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Economics Lovers Live このページをアンテナに追加 RSSフィード

2008-11-09

[]ブログモードにした→やめた ブログモードにした→やめたを含むブックマーク

 ぶく魔に固定客の方から「ブログモードにして」というご意見をいただいたのでとりあえず変更しますたPermalinkが嫌いな言葉ですがw まあ、支障がなければこのまんま東で。→あれれ、日記モードにしたのをブログモードにすると過去のブクマが全部消滅。それではいくらなんでもあんまりなので元に戻しました。

[]原田泰・神田慶司『物価迷走ーインフレーションとは何か』 原田泰・神田慶司『物価迷走ーインフレーションとは何か』を含むブックマーク

 ご恵贈いただきました。どうもありがとうございます。先月終りから今日まで個人的に「原田泰祭り」状態な田中ですが、この新刊も興味深いテーマで、いまの「仮装インフレ+実相デフレ」(簡単にいうと石油・食料品高く、懐さびしい)がどのように金融政策にかかわっているのかを解説されていると思います。先日の岩田先生の本もそうですが安易な新書がものすごく激増中ななかで、原田さんの本はそれらと一線を画して昔ながらの専門的な議論にも使える高度な内容をやさしく解説されていて便利です。飯田泰之さんの『歴史で学ぶマネーの理論』や安達誠司さんの『脱デフレ経済分析』と併読されるとさらに威力を増しそうです。

[]いま読んでいるミクロ経済学の教科書 いま読んでいるミクロ経済学の教科書を含むブックマーク

 ちょっと必要あって読んでいるミクロ経済学の初級と中級レベルの教科書なんですが、僕は数理的な傾向のものよりもこういうシカゴ学派仕立というんでしょうか、実例に応用したものが好きですね。

Exchange and Production (Study Guide)

Exchange and Production (Study Guide)

 これに影響を受けたのが、原田泰さんの『経済学で考える』(日本評論社)だそうです。その原田さんの本はいまから23年も前のものです。最近は、『ヤバい経済学』のブレイクで、実例に経済学の応用をするものはすべてレビットらの本の延長と考えられがちですが、実際にはレビットたちの方がシカゴ学派的な応用ミクロ経済学の流れにあるようで(本人たちが意識しているしてないは別にして)、この種の試みは昔から実はいろいろあるんですよね。

 例えば原田さんの本の節題をあげてみると、「砂浜を二倍にする発明は無価値か」「ゴルフ場ではなぜ会員料をとられるのか」「日本の銀行はなぜ一等地にあるのか」「クジラ捕りは続けるべきではないのか」「バイキング料理は公平か」「犯罪者への賄賂は犯罪防止の近道ではないか」などいまでも十分ネタとしてつかえますね。一貫して人間の合理性からの考察が採用されています。

戦争においてすら人間の合理性を仮定することによって、有益な教訓が得られる。戦争の勃発に偶然的要素があるという指摘はむろん正しい。ヒトラーが狂気をもった人間であったこともたしかだろう。しかし、ヒトラーオランダに侵入しなかった。そこには、合理的な「戦争の計算」が働いたに違いない。「戦争の計算」について考えることは、国土を蹂躙されないためにも有益であろう。もし、人間の合理性を仮定しなければ、事実から学ぶことはなにもできなくなる。

[]内容無保証:諧謔的?金融危機用語集 内容無保証:諧謔的?金融危機用語集を含むブックマーク

 『週刊ポスト』の記事のために作成した元原稿。前の日に打ち合わせの飲み会(田中本人は打ち合わせと思わず旧知の編集の人とのただの飲み会だと完全に緩んで出たw)で、うんで400字で10枚くらいで金融危機の用語集の下敷き(ラフ)にしたいので「おっさん向けに比喩豊かに」書いてらぶ、といわれて大急ぎで書いたもの。なので内容は無保証。誤植・誤解・誤記・うんこいろいろあっても直さず放置。まともになったのが先週の週刊ポストに掲載されてるずら。

(補遺)かなり頻繁にネットの中で思うけれどもこんな大急ぎでかいた誤記だらけのただのラフメモにはてブがつき、昨日のそれなりに主張をもった『イーグルアイ』エントリーがスルー気味。本当に秋の深まりをしみじみと感じます。

サブプライムローン(及びサブプライムローン問題)

