力士の小躍り このページをアンテナに追加 RSSフィード

2007-10-06

[] 謙遜は災いの元 18:00  謙遜は災いの元 - 力士の小躍り を含むブックマーク  謙遜は災いの元 - 力士の小躍り のブックマークコメント

  

 私の兄は大学の准教授をやっている。大学と言っても泡沫の四流私大で、本来ならば大学と呼べるような代物ではないが、肩書きは大学の准教授だ。

  

 先日、兄が来てお袋に言った。

「このあいだ電車でトリスのお母さんが一緒だったよ」

 トリスとは私の中学校時代の同級生だ。話を聞いてみると以下のようなことだった。

 電車に乗っていると、トリスのお母さんが兄貴に気がついて話しかけてきた。トリスのお母さんの横には、トリスの弟が付き添うように立っていた。兄貴はトリスがどうしているかを聞くと、高校卒業後どっかの工場で働いているらしいとのこと。

 今度はトリスのお母さんが兄貴に今どうしているかを聞いたそうだ。

「今は大学で教えています」

「ほう。どちらの大学ですか?」

「いや、しょーもない大学ですよ」

「でも先生なんでしょ? 立派になられて」

「頭の悪い大学ですからねぇ」

「でも教授でいらっしゃるんでしょう?」

「まだ准教授ですよ。昔の助教授です」

「それでも立派ですよねぇ」

「大学とは言えないような大学ですから」

「どちらの大学なんですか?」

「え? ○○学院大学なんですけど、ご存じないでしょう?」

「えっ? あ、あぁ、知ってますよ」

 トリスのお母さんとトリスの弟は顔を見合わせて困った顔をしていたらしい。

  

 兄貴は「なんか二人とも知らなかったみたいでバツが悪かったよ」と私とお袋に言った。

 お袋は兄貴に言った。

「そりゃ知ってるよ。トリスの弟は○○学院大学の学生だもん」

2007-09-24

[] ごめんあそばせ 15:48  ごめんあそばせ - 力士の小躍り を含むブックマーク  ごめんあそばせ - 力士の小躍り のブックマークコメント

  

 先日、自宅の近所を車で走っていた。

 私の家の近所は古くからの土着民が多く、区画整理の手も及んでいない昔ながらの路地が多く、車がすれ違うこともできないような細い道がある。

 ちゃちゃっと通り抜けようとしたところ、対面から水色のシルバーメタリックの車が来た。

 運転席に女性が一人。年の頃は二十歳になってないかなったぐらいか。触尻エリカのようなスベスベ肌に綺麗だけれどキツイ顔、柴咲コウのような強烈な目がこちらを見ていた。

 私は車の運転が苦手で嫌いなので、バックなどはしたくないのだが、あの目に見据えられたら下がるしかない。

 私は苦笑いでにやっと笑うと、おもむろに来た道をバックで下がって行った。

 他所の駐車場を待避所に使い対向車をやり過ごすと、水色のシルバーメタリックの運転席では、触尻エリカのように勝ち誇ったすまし顔でこちらを一瞥し、軽く左手を上げると通り抜けていった。

 口は開いていなかったが、あれは明らかに「ごめんあそばせ」と言っていた。いっこく堂のように言っていた。

  

 とにかく冷たい綺麗さで、全く好みでもなかった。かなり綺麗ではあったが、ずっともっと究極に綺麗な人の写真を見ているので、そのときの一瞬だけでそれからすっかり忘れていた。

 しかし駅前でまた会った。今度はどちらも歩きだ。

 相変わらず冷たいキツイ顔だが、なかなか綺麗だ。すごい目力。あのときの車の女に間違いない。

 女は私の前を歩き始めた。

 何故か妙にケツを振りながら歩く。あひるみたいだ。振尻エリカ。振りすぎが気になってよく見たら、やけに足が短いと言うことに気が付いた。短足に気が付くと、きつい美人が若干親しみやすく思えた。

 親しみを持った瞬間、そのクールビューティーは、私の前を歩いていたこれまたイケメンに話しかけ、並んで歩き始めた。恋人か。

 美人はTシャツの裾から手を突っ込んで背中を掻いた。ウェスト周りが見える。隣の彼氏も注意しろよ、みっともない。

  

 クールビューティーは、ベタベタくっつくこともなく、沢尻エリカ風に生意気な感じで男と話しながら、ケツを振って歩いている。

 二人は私の家の近所まで歩いていく。

 あれ? 私の家の周囲は、私の親類一族が住み着いていて、それ以外はいくらか土地を分譲した人たちがいるだけで、なんでこっちに来るんだろう?

