【オカトラノオ】
「啄木の短歌、賢治の短歌」盛岡タイムス連載中
盛岡大学長 望月善次
第41回 比喩4 自身に向かう、対象に向かう
- 啄木の短歌
非凡なる人のごとくにふるまへる
後のさびしさは
何にたぐへむ
- 賢治の短歌
まことかの鸚鵡のごとく息かすかに
看護婦たちはねむりけるかな
-
- 啄木短歌を読んで、いつも感嘆するのは、自然さを感じさせるほどの技巧の冴えである。
- 「いやこういう事は俺らの半生にもしこたまあった。」〔藪野椋十「序」、『一握の砂』〕などと思ってしまうのである。
- 「自身に向かう啄木と対象に向かう賢治」を指摘するとともに、「鸚鵡VS息かすかに」に見せる賢治の指標比喩力にも触れておこう。
(2008-07-10 盛岡タイムス)