ワックス布 <西ヨーロッパ・西アフリカ・アジア>

tam-tam2009-07-14

鮮やかな色合わせ、キッチュな模様が印象的な布は、機械化したろうけつ染めの技法による両面プリント。片面だけ直接染めた普通のプリント布とともに「パーニュ」と呼ばれ、西アフリカの女性が用います。

パーニュの意味には腰巻、布地、そして布の単位と3つの意味があります。腰に巻く分は1パーニュ=2ヤード、約180cm(幅は約120cm)。1反は6パーニュ。その半分の3パーニュで、女性のブラウス、腰巻、頭に巻きつけるスカーフの3点が作れます。

インドネシアのジャワ更紗がルーツとなるこの技法は、20世紀初めにオランダで始まり、後半には西アフリカの国々でも生産されるようになりました。現在、中国をはじめアジア製が進出しています。

写真の右上と右下は、最高級ブランドである、オランダ製。中の上はナイジェリア製。中下と左下はコートジボワール製。左上は中国製。

参考資料: 茂木佐和子「アフリカ屋」『アフリカン・モード』(サトー・コーゾー)所収/『更紗今昔物語―ジャワから世界へ―』(国立民族学博物館

カンガ <タンザニア>

tam-tam2007-08-11

タンザニアケニアを中心に東アフリカで用いられている一枚布。大きさは、約160cm×約110cm。綿100パーセント。通常2枚つづりで売られています。

19世紀中ごろ、ケニアの港町モンバサで、おしゃれな女性たちがヨーロッパ製のハンカチ状の布を6枚つないでまとったのが始まりとか。

デザインは、縁取りと中心の模様の組み合わせになっていて、モチーフは花や果物といった自然のものから、日常品、幾何学模様などさまざまです。

そして、中央の下のほうに、スワヒリ語の言葉が入っています。愛に関する表現、神への言葉、道徳的なメッセージ、スローガンなどで、選ぶときは、デザインよりも言葉のほうが優先されます。

イスラム教徒の女性は、服の上に、カンガの1枚を腰に巻き、もう1枚を頭からショールとしてまといます。エプロン代わりとして腰に巻く場合も多く、いろいろな着方や使い方があります。おぶい紐としてもよく使われています。

左は、「ウフル(自由)の灯」の記念カンガ。タンザニアでは、1961年にキリマンジャロの頂上にともされたこの灯を受け継ぐレースが行なわれています。メッセージは「愛とは平和が私のモットーです」。

中央の赤の地にポットの柄は、「けんかするならよそでして。私の前ではおとなしくしていなさい」。縁取りには、カンガに使われるモチーフでもっとも多いコロショー(カシューナッツ)がデザインされています。

右端のカンガの言葉は、「カラスは飼えない(自分勝手な人とは付き合えない)」。

いずれもタンザニア製。
織本知英子編『カンガ・コレクション』(ポレポレオフィス刊 連合出版)によると、かつては日本製のカンガが東アフリカに多く輸出されていたそうです(昭和初期に始まり、第二次世界大戦で中断、昭和50年代まで)。

ドンド(トーキング・ドラム) <ガーナ>

tam-tam2006-06-01

メッセージを伝える機能をもつ太鼓、トーキング・ドラムのひとつ。木の胴は砂時計型で、両端の同じ大きさの革の縁に、革ひもを渡して張っています。肩にかけて脇にはさみ、L字型で先が少し広がったバチでたたきます。胴のくびれをはさむ腕の力を強めていくと、面が張って音が高く、ゆるめると低く聞こえます。この音質の変化で、話し言葉の音調をなぞります。肩にかけたほうの手で、打面をたたいたり、ミュートさせたりもして演奏します。

セネガルのウォロフ語の名前は「タマ」、ナイジェリアのヨルバ名は総称が「ドゥンドゥン」(大きいものは「イヤイル」など個々の名称があります)と、地域によって呼び名が異なります。ちなみに、マリやギニアなどでは、「ドゥンドゥン」は、バチで演奏する低音担当の寸胴型の両面太鼓のこと。

バチを使わずに打って奏するという違いはありますが、近い楽器に、調(しらべ)緒をしめたりゆるめたりして音色を変える日本の「小鼓」があります。「つづみ」の語源はヒンディー語の「ドゥンドゥビ」といわれています。

直径20cm、長さ約50cm。