〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

〈はたらけど/はたらけど猶わが生活…〉石川啄木


[アワ]


回転窓/じっと手を見る  [建設工業新聞 2014年7月4日付]

  • 〈はたらけど/はたらけど猶わが生活(くらし)楽にならざり/ぢつと手を見る〉。よく知られた石川啄木の歌集「一握の砂」に収められた歌の一つである。
  • 啄木は1908(明治41)年、職を探して北海道から上京。都内の友人宅などを転々としながら、ようやく東京朝日新聞の校正係の職を得た。家族を呼び寄せ、生活も安定したはずだったが、この歌には生活の厳しさがにじみ出る。
  • 1908年は政府が増税法(酒造税・砂糖消費税の増税、石油消費税の新設)を公布した年に当たる。前年12月にはたばこの定価も引き上げて歳入増を図った。大衆課税が強化されるのは、いつの時代も同じようだ。

(2014-07-04 建設工業新聞)
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