「美しい大和言葉で伝統美を」 冷泉貴実子さん
「和歌が伝える 日本の美のかたち」
- 「冷泉家の和歌は創作、あるいは個性発揮の場ではない。使い旧(ふる)された、しかし美しい大和ことばを使って、伝統的な美の世界を構築することにある」。冷泉家時雨亭文庫常務理事の冷泉貴実子さんがエッセー集「和歌(うた)が伝える 日本の美のかたち」を刊行した。日本人の美意識に通底する和歌の美、歌ことばを紹介する。
- 近現代の短歌については「似て非なるもの」と区別する。作者の人生観や生活が投影されるからだ。例えば、石川啄木の<はたらけどはたらけど猶わが生活(くらし)楽にならざりぢつと手を見る>など、作者と作品が一体となるが、和歌は「完全な仮想の世界」とする。
書肆フローラ刊、2160円。
(2016-12-31 京都新聞)記事