「ない」ことを理由にしない


これは『創造の原理』(日本経営合理化協会刊)にでてきた言葉です。
著者は佐賀大学学長の上原春男(うえはら・はるお)さん。
上原さんの設計による世界初の海洋温度差発電所が、2002年からインドで稼働。
夢のエネルギーが実用段階に入り、世界的に注目されているそうです。


上原さんは本書の中で次のように書いています。


どの分野でも、目立った業績を上げることのできない人は、
必ず、「カネがない」「設備がない」「人材がいない」などと
「ない」ことを理由にされます。
私は即座に「カネがないなら集めればいいでしょう」
「装置がなければ造ることです」と申しあげます。


日本で最初に鉄道をつくったのは、伊藤博文大隈重信です。
彼らは八方手を尽くして、イギリスの銀行から金を借りることに成功しました。
そして明治5年に新橋と横浜間に最初の鉄道を開通させました。
もし日本に金がないということで伊藤と大隈が鉄道の敷設をあきらめていたら、
日本の近代化は大きく遅れていたでしょう。


私が海洋温度差発電の実験を始めた当初、研究室には実験装置が全くありませんでした。
装置をつくるカネもありませんでした。
しかしどうしても実験装置を造りたかった私は、屑鉄屋に行き、
個人のカネをはたいて使えそうな材料を安くわけてもらい、
リヤカーに積んで研究室に運び込みました。
そして学生たちと手造りで、なんとか最初の装置を造って実験を始めました。


創造的な仕事をしようとする者は、じっとしていてはいけません。
とにかく行動することです。
行動すれば道は開けます。
行動すると協力者が現れ、支援者も現れるのです。



本当にそうですよね。
例えば人に会う。
それで何か成果が得られるかといえば、直接の成果はないかもしれません。
でも、その人が違う人を紹介してくれ、その紹介された人に会うことで成果が出る可能性もあります。
これは、最初にその人に会うという行動をしていないと得られない結果ですよね。


考えることも大切だけれど、考えたことを実行しないと結果はでませんよね。
私も一生懸命、行動しようとしているんですが、
時折億劫になったりします。
あなたはいかがですか?


この本は月刊トークス2002年5月号でご紹介しました。

 http://www.talksnet.jp/backnumber_2002.html#200205