- 一流のプロとなれば、仕事に対する気迫もすさまじい。漫画家・絵本作家の馬場のぼるさんが12年前に亡くなった時、つくづくそう思った。胃がんで体が弱っていたので、1枚描いては少し休み、また描いては休む。そんな状態で絵本の出版を手がけた。
- 8日に肝臓がんで亡くなった歌手の島倉千代子さんの歌にかける思いも想像を絶する。南こうせつさんが作曲した歌をレコーディングしたのは直前の5日。本当は15日の予定だったが、島倉さんから「その日まで待てない」と連絡があったという。迫る死を振り切ってでも仕事をやり遂げようとする執念に圧倒される。
- 人によって、仕事はまさに人生そのものだ。〈こころよく/我にはたらく仕事あれ/それを仕遂(しと)げて死なむと思ふ〉と、石川啄木も詠む。
(2013-11-12 東奥日報)