「#福山哲郎議員に抗議します」の件

えっと、なんと約6年ぶりのエントリになる。

ここはこのまま放置かなと思っていたが、ちょっと気になったので。「恫喝」でtwitterの医クラを中心に不評を買っている福山議員だが、元の動画を見てみた。https://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/detail.php?sid=5774 の25:05から39:08あたり。

前半部分については福山議員が数字にこだわりすぎかなという面もないではないが、無症候感染者を介しての感染拡大についての危惧はもっともとも思う。特に問題なく質疑は進んでいき、尾身先生の説明も分かりやすいと思う。

36:09あたりで福山議員が声を荒らげる場面があり、唯一恫喝と呼べるのはこの部分だろうか。ただこれは総理が不規則発言で尾身先生に何らかの指示?を出したことに対して怒っているもの。尾身先生に対するものではないし、これ自体の怒りはもっともとしてよいのでは。
また37:12~44で福山議員が尾身先生の発言にかぶせて急かす場面があるが、丁寧な説明に対して失礼かなとは思うが個人的には炎上するほど敬意を欠いたものとは思えなかった。

一方で東京の陽性者が7%で一般的にはそれより低いと推測されるという説明は妥当と思うが、38:16の福山議員の「まったく答えていただけませんでした、残念です」はこっちが残念になってしまう。そこは理解しようよ。

ただ私見だが政府側の答弁としては、無症候の感染者の数をざっくりでよいので把握や推測していかなければならないということと、それについてどのようなロードマップを立てるべきかということについての説明が不足していたのではないかと思っている。

 

 なお「#福山哲郎議員に抗議します」タグで拡散されているこの件はDappi氏の切り取り・煽りがあって炎上したものと思うけれど、「#検察庁法改正案に抗議します」へのカウンターとしている向きも少なからずいたことも油を注いだ面はあったと思う。個人的にはそういう対立・分断煽りには辟易していて、本件についてはどちらも相反するものではないわけだし、もう止めません?…といって止むはずもないが、本当うんざり。

ヘイトと誠実さ

id:yasugoro_2012さんにブクマでご質問頂いた件のお返事と、それに関連して考えたこと。ちょっと長くなるのでエントリにした。何とまあ、1年半ぶりのエントリである。


事のあらましとしてはid:scopedogさんのエントリ
トイレのドアを開けっ放しにして排便中の人に「ドアは常にオープンだ」とか言われてもねぇ
http://d.hatena.ne.jp/scopedog/20140207/1391705836魚拓
に対して自分が「批判は存分にすればよいが、持病と引っ掛けての揶揄は醜悪の極み。ネトウヨヘイトスピーチとどこが違うのか。主旨に賛同すればこそ、こんなのは批判すべき。」とブクマし、それに対してyasugoro_2012さんから「どの部分から『持病を揶揄している』と断定」したのかとご質問頂いたという流れ。

まず「『持病を揶揄している』と断定」した理由について。
直接的に断定できる根拠はないけれど安倍首相がIBDを患っているのは周知の事実であるし、エントリ全体の内容からはそう判断した。個人的にはなるべく安易に断言することは避けたいとは思っているものの、ブクマやツイートでは字数的に留保表現を加える余裕がない場合もある。ただ今回の件では、その留保を付け加える必要があったとは思っていないけれど。
また確かに断言できる明文化された根拠はないとは言え、メタブクマや以下で述べるエントリなどを見る限り、自分がブクマで指摘したことは事実だったと判断して差し支えないだろう。

なおid:festerfesterさんからの批判ブクマに対し、scopedogさんは
「批判は揶揄、侮蔑、悪罵、冷笑を使わずにやってくれ(ただし自分は例外)」って人が多すぎる
http://d.hatena.ne.jp/scopedog/20140210/1392052195魚拓
と言う反論エントリを書いている。

確かにfesterfesterさんのブクマで批判されているのは「揶揄、侮蔑、悪罵、冷笑」であるが、もっと批判されるべきは身体的特徴や病気、人種や国籍などといった、自分で変えがたい属性を絡めた揶揄などであろう。手前味噌にはなるが自分のブクマに付けて頂いたスターからもそのことは見て取ることができるし、そもそも思想の左右、保守やリベラルを問わず、文明人なら持っておくべき共通認識だと思っている。しかしその肝心な点から目を背けた反論エントリしか書けないのは、とうてい論者として誠実とは言い難い。

