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舞台の謎

2015-10-17

日本バレエ協会関東支部埼玉ブロック「バレエファンタジー」2015

標記公演評をアップする。

日本バレエ協会関東支部埼玉ブロックが、28回目の「バレエファンタジー」を開催した。芸術監督は矢野美登里。矢野の作る空間の中で、若手育成と創作推進の目的は今回も果たされた。


ブロックのジュニア達が踊るオープニング作品は、菊池紀子振付の『breath…息吹き』。プロコフィエフの『古典交響曲』を細部まで読み込んだ生き生きとした振付と、クラシックスタイルの徹底指導により、音楽そのものを楽しめるシンフォニック・バレエの域に達している。


スタジオ作品は6作。上演順に、石塚彩織振付『ミトウロク/Unregistered』(大岩静江バレエスタジオ)は、ミニマル電子音ドビュッシーピアノ曲を差し挟むコンテンポラリーダンス。面白い振りも散見されたが、子ども達にとっては少しドライな作風だったかも知れない。山田沙織、伊東由里振付『アディエマス』(井上美代子バレエスタジオ)は、身体能力の高いダンサー達を一致団結させた、エネルギー発散系のジャズダンス作品。標題となった作曲家アディエマスの音楽には合唱も入るため、ミュージカルのような高揚感があった。


休憩を挟んで、田口裕子振付『タンゴ』(伊藤京子バレエスタジオ)は、ピアソラ名曲リベルタンゴ』から始まる。粘り気のある足遣い、スタイリッシュなデュオの動きが、タンゴの暗いニュアンスを引き出す。主役の関口祐美が土橋冬夢相手に、しっとりとした大人の踊りを披露した。続く矢嶋美紗希振付『水の戯れ』(マリエバレエ)は、ラヴェルの同名ピアノ曲に振り付けられた。水色の衣裳を身につけた5人の女性が、水そのものと化して踊る美しい作品。


一方、腰塚なつ子振付『スラブ民謡主題によるヴァリエーション』(同バレエアトリエ)は、少女8人と若者一人が繰り広げる牧歌的青春模様。花柄チュチュが楽しい。最後は新井悠汰を中心に8人が円を作り、前後開脚して新井を讃美した。スタジオ作品最後は、宮内麻衣子振付『WHITE』(HAGAバレエアカデミー)。22人の女性ダンサーが黒いホルダーネックにチュールのスカート、お団子ヘアで踊るコンテンポラリー作品。気怠い大人っぽさを作風とするが、子ども達が少し置いてけぼりになったような気もする。


合同作品は中尾充宏改訂振付の『コッペリア』第3幕より。冒頭、市長の代わりに「祈り」の鈴木瑠華が全体を統括し、最後は結婚の祝福も与える演出。振付は、長年ブルノンヴィル・スタイルを学んできた中尾らしく、早いテンポで細かいステップが繰り出される。ロマンティック・バレエに近い祝祭的雰囲気で作品は大いに盛り上がった。


スワニルダの戸田有紀は、やや緊張気味ながら、確かな技術とおっとりした娘らしさを、フランツ清水健太はベテランらしい行き届いたサポートに、情熱的な若々しい踊りを披露した。


「祈り」の鈴木の気品、「婚礼」の奥山あかりの鮮やかなライン、「戦い」の中川杏奈アマゾネスぶりを始め、ブロックの若手が一丸となって中尾の振付に立ち向かい、ドリーブ音楽の喜びを伝える。男性ゲスト、吉田邑那の華やかさ、荒井成也の切れの良い踊りも舞台をバックアップ。ブロックの高校生、「婚礼」の永堀智也のノーブルなスタイルも印象的だった。(9月13日 さいたま市民会館おおみやホール) *『音楽舞踊新聞』N0.2957(H27.10.15号)初出

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