〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

『劔岳 点の記』信じたのは、仲間の心。

【誰かが行かねば、道はできない。】

劔岳 点の記』

      • 日本地図最後の空白地点、剱岳の頂上を目指せ

陸軍陸地測量部測量手の柴崎は、「死の山」といわれる劔岳の「初登頂と測量を果たせ」という命令を受ける。調査登山の後、1907年(明治40)、測量隊7人とともに劔岳周辺に三角点設置を始める。一方、日本山岳会の小島烏水をリーダーとする登山隊も最新技術・装備を備えて、劔岳初登頂を競う。


雪崩・暴風雪・滑落・・・、CGなしの映像の見事さと、頭のてっぺんから殴りかかってくる音に痺れた。資材も俳優たちが担ぎ、足袋とワラジ履きでのぼったというのだから猛烈だ。役者にとっては、演技ではなく本当の恐怖も多々あったのではないだろうか。
滑落した隊員を助けに向かうグリセード姿は一瞬だったが記憶に残った。
エンドロール「仲間たち」の暖かい配慮もいい。


仲村トオルさん演じる日本山岳会の小島烏水は、石川啄木と会ったことがある。1908年(明治41)4月28日、烏水の勤める横浜正金銀行の応接室においてである。小島烏水の劔岳登山が実話とすれば(本当ではないらしい)啄木と出会う前年になる。

あんなこともそんなことも含めて、見応えのある作品だった。石川啄木、小島烏水を訪ねる