「居場所とは何か」の言説分析

筆者滝口克典さん(現在:ぷらっとほーむ共同代表)は、2001年1月からこれまで、山形市を中心に「若年世代を対象とした居場所づくり」の運動/活動に従事してきた。2001年1月から2003年3月までは「フリースペースSORA」、2003年4月以降は「ぷらっとほーむ」の運営に、それぞれ代表として携わってきた。山形市には「若年世代を対象とした居場所づくり」の前例(とそれに関する情報)が乏しい。ゆえに「居場所づくり」とは、物理的・社会的なそれであるとともに、観念的・言説的なそれでもあった。実際に子どもや若者たちが集う空間を準備し、そこを維持・運営するというだけでなく、自分らのやっているその活動がいったい何であるのかということについて、その意味不明な何かを言語化し、定義し、意義づけするということをも意味していた。この「居場所とは何か」をめぐって、筆者滝口さんが、これまでの運動/活動を通じて、いかなる定義行為を実践してきたのか。その定義を正統性あるものとするために、いかなる語りを動員してきたのか。それらをメディアごとにどう使い分けてきたのか。そこにはいかなる「政治的」な意図が存在し、それによって何が可能となったのか。以上のような、2001年1月より2005年3月までの筆者自身滝口さんの言説実践を分析の俎上にあげること――これが本稿の課題である。上記テーマで自らの氏の言説実践を振り返ることの意義は、対自的な反省というものに留まらない。NPO/市民活動の言説の政治に関するケース・スタディとしても意味を有する。