本多勝一 - 日本語の作文技術

新装版 日本語の作文技術

新装版 日本語の作文技術

本書は元朝日新聞社のジャーナリストである本田勝一氏によって1982年に出版され、2005年にこちらの新装版が登場しました。「読む側にとってわかりやすい文章を書くこと」を目標に、その為の技術として例題を交えながら解説しています。

その技術の一つが、「修飾する言葉とされる言葉との繋がりを明確にする」ことです。
これができてない場合や、言葉が離れすぎているとわかりにくい文章となってしまいます。
以下は本書の例題の1つです。

例:私は 小林が 中村が 鈴木が 死んだ現場に いたと 証言したのか と思った。
   │  │   │   └────┘    │    │    │
   │  │   └─────────────┘    │    │
   │  └─────────────────────┘    │
   └─────────────────────────────┘

上記のように「私は……思った」の間に、修飾する言葉とされる言葉が入ってしまうと非常にわかりづらくなってしまいます。
そこで言葉の変更を加えずに、修飾・被修飾関係の言葉を直結してみると。

例:鈴木が 死んだ現場に 中村が いたと 小林が 証言したのかと 私は 思った。
   └────┘    └──┘   └─────┘   └──┘

このように言葉の位置を替えるだけでもわかりやすい文章になりました。

また「修飾の順序」という技術も紹介されています。
これは一つの文章を修飾語でわけた時に、旬より節を先に、長い修飾語を先に、状況の大きなものを先に並び替えることで、わかりやすい文章が生まれるというものです。
それぞれに例題を挙げて複数の修飾語をさまざまなパターンで組み合わせた結果、上記の3つが不思議と当てはまるのに驚きを感じました。

学生時代に作文を書く機会はありましたが、その書き方について教えられたことはほとんどなかったと思います。しかし本書にある技術を身につければ、これまでより「読む側にとってわかりやすい文章を書くこと」ができると思いました。

Green Day

私が高校生の頃、音楽好きの友達から借りたCDにGreen Dayというアメリカのバントがあって、英語はさっぱりわからないのですがメロディが気に入ってよく聴いていました。
CDを返した後もまた聴きたくなって初めて購入した洋楽のアルバムがGreen Dayの「Dookie」です。1994年に発売されたこのデビューアルバムは世界総売り上げが2,000万枚を突破したモンスターアルバムとなりました。中でも代表曲の「Basket Case」はバラエティ番組で使われているのを聴いたことがありますし、Avril Lavigneがカバーしたことでも有名です。

音楽としては攻撃的なパンクをポップに仕上げています。
そのため他のパンクと呼ばれるバンドからは大衆受けを狙った偽者だという批判をたびたび受けていました。私としては音楽のジャンルという括りは曖昧で、聞く側からするとそれほど重要なものではないと思っています。パンクについてはその発祥といわれているSex Pistolsというバンドを題材にして後日紹介する予定です。

私が就職で大阪へ出てきてからは色んなバンドのライブを見る機会が増え、2002年の春には大阪城ホールGreen Dayのライブを見に行くことができました。この日はインディーズアルバムながらミリオンを記録したモンゴル800と、現在は解散してしまいましたが主要メンバーは別のバンドで活動を続けているGoing Steadyの2組が前座として盛り上げてくれます。
そしてGreen Dayが登場すると会場は割れんばかりの歓声に包まれ、これまでに何度も聴いてきた楽曲を生で聴けてとても興奮しました。ボーカル・ギターのビリー・ジョー・アームストロングは観客をステージに上げて自分のギターを弾かせ、さらにそのギターをプレゼントするなどファンサービスも旺盛で見ていて楽しかったです。(こういった行為が反骨精神の塊であるパンクロッカーからすると軟弱に見えて批判の対象になるのかもしれません)

ライブが終った後は興奮と開放感で一緒に参加した友達と感想やくだらないことを喋り続けていました。会場でピョンピョン飛び跳ねていたせいで帰りの電車では疲労感でぐっすり眠ってしまい駅を寝過ごしてしまったのを覚えています。
当時を思い出しながら文章を書いていると久しぶりにライブへ行ってみたくなりました。

J・エドガー

J・エドガー Blu-ray & DVDセット(初回限定生産)

J・エドガー Blu-ray & DVDセット(初回限定生産)

この映画はアメリカ連邦捜査局(FBI)の初代長官を48年間務めたジョン・エドガー・フーヴァーの伝記映画です。監督はクリント・イーストウッドエドガー役は日本でも大人気となった「タイタニック」で主演を務めたレオナルド・ディカプリオです。

イーストウッドの作品はこれまでに、第二次世界大戦における硫黄島の戦いを日本側の視点から描いた「硫黄島からの手紙」や、元軍人で頑固な老人役をイーストウッド自身が最後の俳優業として演じた「グラン・トリノ」を見てきました。

