三度目の殺人

f:id:tally:20181223020526j:plain


犯人は捕まった。真実は逃げつづけた。

監督・脚本・編集:是枝裕和
撮影監督:瀧本幹也
美術監督種田陽平
衣装:黒澤和子
音楽:ルドヴィコ・エイナウディ


先が読めない展開にドキドキするし、否が応でも各登場人物の動きを予想してしまうことで、自分の指向や卑近さを覗きこまされるような作品なのだけど……。いかんせん食い足りなかったなー。

まず、徐々に明らかになっていく事実の断片が、全然予想を裏切ってくれない。全体的にほぼ予定調和なかんじ。役所広司演じる三隅に関して、是枝監督は「自分の理解を超えた存在」と語っているけれど、そういった観客への裏切りがないので、三隅の不気味さは半減してしまっているように思える。
「真実」が観客の思考に委ねられる映画だとしても、一応監督の中で「真実」を固定しないと、観客が思考を巡らせる意味がなくなってしまう気がした。

あと、福山演じる死んだ目のエリートがピュアすぎる。さんざん法廷戦術とか合理主義とか語っておきながら、簡単にエモに転落。ある意味ここに一番ビックリしたし、「イヤイヤイヤ……」ってなった。

『シン・ゴジラ』が「政治」を皮肉ったように、「法律」を皮肉った作品でもあるけれど、そういう面でもちょっと浅い。意外性のある抜け道とか目から鱗の実情なんかも特になし。『それでもボクはやってない』のほうが怖かったなぁっと思ってしまいました。


トータルで一番怖いのは斉藤由貴でした!ホントに!


★★★