〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

与謝野晶子歌碑(1) 千葉県松戸市

「戸定が丘(とじょうがおか)歴史公園の歌碑」

2011年1月27日、「戸定が丘歴史公園」にて与謝野晶子が千葉県松戸市で詠んだ歌と夫の寛が詠んだ歌の歌碑除幕式があった。

戸定が丘歴史公園は、2.3ヘクタールの広さ。庭園の程よいところに晶子碑18基、寛碑1基がフットライト付きで置かれている。



与謝野晶子のうた
「松戸なる人の贈りしひなげしを置けばいみじきうすものの膝」

晶子は1924年(大正13)、戸定が丘の県立高等園芸学校(現千葉大学園芸学部)を訪れて散策を楽しみ六十首の短歌を詠み、文芸雑誌「明星」などに発表した。



与謝野寛のうた
「いろいろの波斯のきれを切りはめて丘に掛けたる初夏の畑」
(波斯=ペルシャ


「戸定が丘歴史公園」
幕府最後の将軍徳川慶喜の弟、徳川昭武が後半生を過ごした戸定邸のある場所。徳川家の住まいが公開されているのはここだけ。松戸駅から徒歩10分。


与謝野晶子石川啄木(『忘れな草 啄木の女性たち』山下 多恵子 著 未知谷 版より)
中学時代、啄木は愛読書の一つとして与謝野晶子の『みだれ髪』を挙げている。啄木は、1902年(明治35)初めて与謝野家を訪ねた。1908年(明治41)には与謝野家に滞在し、その後も頻繁に訪ねて行った。鉄幹が留守中、晶子と二人だけで語る機会もたびたびあった。彼女は子沢山の苦しい生活の中で、夏物を持たない啄木に、単衣を縫って贈ったりしている。
晶子は、啄木が共にいて「性」を意識することのなかった数少ない女性の一人であった。
 
(つづく)