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2014-03-15

5.2.3.標準化活動とパテントプール

ところで、携帯電話の方式はどうやって決まるのでしょうか? 一般に通信方式については、ITU: International Telecommunication Union というところで決めているのが通常です。標準化については、みんなが集まって事前に決めて、これでやりましょう!となって製品が出来てくることになります。このように事前に議論して決める標準化方式を「デジュールスタンダード」と呼びます。

それに対して、ある特定のベンダーがあまりに一般的になってしまったため、他のベンダーが先行ベンダーの仕様に合わせて出してくることにより、事実上の標準になるものがあります。このようなものを事実上の標準「デファクトスタンダード」と呼んでいます。たとえば、クラウドのIaaSでは、Amazon.comの方式が一般的なため、Amazon.comの仕様に合わせて(Amazon.comクラウド互換)やっているものを言います。

通信の世界では、2社の製品がつながらないといけないので、デファクトスタンダードはあまりなじみません。デジュールスタンダードが

無線の世界での標準化プロセスもかなり重要です。周波数帯の使い方については、ITUのWRC: World Radiocommunication Conference と呼ばれる会議で議論されますが、4年に一度しか行われません。最初の会議で議題に挙げて、次の会議で決めるとすると、4〜8年かかることになります。周波数帯の利用方法を変更するのにはものすごい期間がかかるということです。

WiMAXについては、もともとはIEEEという標準化団体で議論されていましたが、結果的にITU携帯電話の標準規格IMT-2000に取り込んでもらいました。これも、IMT-2000に入らないと携帯電話の方式として「標準」にならない、ということの表れと考えられます。

通信の世界では相互接続認証団体というものがある場合があります。WiFiであればWiFi Alliance、WiMAXであればWiMAX Forumがそれにあたります。相互接続認証団体、なぜ必要なのでしょう? 実は、標準化された仕様というのは広範囲を網羅しているため、実際に作るときのパラメータを合わせないと相互接続できない状況になっています(なぜ広範囲に網羅しているかというと、さまざまな関係者が策定にかかわるので必然的にみんなの意見を取り入れたものになるからです)。

WiFiWiMAXという名前も、この相互接続認証団体が持つブランド名です。技術仕様としてはIEEE802.11や802.16で規定されていますが、実際に運用する場合にはこのような団体が使うべき規定セットを決めて、複数のベンダーの機器を相互接続することで初めて世界で売れるようになる、というわけです。

標準化活動をしているときに、特許の扱いはどうなっているのでしょう?もし、自分が持っている特許が標準になれば、みんなが使うので特許使用料が入ってきてうれしいことになります。当然、そのような意識で標準化に参加する人もいるはずです。

最近の標準化活動では、そのような場合には事前に条件をつけていることが多いです。たとえばRAND条件という特許使用に関する条件(ライセンス許諾を拒まずかつ公平な条件とする)を標準化参加への前提にしているケースです。このようにしないと、標準化活動がある企業の収益に加担してしまう可能性がありますので、標準化活動におけるライセンス条件の設定は非常に慎重に行われています。

また、標準化活動を行ったメンバーが持つ関連特許を集めて、まとめて特許料請求と分配を行うような活動をパテントプールと呼んでいます。副次的な効果として、共同で特許使用料の高騰を防ぐようなアピールをする場合もあります。

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