〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

〈鏡屋の前に来て/ふと驚きぬ/…〉石川啄木


[イングリッド ウェイブル]


鏡 <卓上四季> 北海道新聞

  • 人は自分の顔を直接見ることができない。鏡に映して初めて、その特徴が分かる。鏡の中はありのままの自分であるとともに、外からの視点が加わる。
  • 石川啄木にこんな一首がある。〈鏡屋の前に来て/ふと驚きぬ/見すぼらしげに歩むものかも〉。もっとはつらつとしていると思っていたが、みすぼらしい男が自分と知って、落差に驚いたのだろう。今もよくあることだ。
  • 年の瀬、振り返れば、今年も企業の不祥事が相次いだ。名門の東芝では、トップの指示で利益を水増しし、日本企業の国際的な信用に関わる問題になった。居酒屋大手のワタミは、長時間労働の末に過労自殺した女性の遺族と和解し、創業者が謝罪に追い込まれた。
  • 近江商人の心得とされる「三方良し」。売り手も買い手も世間も良し。売り手と買い手がともに満足し、社会にも貢献できるのがよい商売と説く。

(2015-12-27 北海道新聞

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