〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

『東京詩』『山河微笑』サンデーらいぶらりぃ


クリスマスローズ


光る小さな出版社のがんばり
    サンデーらいぶらりぃ:池内 紀・評

『東京詩』清岡智比古・著(左右社)
『山河微笑』宇江敏勝・著(新宿書房

  • 東京のガイドブックはごまんとあるが、すべて詩がガイド役になったのは珍しい。小さな出版社がガンバって、とても味のある本を出した。
  • 一つ一つに的確な短文がついていて、たとえば石川啄木の詩にそえてある。「そう、啄木の詩は、今日もなお無数に送り出されている『上京者の詩』の先駆けなのだ」
  • とたんにくっきりと、五十数人の詩人たちが二色の色模様をえがき出した。一方は東京者、もう一方には上京者。
  • 「みおろせば、/眠れる都、/ああこれや、最後の日」。
  • たかが駿河台の下宿屋からながめた風景だが、岩手生まれの啄木はすさまじい野の獅子の死んだ姿を思わずにはいられない。

サンデー毎日 2010年2月14日号より>
(2010-02-02 毎日jp>エンターテインメント>毎日の本棚>書評)