前者はアメリカから見た「父親たちの星条旗」と同時期に公開され、日本とアメリカから見た戦争の悲しさと、いつ死んでもおかしくない状況でも諦めない当時の人間の力強さを感じました。
グラン・トリノ」では老人と近所に越してきた少年の友情と、終らない憎しみの連鎖。それを食い止めるべく老人のとった行動は悲しく賛同できるものではありませんが、ではどうすればよいのかという答えは見つからないと思います。

そして本作では引退も囁かれているエドガーが書記官を呼び、これまでの自身とFBIの歴史を残そうと記憶を辿ります。過去を語るその言葉とさまざまな行動がリンクするように、映像は高齢のころと若いころのエドガーが変わって戸惑う場面もあります。

※時代を行き来するため登場人物の年齢も場面によって異なりますが、特殊メイクにより役者は同一人物が演じています。

エドガーは幼いころから母親にこの国の権力者になると教え込まれ、その言葉を疑うこともなく成長していきました。そして母親を非常に愛しており、独身のまま亡くなるまでずっと一緒に暮らしています。

司法省の弱小部署に配属されたエドガーは共産党やギャング、国外からの脅威からアメリカを守るため。そして権力を得るためにFBIを強力な部署へと変えていきました。
過去の犯罪者の指紋から犯人を特定する方法や、現場に残された木片からに対して木材のプロフェッショナルを呼び、それがいつどこの木片なのかを突き止めようとするなど、当時なかった化学的な捜査を展開してきます。
さらに政府要人に対しても盗聴を利用して、ある時には脅しの材料に使い自分の立場を揺ぎないものになりました。

派手な銃撃アクションや驚かせるCGなどもなく物語は淡々と進みます。

司法省に配属されて出会ったヘレン・ギャンディ(ナオミ・ワッツ)はエドガーからのプロポーズを断ります。有能な彼女は結婚よりも仕事を第一に考え秘書として長い年月を共に働き、エドガーが亡くなったとの知らせを受けてからは彼の極秘ファイルを残らず処分しました。

ランチかディナーを共に過ごすという条件でエドガーの右腕となったクライド・トルソン(アーミー・ハマー)は仕事を進めていく中でお互いに理解しあう仲となりました。休日を共に過ごす事も多かったようですが、エドガーが結婚願望を打ち明けたことで喧嘩になり、今後女性の話をするならば仕事を辞めると言い切るなど同性愛を思わせる描写もあります。エドガーの死後は彼の遺産を全て受け継ぎ情報が漏れないように守ったとされています。

私はこの映画を友情や愛情の物語だと思いました。
FBI長官の立場からすると、この映画には登場していない凶悪な事件や驚くべき出来事が他にもたくさんあるはずです。それよりも母親とのダンスやトルソンとの競馬のシーンを取り扱い、他に類をみない巨大で強力なFBIという組織の歴史よりも、三人の強い結びつきに魅力を感じました。

山田ズーニー - あなたの話はなぜ「通じない」のか

あなたの話はなぜ「通じない」のか (ちくま文庫)

あなたの話はなぜ「通じない」のか (ちくま文庫)

以前日記に書いた山田ズーニー氏の「伝わる・揺さぶる!文章を書く」が非常に読みやすかったので、今回も同じ筆者による「あなたの話はなぜ「通じない」のか」を読んでみました。
この本ではタイトルのとおり話が通じない理由の1つとしてコミュニケーションの重要さを挙げています。

例えば自分が苦手とする人と尊敬している人では、両者が同じ言葉を発したとしても後者の話の方が素直に受け止められます。
このように話を通じさせやすくするためには、日ごろから人との関わり合いの中で自分というメッセージを伝えるメディアの信頼性を高めていく必要があります。
それが難しい時は相手にとって信頼のおける人物から話を勧めてもらうという方法も有効です。

誰にとってもそうですが、興味のない話では関心を示してもらうこともできません。相手の立場からすると何を求めているかを考えることが大切になります。
さらに自分が一番言いたいこと(意見)をはっきりさせて問題を明確にすることで問題意識の共有を図ります。しかし意見だけでは相手は理解できません。なぜそう言えるか(理由)を道筋立てて説明して、その上で相手に「なるほど!」と思ってもらえれば話は通じたといえるでしょう。

そして考えるということは「問い」であると本書では述べています。
例えば「北朝鮮拉致問題についてどう思うか?」という質問をされてもなかなか答えづらい大きな問題です。こういった場合は自分の中で具体的な「問い」を立てるため「4W1H」という文章作成のテクニックを使います。

いつ(When)〜この問題はいつ起こったのか?
どこで(Where)〜日本だけで起きたのか?
誰が(Who)〜関係しているのは誰か?
何を(What)〜世界の歴史の中でこれに似た問題はないか?
どうした(How)〜その時はどう対処したのか?