 審査基準がとても甘い個人向け住宅ローンのこと。どのくらい甘いかというと、所得や資産のない人にも喜んで銀行は融資していた。日本では考えられないこのようないいかげんなローンがなぜまかり通っていたのだろうか。それはブッシュ政権の低所得者層への政治的配慮によると思われる。持ち家を所有していない低所得者層に住宅を与えることが共和党の支持基盤を広げると期待したのかもしれない。そういう意味では一種の社会保障政策であり、ふつうの住宅ローンが厳格な連邦政府の規制をうけるのにもかかわらず、サブプライムローンは規制の甘い州政府の管轄をうけているローン業者によって提供された。グリーンスパンFRB議長もこのサブプライム・ローンの振興の旗振り役として知られていた。もちろんこんないいかげんなローンがいつまでも商売として成り立つわけもない。サブプライム・ローンを借りた人たちは返済もできず、また担保として提供すべき住宅の価格も大幅に低下することで、大規模な焦げ付きが発生した。返済可能な人にしか住宅ローンを提供しないようにという当たり前な規制が採用されたのは、やっと今年の夏からである。サブプライム問題を米国経済経済自由化の負の遺産だとみる人も多いだろう。おれはそうとも思わんけども(阿呆≒ブッシュはどこにでもいるというだけの話)。

・CDS

 サブプライム・ローンもこれだけみれば実はどうという問題でもない。ローンの焦げ付けが問題化したのは、カルフォルニア州などアメリカの一部の地域の話だった。しかし実際にはカリフォルニア州住宅ローンを保有していたのが、そこに住んだことも住む必要さえもないアイスランドの住民(ほかの全世界の住民でもいいが)たちであったことが、「サブプライム・ローン問題」を全世界規模の危機にまで押し上げた。その大きな原因は、住宅ローンの証券化である。これは住宅ローンの元利支払いの権利を市場で売却するということである。もちろんサブプライム・ローンの借り手は、本当に返済してくれるかどうかわからない人たちである。本当に元利支払いを受けれるかどうかわからない高リスクな証券といえる。しかし最先端の金融技術が、この高いリスクの証券を、他の低いリスクの証券とを絶妙に組み合わせることで、全体としてのリスクを分散させる証券を開発することに成功した。これを金融派生商品デリバティブ)という。高いリスクは高い収益をもたらす。しかし高いリスクも最新の金融技術のもとで、魔法のように低リスクで購入しやすい金融商品に衣替えをしたわけである。これの進歩した金融技術が、CDS(クレジット・デフォルト・スワップ )だと思えばいい。アイスランドなど世界各国の金融機関、証券会社などがこれをもとにした商品を喜んで取引した。本来は高いリスクを払わなければ手に入らない高い収益を、信じられないほどの低リスクで得ることができるからだ。CDSを基にした金融商品の取引は世界規模に拡大した。しかし比喩を使えばこれはメラミンを混入した牛乳のようなものだった。どんなに牛乳を継ぎ足しても、メラミンの絶対量が減るわけではない。むしろメラミン入りの牛乳や乳製品がどんどん世界中に分散していって大問題になったのに似ている。著名な投資家でもあり、ベストセラー『まぐれ 投資家はなぜ運を実力と勘違いするか』(ダイヤモンド社)の著者であるナシーム・ニコラス・タレブは、「デリバティブ取引は、沈没する運命にあるタイタニック号の乗客からタイタニック号の保険を買ったようなものだ」と形容している。

投資銀行

 その沈みいくタイタニック号ともいえたのがアメリカ投資銀行であった。投資銀行は、個人からの資産を預かりそれを運用する商業銀行とは違い、主に企業を顧客としてその資金の調達や運用を手がける証券市場のディーラーやブローカーであるといえる。ゴールドマン・サックス、モルガン・スタンレー、メリルリンチ、リーマン・ブラザーズ、ベアー・スターンズら投資銀行のトップ5は、アメリカの産業の代名詞ともいわれた。しかしそのアメリカの栄華の象徴であった投資銀行業は、わずかここ一年にもみたない間に事実上消滅した。ゴールドマン・サックスとモルガン・スタンレーは銀行持ち株会社に転換、メリルリンチはバンク・オブ・アメリカに買収、リーマン・ブラザーズは破綻、ベアー・スターンズはJPモルガン・チェースに買収されることで、投資銀行の時代は終焉した。

