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舞台の謎

2017-09-11

NBAバレエ団 『The River』 『HIBARI』 2017

標記公演を見た(9月2日昼夜 東京芸術劇場プレイハウス)。久保綋一芸術監督の下、米国系作品の上演を続けてきたNBAバレエ団が、アメリカモダンダンスの流れを汲むダブル・ビルを上演した。アルヴィン・エイリーの『The River』(70年 ABT)と、オリジナル作品 リン・テイラー・コーベットの『HIBARI』(15年)である。前者はデューク・エリントン書き下ろしのシンフォニック・ジャズ、後者は美空ひばり歌謡曲に振り付けられている。「ジャズ」と「演歌」という、日米それぞれの土地に根差した音楽の対照が興味深い(優れたジャズ歌手でもある美空は、エリントンも歌っている)。『川』で始まり、『川の流れのように』で終わるダブル・ビルだった。

エイリーの『The River』は、アラベスクを多用し、ラインの美しさをゆったりと強調する振付。背面リフトも大きく伸びやか、こねくり回すパートナリングは見られない。川の持つ様々な姿を、エリントンの音楽に寄り添って素直に視覚化している。一方の『HIBARI』は、美空の生涯を歌で綴り、その時々の楽曲に応じた多様な振付が特徴。コーベットは自らのオリジナリティを追求するのではなく、モダンダンスやショーダンスの語彙を駆使して、美空へのオマージュを捧げる。言わば無私の振付である。エイリーにも共通する、敬虔な信仰心を感じさせた。

両作とも一部を除いてダブルキャストが組まれた。どちらが第一キャストか分からないほどの拮抗を見せて、ダンサーの著しい成長を明らかにしている。『The River』では、竹田仁美や峰岸千晶といったベテラン勢に混じり、若手や新加入ダンサーが個性を発揮した。森田維央の美しい踊り、新井悠汰の溌剌とした踊り、勅使河原綾乃の高度な回転技、安西健塁のエネルギッシュな踊り、大島淑江の深い情念

『HIBARI』では、『悲しい酒』の関口祐美が布を絡めた美しいラインで、しみじみとした情感を醸し出した。大森康正と高橋真之による『お祭りマンボ』の爽やかな兄弟仁義、大森は『愛燦燦』でも、澄み切った独自の境地を踊りに反映させている。哀切極まりない『哀愁波止場』では、竹田と宮内浩之が端正なデュエットを見せる一方、大島と土橋冬夢が情念のこもった濃密なデュエットで対抗、土橋は優れたパートナー振りも発揮した。米津萌の美しいタキシード姿、岡田亜弓の可憐、竹内碧と伊東由希子のパンチの効いた色気、清水勇志レイの粋な若者振り、両作で主役級に抜擢された菊地結子の大人っぽさも印象深い。

いずれも適材適所が組まれ、ダンサーの成長が促されている。特に男性ダンサーの技術の向上が目覚ましく、リスクをとって限界に挑む姿勢が際立っていた。

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