 その美女とイケメンの二人は、私の祖父の弟に当たる元市会議員の大叔父(故人)の家に入っていった。なんですと? 大叔父が死んだから誰かに貸してるのか?

  

 お袋に聞いたところによると、大叔父が倒れて、その看護で長女に当たる娘さん*1が実家に戻ったところ、それを理由に不仲になり、大叔父が亡くなってからも、そのまま居ついているらしい。

 そしてその長女と長男があのクールビューティとイケメンらしい。姉弟かよ。

 それは兎も角として、だ。娘が親の面倒を看に実家に戻ると、それを嫌がって不仲になって別居って、そんなことが起こるのか?

 おそらく別の要因があるとしか思えないわけだが、大きなきっかけにはなったわけだ。

  

 核家族化が進んでくると、相手の家族との友好な関係を築くことを苦手とする、というか、築くことすらしたくない「進んでいる」個人主義者が生まれたりするのだろうか。

 老人介護も社会問題ではあるのだが、結婚が、建前通りに着実に両性の合意でのみ行われるようになっていくのかね。

*1:大叔父の子供は三人姉妹で男の子供はいない

2007-06-13

[] あんた誰なのよ? 20:54  あんた誰なのよ? - 力士の小躍り を含むブックマーク  あんた誰なのよ? - 力士の小躍り のブックマークコメント

  

 青空の下、ウッドベースの響くジャズを聴きながら湾岸沿いを車で走っていた。

 進行方向左手を見るとガスステーションがある。ガソリンも半分を切っていたので入ってみた。

 手前の給油機には赤いBMW318が停まっていたので、私は奥の給油機に横付けした。

 私がガソリンの給油口を開け車を降りると店の建物から店員が飛び出てきて給油を始めてくれた。店員は二十後半ぐらいだろうか。角刈りで日焼けした男だ。私は「お願いします」と声をかけると、海を見に道路のほうに歩いた。

 ふと赤い車を見ると、三十半ばの女性が若い店員に一万円を支払っているところだった。

 私は道路を横切り、海を見ながら一つ大きく深呼吸して、またガスステーションのほうに戻った。

 すると、赤い車の女性が若い店員に怒鳴っていた。

 何事だろうかと意識を向けると、どうも一万円を支払ったのに、五千円としてお釣りを持ってきたらしい。で、「私が渡したのは一万円だ」と言っていて、店員は「いや五千円でしたよ」と水掛け論をしている。

 私には一万円に見えていたので、いざとなったら最悪、言ったほうが良いのだろうかと考えていた。

  

 私は自分の車に乗り込み、赤い車の女性の成り行きを見ていると、店員が店に戻り、また女性のところに行って「一万円だったみたいですね」と言った。

 「だったみたいですね」って。

 私は驚いたわけですが、女性は当然ながら怒りました。まぁ、怒鳴るでしょう。怒鳴ってました。

 すると、私の車のフロントガラスを拭いていた角刈りの店員が慌てて赤いBMW318の方に走っていきました。

 そして、角刈りの店員は若い店員から話を聞くと、女性のほうに向いて謝りました。

 「申し訳ありませんでした」

 そう、若い店員が最初からこう謝っていれば、この女性もここまで怒ることもなかっただろうに。私だって待たされることはなかったのに。

 しかし、角刈りの店員は続けて言いました。

 「ここは私の顔に免じてお許しください」

 はぁ?

 私が一瞬、理解できずにいると、女性が叫びました。

 「あんた誰なのよ!」

 もっともな話です。

  

 なんでこんなチンケな給油所の店長?の顔如きで免じて許さねばならないのか?

 女性の「あんた誰なのよ?」の皮肉も通じず、角刈り店員が「ここはどうかひとつ」などと妙な謝りを続けているのを、私はにやにや見ていました。

 すると若い店員が私のほうに来て、ガソリンのキャップを閉め、会計をしました。

 一万円を払おうかとも思ったのですが、まぁカードで支払いを済ませ、運転席側半分だけ拭いてもらったフロントガラスのまま、私は出発しました。