一方、先述の通り病気と絡めた揶揄だという直接的な証拠はないと言わざるを得ないわけであるが、風刺や揶揄は直接的な表現を用いないのがスマートという考え方もあるだろう。そのこと自体には自分も同意するし、エクスキューズの余地を残そうとしたわけではなく単にスマートさを求めたという可能性も完全に否定はできない。しかし元エントリは比喩としても嫌悪感を催させるし、スマートとは程遠いと感じる。さらに反論エントリの中で「IBD特有の症状を書いてはいないと思いますが」という逃げを打っていることについては、乾いた笑いしか出ないと言うのが正直なところだ。

個人的にこのあたりの考え方としては、yasugoro_2012さんのエントリ
ちょっとした屁理屈
http://d.hatena.ne.jp/yasugoro_2012/20140212/1392224406
にはほぼ同意する。過去に自分がそういう発言を全くしていないかと言われれば心許ない気もする(というか多分あるだろう)が、少なくとも現時点ではだいたい同様の認識でいるつもりだ。…個人的には最初の例示については実例を見ていないので何ともだが、やや基準が厳しすぎるかも知れないとは思うけれど。


いわゆるネトウヨ歴史修正主義者などが批判される理由、批判する根拠にはその思想そのものもさることながら、弱者に対する冷淡な態度や差別主義・ヘイトであったり、事実に向き合えない・あるいはないがしろにする不誠実さ、論理性のなさもあると思う。しかし今回の一連の話を考えるに、後に挙げたこれらの特徴はscopedogさんにも当てはまると言わざるを得ない。右にも左にも困った人はいるし、声を大きくしようと思って表現が先鋭化しがちなのもよくある話だけれど、こういうダブルスタンダードを自分に許してしまった時点で論者たる資格を失うのではないだろうか。

scopedogさんがこの手の指摘を受けるのも初めてではないようだし、自分自身が気になったことも何回かあるけれど、今回はあまりに目に余ったのでエントリとさせて頂いた。書かれる内容そのものは見るべき点も多いと思うだけに、残念である。

男の料理

色々あって?突如として料理のエントリをあげてみる。

お題はスペアリブ。
おそらく30年ほど前の朝日新聞(「西川ヘレンのよろしゅうおあがり」というコーナーだった)に載っていて、以来うちでは定番料理となっている。
簡単にできて旨いので、レシピを紹介してみる。

材料
スペアリブ・・・1kg
酒(※)・・・・1カップ
しょうゆ・・・・1/2カップ
酢・・・・・・・1/4カップ
砂糖・・・・・・大さじ2
チリパウダー・・大さじ2
油・・・・・・・大さじ2
にんにく・・・・2かけ
しょうが・・・・親指大

※注:料理酒には塩が入っているものがあるが、その場合はちょっと塩辛くなるようだ。できれば無塩のものを。

あと好みに応じてゆで卵を丸ごと入れてもいいが、だいたい煮込みの工程でボロボロになってしまうのが常。

ちなみにスペアリブ1kgってけっこう多いように感じるが、骨があるので正味は割と少ない。だいたい4人家族の約1回分ぐらいと思ってもらえばいいだろう。
また、チリパウダーを”チリペッパー”と間違えないように注意。間違うと激辛になってしまう。ちなみに経験済み。


以下、作り方。
まず大き目の鍋でスペアリブを5〜10分ぐらい茹でてアク抜き。

2回茹でるが、鍋を2つ用意しておけば楽。

みじん切りにしたにんにく・しょうがを鍋で炒めて、お湯を切ったスペアリブを加えて軽く炒める。

混ぜておいた酒・しょうゆ・酢・砂糖・チリパウダーを上からかけて、落し蓋をして弱〜中火で煮る。

落し蓋がなければアルミホイルで代用しても可。

この時に時々ひっくり返して、満遍なく味がしみるように。焦げ付くことはあまりないと思うが、一応注意のこと。…ちなみにウォーターシールの鍋(フタに穴がない奴)の場合は水分が飛びにくいので、ちょっと隙間を空けておいた方がいいかも。
煮ること約30分、軽く水分が飛べば完成。ド楽勝。

出来上がりは一見辛そうだが、まったく辛くないので女子供にも問題なし。
下茹で2回である程度は油が落ちるので、それほどしつこくもない。ごはんにも酒にもよく合うのでマジお勧め。

