次の各号に適合するものを、遅滞なく、雇い入れるように努めなければならない。

1.派遣実施期間が経過した日までに、当該派遣先雇用されて当該同一の業務に従事することを希望する旨を当該派遣先に申し出たこと。

2.派遣実施期間が経過した日から起算して7日以内に当該派遣元事業主との雇用関係が終了したこと。

労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律,(略)労働者派遣法,派遣法,人材派遣法

これはこれで困る。1年以上先の計算ができん。労働力安価で確保できん。

正規雇用ダメ非正規雇用ダメ派遣ダメ。となると、どうしたって個人請負になるのよね。引き算の結果で。雇用継続する必要がなく、賞与を払わずにすみ、社保が関係なく、雇い入れの義務もないと。働く側の要請以前に、働かせる側の要請というか、まあそのアレがありましてね。だから某社なんかは雇用していたアルバイトさんを「個人請負でござる」とのたまってしまうわけで、ええ。いろんなあれこれを負担したくないばっかりに、そういうイリュージョンが必要になってしまうわけでありますよ。

というわけで、個人請負は使う側としては両手をあげて歓迎。ウエルカムってな話なわけで、市場たっぷりとある。それこそ現在雇用をそっくり請負契約に、というくらいなわけで、「それでいいのかよ」というツッコミはあるものの、展望としては開けているわけでありますよ。明るいかどうかは別だけどな。

で、ここからは個人請負10年選手としての話。「個人請負の時代が来る」として、大学卒の選択肢が「就職から起業」とか、「就職から独立」になるか? って話だが、さすがにそりゃあ酷だなあと。「できない」という話じゃなくて、あまりにも「前提が違う」というか。今の教育制度的な前提というか。

今の教育制度って「4年制の大学卒業して就職」てのが一般的なモデルとして描かれておるわけよね。で、その4年間の大学生活というのは、大学後の生活のあれこれの修行のために過ごす環境ではないわけ、必ずしも。ある意味モラトリアム」というか。大学後の生活とは切り離れとるわけじゃん。どれだけ大学で学んだことをダイレクト仕事として生かしているかという話でありまして。大学大学就職就職仕事で必要なことは、大卒後に現場で学ぶわけでしょ。基本はOJTなのが日本現実

しかしながら個人請負という形態って、基本的には専門技能がないとできんのよ。「人ができない」とか「人がやりたがらない」から、その仕事を「頼むよ」として投げるわけですし、投げられて請ける人がいるわけね。別にその専門技能は高度である必要はないし、幅広い知識が必要なわけでもないんだけど、狭かろうがなんだろうが、何らかの専門技能は必要になる。

例えば「PCのセットアップができる」というのでも、PCのセットアップができない・苦手・時間が惜しいというような人が一定数いれば、立派な商売になるわけ。立派な請負業足りうる。需要があって、その需要に対応しうる専門技能があれば商売できる。それが個人請負

ところが、一般的なモラトリアム大学はこういう技能を育てる場じゃないし、そういう要求を学生に対してするところでもない。4年間学業を学んで、単位を集めて巣立ってくれと。あとは知らんと。

これはバランス的にどうなんだろうね、ということになりゃせんかね。4年制の大学の中に、正規雇用就職を前提にしたモラトリアム大学と、個人請負としての独立を前提にした専門学校大学棲み分けが必要になっているんじゃなかろか。あるいは、高専や、短大専門学校を含めた再編とか。高校生の段階からこういう将来的な選択を迫る習慣付けとか。少なくても今のほとんどの学校で、こういうキャリアに関する教育ってないでしょ。あってもいいんじゃないか? こんだけ大学があるんなら、そういう方面にシフトした大学が出てきてもいいんじゃねえか? と。こういうところで差別化してもいいんじゃなかろかね。

「国際なんとか学部」とか、「福祉なんとか学部」が流行ったり、医者が足りないという話になれば医療系。法曹が足りないという話になるとロースクール。人をかき集めておいて「合格できるの一部です」みたいな泥縄式の話をそろそろやめたほうがいいと思うんだけどね。社会お金を稼ぐ前段階としての大学がそろそろできんものか。個人請負の時代になるなら、それが必要だと思うんだけどな。まず。