[ヒルガオ]
武蔵大学 人文・経済 平成13年
俵万智 「『石川啄木詩集 あこがれ』解説」
-概略-
◎ 次の文章を読んで、後の問に答えよ。
啄木は、小説を書きたい人だった。それは彼の日記や評論を読むと、よくわかる。
「私は小説を書きたかった。否、書くつもりであった。また実際書いても見た。そうしてついに書けなかった。」
この有名な一節に象徴されるように、啄木は小説を志し、小説で生計を立てたいと願い、また小説家として世に認められたいと強く思っていた。が、その願いは叶えられることなく、小説に関しては挫折の連続だった。(略)
啄木の詩についても、似たような感想を私は抱いた。『あこがれ』は、肩に思い切り力の入った詩集だ。言葉をあやつる才能を、これでもかこれでもか、と見せつけてくれる。数え年で二十歳までという年齢を考えると、ちょっと末おそろしいという感じさえする。(略)
問
「啄木の詩についても、似たような感想を私は抱いた」に関連して、筆者の考え方を次のように整理し、それについての感想も記した。《 》から、空欄に入るものを選べ。
啄木が取り組んだものに、短歌と詩と小説がある。小説は、力が入り過ぎて失敗した。短歌は、その力を抜いて作ったので、魅力的である。力が入るとは、( )を読者に見せつけるようなことであり、力を入れ過ぎた作品は、読者を( )させはしても、( )させはしない。
右の点では啄木の詩は( )に似ている。しかし、そうでない詩もある。( )のものである。( )をふんだんに作った延長で作ったからである。
《 秘密・表現・才能・感心・感動・美質・小説・短歌・非定型・「食うべき詩」・『あこがれ』・『呼子と口笛』 》
●解答は次回に