オッズからみる日本のGL勝敗予想
南アフリカワールドカップの組み合わせが決まりましたね。2ちゃんねる見てたらこんなのあって見入ってしまいました。
【サッカー/W杯】日本のGL勝敗予想…セルジオ越後氏「0勝0分3敗」 中西哲生氏「0勝1分2敗」 岩本輝雄氏「0勝2分1敗」★2
http://yutori7.2ch.net/test/read.cgi/mnewsplus/1260218836/
2010年南アW杯 サッカー解説者達による日本のGL勝敗予想1/3
http://www.youtube.com/watch?v=BvbklV-5ZwQ
皆さん、専門家だけあってそれぞれが興味深い意見です。んで、スポーツベットのオッズはどう評価しているのか気になったのでちょいと計算してみました。
オッズと確率
ギャンブルにおけるオッズとは確率の裏返しです。1/2の確率で起きる事象を賭けの対象にした場合、オッズは2倍となります。逆にオッズが3倍ならば、起き得る確率は1/3ということになります。(実際には運営側の経費+利益が組み込まれて、1/2の確率に対して1.95倍というように確率に対してやや不利なオッズとなるのが通常です。)つまり、オッズが分かれば確率も分かり、賭博市場がどのように勝敗予想をしているのかも分かるというわけです。
ちなみに数々のブックメーカーがそれぞれにオッズを出しますが、異なるオッズは裁定機会となるためいずれひとつに収束します。長年の経験を有すbookiesのみならず、近年ではbetting exchange市場の発展もあり、インサイダー情報も含めあらゆる角度からの情報が織り込まれます。最近賭博市場での利益を目的とした大掛かりな八百長が発覚しましたが、これは市場がかなりストロングであるという証左ですね。
現在のオッズからみる勝敗予想
そうは言っても半年後の試合です。どの国も代表メンバーすら確定していない状況ですからオッズはまだ固まっていません。しかしそう言っては始まらないので、現在のオッズを元に日本のグループリーグでの戦績を市場がどのように予測しているのか見てみましょう。2009年12月8日現在、グループリーグにおける日本の3試合それぞれのオッズは以下の通りです。
home | draw | away | bpp | |
---|---|---|---|---|
Japan v Cameroon (15:00 GMT) | 3.75 | 3.35 | 2.24 | 101.16 % |
Netherlands v Japan (15:00 GMT) | 1.61 | 3.6 | 6 | 106.35 % |
Denmark v Japan (19:30 GMT) | 2.1 | 3.25 | 4 | 103.39 % |
各試合は「home v away」という形で表記されています。日本はカメルン戦ではホーム、他2戦ではアウェイとなります。
一番右のパーセンテージはざっくりと言えば胴元の利益からくるオッズの歪みです。100%より上の部分が利益となります。逆に100%より小さな場合にはプレイヤーが必ず儲かる裁定機会が発生している状況となります。最終的には100%〜101%程度に落ち着きますので、まだオッズが安定していないことが分かります。
で、オッズの裏にある確率が以下。
日本 | 勝 | 分 | 負 |
---|---|---|---|
対カメルーン | 27.58% | 29.50% | 42.92% |
対オランダ | 15.93% | 27.52% | 56.54% |
対デンマーク | 24.61% | 30.00% | 45.40% |
で、勝敗予想を場合分けしてみると以下のようになります。
勝 | 分 | 負 | pt | prob. |
---|---|---|---|---|
3 | 0 | 0 | 9 | 1.08% |
2 | 1 | 0 | 7 | 4.34% |
2 | 0 | 1 | 6 | 7.52% |
1 | 2 | 0 | 5 | 5.69% |
1 | 1 | 1 | 4 | 19.32% |
1 | 0 | 2 | 3 | 16.16% |
0 | 3 | 0 | 3 | 2.44% |
0 | 2 | 1 | 2 | 12.23% |
0 | 1 | 2 | 1 | 20.21% |
0 | 0 | 3 | 0 | 11.02% |
2勝以上 12.94%
1勝 41.16%
0勝 45.90%
(0勝3敗 11.02%)
勝ち点5以上 18.63%
勝ち点4以上 37.95%
どうです?直感よりはマシな数字だと思いませんか?
1勝もできない確率が約46%と厳しい状況ですが、逆に言えば1勝以上の確率は約54%ということになります。世界の賭博市場では日本は1勝もできない確率より最低1勝はできる確率の方が高いと判断しているわけです。難しいと考えられているノックアウトステージ進出ですが、ボーダーとなりそうな勝ち点4〜5あたりの数字は意外に大きいです。20%なんて5回に1回ですよ。諦めるのは早すぎます。
また、
2勝以上 12.94% > 0勝3敗 11.02%
というのは興味深いですね。2ちゃんねるのスレッドを覗くと「日本は確実に3敗」的な意見は少なからずあるのですが、「確実に2勝以上」という意見は滅多に見ません。*1(あった場合には「これだからニワカは」と叩かれること必至かと。)が、命の次に大事なお金を賭けて意見を表明する賭博市場では2勝以上の方が3敗よりあり得るという判断を下しているんですね。
これは完全なる正解ではない
しかしながら市場は市場です。常に動いており、裁定機会はあれど、正解はありません。特にナショナリズムを煽りがちとなる国際大会では損得関係無しに自国に賭けるということも珍しくありません。例えば、日本vカメルーンの場合、同じ応援ベットでも日本円のパワーが勝る現状ではオッズを確率から歪めてしまうこともあります。まあ、そういう部分がおいしいんですけどね。
何にせよ、自分の予測に自信をお持ちの方は市場に参加すべきだと思いますよ。それが市場の予測精度を高めることになるんだし。
*1:両極端のレーティングしかできないという要因もあるのかもしれない。
http://jp.techcrunch.com/archives/20090922youtube-comes-to-a-5-star-realization-its-ratings-are-useless/