「生」は危険

福井の、牛の生食での死亡事件(敢えて事件と書いた)の続報。
アルコール殺菌で大丈夫と思った…焼き肉店側

肉の生食のリスクについては自分の知る限り、ネット上では昨年の秋ごろからはてな界隈などで注意喚起が広がってきていた。例えば、肉の生食関連エントリまとめでまとめられている。

東京都の出している「正しく知ろう ! 生肉の取扱い」には、

輸入牛肉の一部を除き、牛・鶏・豚の肉や内臓肉は生食用食肉としての出荷実績はなく、生や半生で提供すると食中毒が起こる可能性があります。

とある。


すなわち決してこの焼肉店だけが問題だったわけではなく、どこの店でも全て加熱用のものを勝手に生食用に転用していただけという話だ(一部の輸入肉と馬を除けば)。この店をスケープゴートにして終わりという話ではない。

肉の生食は現時点で安全といえるものではなく、「ただちに影響が出るレベル」である可能性を考慮すべきだ。ちょっと前まで知らずに生レバを食べていた自分ではあるが、何らかの規制をすべきだと思う。

まず頭を冷やせ。話はそれからだ。

2日連続更新なんて、ブログ始まって以来の椿事ですよ奥さん。

さて、twitter上で、「東京含めて関東全域で若者たちに鼻血症状が出ていると連絡があった」という情報が流れている。http://togetter.com/li/123899でまとめられていたり、http://www.ratical.org/radiation/NRBE/NRBE8.htmlの情報にもある通り、鼻血が出るには数百mGyから2.5Gy程度の被曝が必要。そんな高い放射線は確認されていないので、事実無根のデマである。…としてもよいのだが、それでも疑り深い人のために検証してみよう。医学的知識はゼロでも大丈夫だ、問題ない。
今回、twitterのデマ発信源はつきとめられるの手法を参考に検証してみた。鼻血の話が本当なら、ツイッター上での言及が増えるはずだと予想。まずgoogleのリアルタイムを使って3月、4月あたりの「鼻血」に対する言及を調べてみる。グラフを比べた画像を作ってみると以下の通り。

??4月の方が少ない?と思いきや、月単位のグラフ同士を比較しても、どうやらその月内のピークに合わせてグラフの縦軸が変化する仕様となっていて直接比較は困難のようだ。そこでグラフの横軸を年単位に変えてみたらこんな感じ。

4月の頭とつい最近にピークがある以外は大きな違いがなさそうなのが分かる。じゃあ4月頭のピークは何なの?と思って調べてみた。

4月3日21時ごろから急増しているようだ。どういうことか?と思ったら、まだ浪江町に残る人物が2ちゃんねるに「起きたら鼻血で血まみれ」と書き込んだという件に関するツイートが多いように思える。ではお次は、「起きたら鼻血で血まみれ」で検索。

やっぱりこの件に関するツイートが、このタイミングで急増しているのは間違いない。ただし、たまたまこの時期に鼻血を出す人間が増えたという可能性は否定できない。2ch情報が「鼻血」に対する言及数の全体に影響しているかというのを検証するために、「"鼻血"-"起きたら鼻血で血まみれ"」で検索してみる。

件のタイミングの前後で大きい変化はないことが分かる。ちなみに夜になり徐々に増えるのはこの件に限らず、twitterの通常運転である。これがもし10年ほど前なら、23時ごろを境に急激に増えていたんだろう。
では直近のピークは?といえば、4月14日の20時ごろから急激に増えてきているのが分かる。

その時期にあったものは?というと冒頭で取り上げたツイートのタイムスタンプが2011-04-14 19:15:46となっていて、このツイートが拡散して言及数が増えた可能性が高いと考える。本当に鼻血が出ている人間が増えていたら、それ以前から言及数が増えていてもおかしくない。

一応書いておくと、実際の鼻血の増加がツイッターの言及数として表れていない可能性や、問題ツイートを受けて「そういえば…」と顕在化した可能性などをツイッターの情報のみから完全に否定するのは困難である。ただ情報の拡散過程は、デマのそれに限りなく近そうだ。ともあれ、とりあえず参考リンクを貼っておく。
ブロック推奨アカウント... - 100% Freeeeeeeeeee Pix!!!