このように小さな「問い」として洗い出せれば難しいと感じた質問に対しても答えられます。その答えを組み合わせることが考える作業だと本書では表現しています。

信頼を落とすことに比べて高めることは大変だと思いますが、論理的なコミュニケーションを意識して自分というメディア力を高めていきたいと思います。

アジア型 Yamitukiカリー

ついこの間まで暑い日が続いていましたが、最近の朝晩は冷え込むようになりました。
こんな時期は辛い物が食べたくなり近くにあるカレー屋さん「アジア型 Yamitukiカリー」へ行ってきました。

早稲田通りから路地に入る曲がり角に石が3個ほど並んでいて、お店の名前などが看板の代わりに書いています。
以前連れて行ってもらったことのあるお店で、その時は「チキンとその卵のふわふわカリー」(730円)を頼みました。
アジア型というだけあって今までに食べたことのあるカレーとは違い、ココナッツミルクを使ったマイルドな味です。
トロトロの卵と鶏肉の相性もバッチリでおいしかったので再び来店しました。

21時ごろにお店へ着くと10席ほどのカウンター席はほぼ満席になっていました。
メニューは12種類のうち4種にトマトが入っていて「食べログ」などでは評判が高かったです。
しかし私は小さいころからトマトが大の苦手なので、今回は「とろ〜りトロすじと豆富のカリー」(850円)を注文しました。
辛さはスタンダート、辛口、大辛、激辛の4種類から選ぶことができ、前回がスタンダートだったので今回は辛口に。
注文を終えると小さな器に入った食べ放題のらっきょうと福神漬けが置かれます。
久しぶりのらっきょうは酸っぱくて1つだけに留まりました。
4人ほど料理を待っている人がいましたが、5分も経たないうちにカレーが届きました。

辛口といってもそれほど辛くはありません。
トロみのないスープのようなルーと味の染み込んだ柔らかい牛すじはとてもよく合いました。
初めてカレーと一緒に食べる豆腐も新鮮ではありますが、やはりどちらかというとじゃがいもなど野菜の方が合うと思います。
小さなパクチーは口の中をいったんリセットしてくれるいいアクセントです。

お題を払ったあとに飴をいただき、いいお口直しになりました。
次回はルーとご飯を混ぜ合わせ、他のカレーとは見た目も異なる「キーマカリー」(850円)を食べてみようと思います。

山田ズーニー - 伝わる・揺さぶる!文章を書く

伝わる・揺さぶる!  文章を書く (PHP新書)

伝わる・揺さぶる! 文章を書く (PHP新書)

良い文章を書くために何か参考になりそうな本を探していたところ、「伝わる・揺さぶる!文章を書く」というタイトルに惹かれ、どのような本なのか調べてみました。

筆者の山田ズーニー氏は、株式会社ベネッセコーポレーションで学生向け通信講座を行っている進研ゼミの小論文編集長として通信教育の企画・編集・プロデュースに携わってきました。
2000年に独立し、さまざまな人がインターネット上でインタビューや対談、コラムなどを投稿しているサイト「ほぼ日刊イトイ新聞」では「おとなの小論文教室。」として、週1本のペースで現在も続いている長期連載です。
膨大な量のため全ては見ていませんが、家族との日常生から死を思いとどまらせる言葉など、幅広い題材をわかりやすい文章でまとめられており、このように書けたらいいなと思って本の購入を決めました。

本書では書くことは考えることだと述べており、相手に思いを伝えるための考え方として以下の7つを挙げています。

1.意見〜あなたが一番言いたいことは何か?
日記に本や音楽について書いても、自分なりの意見を明確に出せずに概要や説明ばかりになってしまうことが多いので気をつけたいところです。

2.望む結果〜だれが、どうなることを目指すのか?
ゲームの記事を作成する場合、サイトに訪れたたくさんの人が見だしを見て続きを読みたいと思わせること。

3.論点〜あなたの問題意識はどこに向かっているか?
今まであまり意識ができていなかった点です。オリジナルの記事を作成するときに盛り込めればいいアクセントになると思いました。

4.読み手〜読み手はどんな人か?
その題材に詳しい人から知らない人までさまざまですので、登場人物の紹介や専門用語などをわかりやすく説明する必要があります。

5.自分の立場〜相手から見たとき、自分はどんな立場にいるか?
プレスリリースやレポート、インタビューなどの違いで立場も変わり、文章の変化にも気をつけなければいけません。

6.論拠〜相手が納得する根拠があるか?
論点を持ち出すにはその根拠も必ず必要です。

7.根本思想〜あなたの根本にある想いは何か?
今の文章力では全然話になりませんが、書くことで少しでも食べていけるように魅力的な文章を書ければいいと思います。

筆者が学生向けの講座をやられていることもあってか、堅苦しくなく非常に読みやすい本でした。
同じ著者の書籍でAmazonレビューでも評価の高い「あなたの話はなぜ「通じない」のか」も注文をしてみたので届くのが楽しみです。