プロ野球好きの日本人管理職は、プロ野球チームと企業組織を同一の職場として見立てることが多いようです。

この言葉は『ヒューマンリレーション・コンピテンシーの「威力」』(プレジデント社刊)に出てきた言葉です。
著者は立正大学心理学部教授の齊藤勇(さいとう・いさむ)さん。


齊藤さんは次のように書いています。


プロ野球チームの有能な選手二人を競わせると、互いにライバル意識を持ち、
切磋琢磨し、結果として二人の能力が上がり、チームは強くなります。


会社でも有能な部下二人を競わせて、能力を引き出そうとしているが、
うまくいかない、という管理職がいます。


プロ野球チームと企業組織を同一の職場として見立てることは間違いです。
というのも、野球は、一見「二人が競っている」ように見えても、
そこには「試合に勝つ」という共同で共通の目標が一本化されています。
三塁手一塁手がライバルだとしても、ゴロを捕った三塁手一塁手
取れないボールをわざと投げることはありません。


ところが会社の場合、ライバル同士、特に部や課が異なっていると、
試合に勝つためにワンアウトを協力して取るという、具体的で一本化された目的はありません。
もちろん、会社の発展という大目標はありますが、それは目に見えるものではありません。
そんな状態でライバル意識が剥き出しになると、一塁にわざと暴投するような
足の引っ張り合いが平然と行われることになりかねません。
会社ではライバル心をあおるのは得策ではありません。
むしろ、いかにライバル同士を協調させ、協力させるかに主眼を置くべきなのです。


いかがでしょうか?
あなたはプロ野球チームの監督のように振る舞っていませんか?
部下を競わせてはいませんか?


この本は月刊トークス2003年1月号でご紹介しました。
残念ですが完売です。
 http://www.talksnet.jp/backnumber_2003.html#200301