〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

「啄木は、特に男性に人気があった」中江有里


[フヨウ]


NHK BS プレミアムアーカイブ
「みちのく文学散歩 石川啄木/特集 詩人・啄木の夢と青春」 2012年10月24日放送

◎ 放送をみて、こころに残ったことば

金田一京助のところに啄木が来たとき、風呂敷包み一つだった。その中身は、ノートと日記が入っていただけ。啄木は「生活者としての心境を忠実にうつした日記が、作品になり得る」という気持ちが芽生えていたと思う。これが『一握の砂』の成立に大きな影響を与えた。

尾崎豊のノートに啄木の歌が書かれていた。尾崎は平成の教祖のようになっているが、そのように思う世代が、絶対啄木に興味を持つと思う。

「啄木はもっと若い人たちに理解される存在だ」と言いたい。啄木の歌には青年期にぶつかるいろいろな悩み、感動がきちんと書かれている。啄木と同時代の人の歌集を読んでも難しくてわからない。そんなとき急に啄木を読むと「あっ、オレ短歌わかる」と思う。

啄木は周りの人に愛された。特に男性に人気があった。その理由は、志が高かったということ。仕事がない金がないという困難があっても、啄木はめげない。自分に自信があった。自分を輝かせる場所を探してあちらこちら移動した。そういう啄木を見て、周りの友人たちは「彼を支えたい」と思った。