〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

「反自殺クラブ  池袋ウエストゲートパーク V」

【モミジ】


ブクロにいけばマコトがいる…
「反自殺クラブ  池袋ウエストゲートパーク V」

  • 石田 衣良 著 文春文庫
  • 2007年 520円

風俗の世界の少女たち・集団自殺を呼びかけるサイト・中国の死の玩具工場……。飛び込んでくる事件にブクロのマコトが関わっていく。


マコトが、凄腕スカウトマンのテクニックの秘訣を取材する場面。
「ふたつある」スカウトマンは答えた。
「まず、どんなにおかしなことでも、女の子の話はすべてきく」「簡単そうに見えて、これが一番むずかしいんだ」
女の子の気もちが揺れるとき「そういうときは黙ってそばにいてあげる。ただ手をにぎっていてあげるんだ。何時間でもね」


以前、暴力団員が若者を誘い込む手口に、“何時間でも話を聞く。どんな話でも聞く”ということを聞いた。
朱川湊人さんが解説の中で「どんな人間でも自分の人生では主役であり、脇役なんて存在しない」という衣良さんの人生観を紹介している。


重い重い内容だが、マコトの魅力と現在を切り取ってみせてくれる衣良さんの筆力で読んでしまった。