[ヤマアジサイ]
河北春秋
- 東日本大震災の直後、一人の米国人の決断が東北に住む人の心を温かくしてくれた。日本文学研究者のドナルド・キーンさん(91)。
- 現在執筆しているのが、石川啄木の評伝。歌もさることながら、作品の最高峰と位置付けるのが「ローマ字日記」。「何も隠さず、心の中を暴露している。明治時代の人物が書いたと意識させない、現代性にあふれている」と高く評価する。
- 盛岡市で先日あった講演会で啄木の魅力を語った。「私は啄木に似ているのでしょう」と聴衆を笑わせた。「啄木について書くべきことは全て書かれていると思うでしょうが、そうではありません」とキーンさん。震災が結んだ縁で生まれる作品と言えるかもしれない。どんな啄木を描いてくれるのか、待ち遠しい思いだ。
(2013-07-08 河北新報>河北春秋)