なんだか。

やる気が低下中。なんだろねー。

『秋の牢獄』

恒川光太郎　（角川書店　角川ホラー文庫）
３つの中編を収録。表題作が時間ループものだったので興味を持ち、読んでみる。氏の作品は初めて。ホラーのジャンルはどれもこれも似たり寄ったりのような気がして、なかなか手を出し難くってねえ。

収録作全てが本のタイトルにある「牢獄」と関連しているのが興味深い。表題作では時間に捕われ、『神家没落』では場所、そして『幻は夜に成長する』ではさしずめ精神、か。巻末の解説にも書いてあるけど。

11月7日を半永久的に繰り返すことになってしまった人々を描く表題作は期待の方が上回ってしまったためか、いまいちな印象。でも同じ一日を繰り返す人が減ってはまた新たに現れるというのは面白い。他にも別の日を繰り返す人々がいるのかなあ。
個人的に一番良かったのは『神家没落』。年間を通じて様々な場所を移動する家。ある村ではその家を守る者を代々選出し、次に家守が決まるまではその家の敷地から出ることはできない。ほとんど騙された感じで家守にされ脱出の機会を窺う主人公だが、いざその座を手放すとなると愛着を感じる所なんて、いいなあ。

ホラー文庫からの出版ではあるけれど、ホラーというよりはファンタジーに近い雰囲気。帯にも「上橋菜穂子氏推薦」みたいな文句が書いてあったから、ホラー文庫よりもっと適切なレーベルがあったのでは？とか思ってしまうわ。