・リーマンは潰してもAIGは潰さない理由

アメリカ政府とその中央銀行であるFRBは、9月中旬にリーマン・ブラザーズの破たん処理、そして保険会社のAIG(アメリカン・インターナショナル・グループ)への公的介入を事実上決定した。なぜ投資会社であるリーマンをそのまま破綻させ、一方でAIGを救済したのか、これをめぐってアメリカでは激しい非難が起こった。ポールソン財務長官が元ゴールドマン・サックスのCEOであり、彼の個人的な思惑で裁量したのではないかなどと噂されるなど、政策当局への信認は激しく動揺した。実際の理由はそんな陰謀論のようなものではない。AIGの保有するCDSが4000億ドルの巨額に上るため、これによる信用不安を予防するために公的な資金援助を行うことを決めたものと思われる。それに対してリーマンの場合もほぼ同額のCDS残高があるものの、破綻懸念は今年初めから噂されており、米当局が余裕をもつていたこと、AIGの方は9月に破綻懸念が本格化するなど、タイミングの問題とも説明されている。ただ事後的な判断としては、どちらも救済するか、もしくはどちらも救済すべいでないか、基準をより明確にすべきであった。結果的に、市場もそして金融機関への資本注入を行う政府の金融安定化法案は下院で否決されてしまい、世界同時金融危機の幕を明けてしまった。

・LIBOR

 ロンドン銀行間取引金利という。「ライボー」と日本語表記されることもある。世界同時金融危機が懸念された9月下旬、この数値が平常よりも急激に高騰した。9月30日のライボーは2%台から一気に7%近くにまで上昇した。なんでこのライボーが重要なのだろうか? 意外におもわれるかもしれないが、銀行は取引するぎりぎりのキャッシュしか持っていない。銀行によってはその日の取引に必要なキャッシュを持っていないところもある。それをキャッシュに余裕のあるほかの銀行から貸してもらうのである。そのときのレートがライボーであり国際標準としての意義ももっている。これがいきなり高騰したということは、すべての銀行が他の銀行に資金を貸すほどの余裕を失っていることを意味している。このままライボーの急上昇を放置すれば、銀行に資金が不足することで預金者が不安になり銀行取付などに波及するかもしれない。このため各国の中央銀行は協調して大規模な資金供給に乗り出した。しかし、一般的にはライボーは知られざる存在だろう。ホワイトハウスの報道官記者会見で、「ライボーに詳しい人は手を挙げて」とうながすと、24人ほどの記者のうち挙手したのはたったひとりだったという<極東>ブログ経由http://finalvent.cocolog-nifty.com/fareastblog/2008/10/well-can-anyone.html)。

・信用リスク

 現時点でライボー自体はかなり低下した。しかし、他方でライボー(三ヶ月物)とと米国債3カ月物の利回りの差であるTEDスプレッド(T-bill(米国債)とEuroDollarの頭文字から作った略称)などの信用リスクを示す経済指標は現時点では高水準のままである。この信用リスクは、簡単にいえば資金調達がやりやすいかどうかを示しているともいえ(信用リスクが高いということは資金の借り手の返済不能の見込みが高まることを意味する)、この数値が高水準であるということは金融機関や企業にとって今後、資金調達の困難が高まる可能性を示唆している。信用リスクが高い理由としては、金融安定化法への信頼感の不足(不良債権の規模に対して資本注入の額が不足しているのではないか)が指摘されている。いまや、そもそもの発端であるサブプライム・ローンを借りに来る人たちの信用リスクよりも、ローンを貸す金融機関の信用リスクの方が高いかもしれないなどという皮肉もきかれる。(補)これ書いたときにくらべてだいぶ低下したよなあ。

・金融サミットと世界経済の今後

大統領選(終わったけどw)が終了後に予定されている金融サミットでは、金融危機への対処や世界不況への先進国間の協調政策が検討されるだろう。今回の世界金融危機で明らかになったことのひとつは、アメリカの住宅バブルが世界を破綻の危機に陥らせた「負のグローバル化」という側面をもつことと、その裏面であるが世界各国の政策当局が協調して事態の収拾に乗り出せる枠組みが存在し、それが金融危機の回避に効果をなんとかあげたことである。もちろんその世界協調の枠組みが今後とのうまく機能するのか、また日本だけは金融危機に関して協調的利下げを拒否するなど、非協調的態度が今後どのように評価されていくのか、日本の進路は国内の景気悪化とともに不安定要素を増していると思われる。

(補遺)とりあえずこのメモを書いたあとに日本銀行は利下げをしたけれども、いまのところ完全に世界的なリフレ競争から乗り遅れ。このままだと円高傾向は払拭されず、株価は低迷そして不況は深化。デフレデフレ期待がより強く定着し、日本銀行の戦力逐次投入という阿呆な戦略とともに三たび流動性の罠へ。そしてロスジェネニートやらの再生産などという非情な事態がさらに続き、金融政策に思い至らない世論は、またもや構造改革だとか大増税財政再建へと無限悪循環を繰り返し、日本が本当にだめぽ化していく罠。