アガチス通信vol.45〜スラウェシ島・ポソ訪問記2〜

翌朝、6時起床。真っ先にカーテンを開け外の天気を確認すると・・・快晴!!!「アガチスに会える」と思うだけで一気にテンション上げ上げモードに。朝食と身支度を簡単に済ませ、出発準備は完了。予定通り7時にホテルを出発し、まず初めに向かったのはポソ市内から車で1時間ほどの場所にある「マレイ」という小さな町。今回お世話になるシッパーの生産拠点がここマレイにあるのですが、到着してまず驚いたのがそのロケーション。目の前に広がるオーシャンブルーのプライベートビーチ、そして背後にはアガチスが群生する緑豊かな山々。。。頭の中には1週間前に訪れたハルマヘラ島のイメージがあったので、もっと過酷な環境を想像していましたが、いい意味でその期待は裏切られました。





マネージャーとの挨拶、簡単な現場状況報告を受けた後、車を4駆のジープに乗り換え、いよいよアガチスの森へ向けて出発!「5日間天気が続いているから、伐採はかなり進んでいる。」とのマネージャーからの心強い言葉を胸に私たちは山頂を目指しました。事務所から5分程度走った場所に山への入山口があり、そこからはなだらかな砂利道(オールウェザー道)が延々と続きます。遥か遠くにアガチスの山系を眺めながら走り続けること45分、まずは12キロ地点まで順調に登りきりました。




12キロから先は道が二手に分かれており、私たちはどう見ても道路コンディションの悪い右前方へと前進することに。聞くところによると、ここから先の約4キロが今回の伐採エリアに到達するための最大の難所だと。。。ここ数日、天候は良かったようですが、それでも木々が生い茂りほとんど光りが差さないような場所はぬかるみがひどく、運転慣れしていないとハンドルを取られてしまいかなり危険です。道幅も狭く、崖から転落する危険も考えられるこの道路状況を自分の目で確認し「雨が降ると搬出が難しい」という意味が理解できました。




難所を超えた後も赤土の道路状況は変わりませんが、道幅も徐々に広くなり視界が広がってきました。すでに標高1,500メートル超、窓を開けるとひんやりとした空気が車内に流れ込んできます。エアコンが故障し、むさくるしい男4人が乗った車内に流れこんだ風がとても心地よかったのを今でもはっきりと覚えています。さっきまで遠くに見えていた雲がだいぶ近くに感じられるようになりました。赤土と真っ青な空のコントラストがとてもきれいで印象的でした。しかし、さらに標高が高くなり伐採エリアに近づくにつれ徐々に雲行きが怪しくなり始め、数分後にはポツポツと小雨が降り始めました。山の天気は本当に変わりやすいようです・・・




車に揺られること約2時間。標高約1,800メートル、24キロ地点のメイン道路からブランチロードに左折し前進すること数百メートル、まだ切り開いて間もない道路の整地作業が急ピッチで行われていました。ここから先がいよいよアガチスの伐採エリアです!「アガチスは群生して生息している」の言葉どおり、道路わきの景色が一転、辺り一面にアガチスが生い茂っています。径級の細い丸太の伐採は禁じられているため、道路わきに生え残るアガチスからはあまり迫力は感じられませんが、それでも間違いなく目の前に立ち並んでいるのはアガチスでした。この時味わった感動と興奮は、一生忘れません。。。




山の急斜面にも臆することなく、悠然と立つアガチス。
言葉では言い表せないほどの存在感を放っています・・・




伐採されたアガチスは山の斜面から引っ張り出され、近くの集荷地点まで運び出されます。8月20日時点で約120本(約400㎥)が伐採済みで、うち約60本が22キロ地点の集荷場所まで下りてきていました。ハルマヘラの材料に比べて多少木が堅い印象を受けましたが、それより何より、通直で(変形がない)フレッシュな材が多かったので素材という意味では十分合格点をあげられそうです!




間違いなく、現場は動いています。アガチスのポテンシャリティーもまだまだあります。実際に現場を視察してこの2つの点については自分の目でしっかりと確認することができました。しかし、このプロジェクトが「天候」という不確定要素に振り回されているのもまた事実です。今までのように、潤沢に丸太が出てくるという状況は考えにくいかもしれません。「このままじゃ、アガチスのマーケットがなくなってしまう」「会社の存亡の危機だ」・・・今年に入ってからはこんな悲観的なことばかり考えていて、正直気持ち的に晴れない日が続いていました(自然を相手に商売をする難しさというものはそれなりに理解しているつもりですが・・・)。今回の視察でも100%不安が払拭されたわけではなく、現実的問題として今後も天候問題を中心に頭を悩ませる日が続くと思います。アガチスの立木を前にやや舞い上がっていましたが、時間が経つにつれだんだん現実の世界へと引き戻されていきます。「現実はそう甘くはない・・・」ネガティブモードになりかけたそんな時、急に空が明るくなり雲の切れ間から眩いほどの太陽の光がアガチスの森を照らし始めました。アガチスとコバルトブルーの空の色がとっても綺麗で、その時だけは嫌なことも忘れ夢中でシャッターを押し続けていました。「心配するな。」どこからか、そんな声が聞こえたような気がしました。。。





スラウェシ島・ポソ訪問記3に続く〜



■K平■