「ずっとウソだった」に思うこと

ちょっと前の話になるが、斉藤和義によるセルフカバー、「ずっとウソだった」が話題になっている。こんな僻地のブログを見に来ることができる情報強者ならもちろん知っているのだろうと思うが、一応以下に歌詞を引用。

『ずっとウソだった』
この国を歩けば、原発が54基
教科書もCMも言ってたよ、安全です。

俺たちを騙して、言い訳は「想定外」
懐かしいあの空、くすぐったい黒い雨。

ずっとウソだったんだぜ
やっぱ、ばれてしまったな
ホント、ウソだったんだぜ
原子力は安全です。

ずっとウソだったんだぜ
ほうれん草食いてえな
ホント、ウソだったんだぜ
気づいてたろ、この事態。

風に舞う放射能はもう止められない

何人が被曝すれば気がついてくれるの?
この国の政府。

この街を離れて、うまい水見つけたかい?

教えてよ!
やっぱいいや…

もうどこも逃げ場はない。

ずっとクソだったんだぜ
東電も、北電も、中電も、九電も
もう夢ばかり見てないけど、

ずっと、クソだったんだぜ

それでも続ける気だ

ホント、クソだったんだぜ

何かがしたいこの気持ち

ずっと、ウソだったんだぜ

ホント、クソだったんだぜ

東電に言わせれば今回は「想定外」の震災に見舞われたということなのだろうが、東北地方はたびたび津波に見舞われてきていたし(法華狼の日記:東電の津波や地震の想定についてメモ)、地震により電源が失われ冷却システムが動かなくなると、炉心溶融、水素爆発、水蒸気爆発の危険性があることも指摘されていた(天漢日乗:福島第一第二原発事故を予見していた共産党吉井英勝衆院議員(京大工学部原子核工学科卒)の2005-07の国会質問(その3)地震で電源が破壊され冷却システムが機能停止する危険を2006年に指摘するも、政府は「大丈夫」の一点張り マスコミも大スポンサー電力会社に「配慮」して今回起きた危険が指摘されていたのを総スルー)。まるで現在起こっていることそのものである。個人的には福島第一原発の件は、人災としての側面が少なくないと思っている。

電力会社や政府が積極的にウソをついていたかはともかく、被災地以外の電力会社のサイトをあたってみても万一の事故の可能性、具体的なリスクなどについての記述は見つけられない。まあそれを言い出せば電車や飛行機やら自動車だって事故の際にどうなるかなんて説明は普通はないのだが、事故の可能性、起こった場合のリスクなどをどの程度判断可能かと言う点において、原発と他には大きな隔たりがあると考える。原子力は専門性が高く一般人にはなかなか判断が困難で、言い方を変えれば「情報の非対称性」が起こりやすそうということである。

同じように「情報の非対称性」が起こりやすそうな分野として、例えば医療が挙げられるだろう。考えられる治療方針やそのリスクについて、説明を受けなくても想像できるという患者はほとんどいない。だからこそ治療にあたっては、十分に説明し同意を得るいわゆるインフォームドコンセントがほぼ必須のものとなっている。例えばいまどき「手術の成功率は100%」とだけ説明して、合併症やミスなどのリスク、他の治療法の可能性を知らせずに手術してしまうような医療機関はまずないと思うが、電力会社がやってきたのはそういうことだろう。事故の可能性やリスクを知らなければ代替手段を考慮さえしないかも知れないのだから、一般人的には予め原子力以外の可能性を考えるインセンティブを奪われていたとも言える。真実を“述べない”ことは「ウソ」とは言えないかも知れないが、受け止める側としてはウソと感じるのは無理もない。「ずっとウソだったんだぜ」という叫びも無理からぬものだと思える。

一方でこの歌に対する批判も、例えば以下のようにあちこちで見られる。
てんかん(癲癇)と生きる:ずっとクソだったのは私たちか
Chromeplated Rat:誰に向けて、なにを、誰が
「騙された」とか歌って喜んでる斉藤和義と信者はこれ読めよマジで

