〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

美人を見つけると後をつける「好き歩き」 啄木


[ブロッコリー]


「三山春秋」上毛新聞

  • 「摩(す)れあへる肩のひまより はつかにも見きといふさへ 日記に残れり」。石川啄木の『一握の砂』(朝日文庫)に収められた一首である。脚注に美人を見つけると後をつける「好き歩き」を金田一京助らと楽しんだとある
  • 今の世ならストーカーと見なされそうな「好き歩き」だが、なにぶん明治時代のこと。意中の女性を人の肩越しに少し見かけただけで胸ときめかす、それだけの行為だったのだろう
  • 啄木の時代に比べ恋愛ははるかに自由になったが、一方で「少子化」「婚活」が話題に上る。雪をすぐに解かすほど日の光は強くなり、心弾む季節がやってくる。たとえラブソングは歌えなくてもすてきな出会いがあるといい。

(2014-02-11 上毛新聞)