14×キャラクターズ

東浩紀桜坂洋の共作『キャラクターズ』を読んだ。非常に読みやすい。だがその真意は難解だ。筒井康隆の『文学部唯野教授』と極めてよく似ているが、決定的に違うのは登場人物がすべて実名というところだろう。
はてなダイヤリーで、現実の東浩紀の様々なエピソードから構成されるキャラクターとしての東浩紀をデータベース的に消費する舞台として『キャラクターズ』という小説が与えられている、という解釈があった。私もそういう小説だと思った。言い換えればノンフィクションな物語性や現実の人間性も、ひとつのキャラクターであるということだ。それを証明するために、文体は私小説の姿を借りて、実在の人物やエピソードをキャラクター要素へと変換して描くことで、私小説とキャラクター小説の融解を図ったのではないか。

キャラクターズ

キャラクターズ