確かに直接的に歌われているのは、推進側が「ウソだった」「クソだった」という点のみであり、被害者目線でしか語られていないように見える。問題提起としては不十分だという指摘も当たっているかも知れない。だが本人がどんな思いでこの歌を歌ったかは想像するしかないが、以前から斉藤和義は反原発ソングを発表したりもしている。絵文録ことのは:キヨシロー「Love me tender」のアンサーソングとしての斉藤和義「ずっとウソだった」の無力感でも言及されているように、電力会社や政府に対する怒りだけではなく結果的に現状の事態を招くに至った自らへの怒り・無力感や、既に起こってしまったことに対する無力感、閉塞感を表現したものではないだろうか。今さら誰かを悪者にしたところで汚染をなかったことにできるわけではない歯痒さは、本人も痛感していたはずだ。原子力は安全ではないのかもしれないと思いながら結局何もせずにいた自分は、とても後ろめたい思いでこの歌を聴いた。

メッセージを発信する側としては、主張を尖鋭化させれば受け入れてくれる人が減り、鈍化させ過ぎれば効果が少なくなってしまいバランスが難しい面もあるのだと思う。この歌詞が専門家によるものだとすれば批判されるべきかも知れないが、いちアーティストの作品としては十分よくやってくれていると言えるのではないだろうか?これぐらいのメッセージでさえ表明できないアーティストの方が、圧倒的に多数なのだから。少なくとも、多くの人に原子力政策の欺瞞を意識させた功績はあると言えそうだ。この歌を批判するぐらいなら、むしろ黙っているアーティストの方に向けたらどうか。

そしてこのメッセージを受け止める側としてはもちろん、単純に被害者目線からの反原発に繋げて終わらせてよいものではない。情報の非対称性があるとはいえ、なぜ騙されてきてしまったのか、あるいは問題があるかも知れないものに目をつぶってきたのかという点に対する自省も必要なのはもちろんのことだ。国民が「何かがしたいこの気持ち」を持ち続け行動に移すことができなければ、この歌が世に出た意味もないだろう。

人外のものたち

半年以上ぶりにエントリを書く。文字通り世界を震撼させた大震災から、1週間近く経った。
…今回の震災に際しては言い尽せない思いがありすぎるので、敢えてあまり言及しないこととする。とりあえず無力ながらささやかな募金ぐらいはさせて頂いたが、今はただ少しでも被害が少なく済むこと、早く復興することを祈るのみである。

ほとんどは被害の拡大防止や復興に尽力してくれるのだが、その一方でこの災害に乗じて金儲けを企んだりする輩もなくはなない。心の弱みや被害につけこんであくどい商売をしたり勢力を広げようとする、火事場泥棒のような卑劣な輩たち。例えばAmazonでは、乾電池に数千円という法外な値段を付けているのを見た。また、悪意でなくとも有害無益な行動をとる輩はやはり有害と言わざるを得ない。

今回の震災に際し、日本ホメオパシー医学協会厚生労働省に「援助」を申し出ているようだ。ホメオパシーに効果がないことは常識であるし、彼らはもちろん心のケアのプロではないので、むしろ害となる恐れもある。この震災を機に勢力の拡大を試みているのではないかと勘ぐってしまうぐらいだ。

そこで、厚生労働省のご意見募集フォームから以下のメッセージを送ってみた。

××にて医師をしている者です。
この度の震災に際し厚生労働省の方々におかれましては、昼夜をおかず大変な業務に追われているものと存じます。国民の一人と致しまして、また一医療者と致しましても厚くお礼申しあげます。

さて表題の件ですが、日本ホメオパシー医学協会厚生労働大臣宛に現地での援助を願い出ているようです。(詳細は以下のURLをご参照ください)
http://jphma.org/gienkatsudo/20110315_miyagi03.html

まず、ホメオパシーに実際の効果がないことは既に科学的に証明されております。心にダメージを負った被災者に対してホメオパシーを広める行為は、混乱と弱みに乗じた卑劣な商行為であると言わざ
るを得ません。さらには医学的には全くの素人である彼らが行う「心のケア」により、被災者の方々のPTSDを悪化させてしまうことも懸念されます。

もし厚生労働大臣により許可を得た、あるいは黙認されたということになれば、結果的にホメオパシーに「お墨付き」を与えてしまうことを懸念します。もし明確に禁止しなければ、きっと彼らはそう
主張して自らの団体の宣伝文句として使うでしょう。

こういった件に対して明確に禁止とすることは難しかろうとは存じますが、上記の点をご配慮頂いた上で対応をご検討頂ければ幸甚です。

急いで書いたので粗雑な文章だが、厚労省の対処を期待したい。まあなかなか難しいんだろうが。