日本経済思想史研究会「福田徳三とアリストテレス」

 日本経済思想史研究会http://web.econ.keio.ac.jp/staff/mkomuro/atoc-JET/index.htmlの例会で、「福田徳三とアリストテレス」という論題で報告することになった。この研究会(というよりもちゃんとした学会だが)はたぶん非会員は参加できないと思う(要確認)。

 シノドスの本『日本思想という病』での僕のパートは、現代と前世紀の最初の30年ぐらいまでの日本の経済学を、福田徳三と河上肇の対比で語ったものだった。いまは福田徳三論を書いているのだが、その重要パートというか、福田自身の未完のプロジェクト部分にあたるものを考察しようと思っている。

日本思想という病(SYNODOS READINGS)

日本思想という病(SYNODOS READINGS)

 日時:3月20日(土) 15:00〜18:15
会場:慶應義塾大学(三田キャンパス) 研究室棟A会議室
    現在正門付近の校舎を建て替え中ですので、東門から来られるのが便利です。
    (アクセスは、http://www.keio.ac.jp/ja/access/mita.html をご覧下さい)

第1報告 15:00〜16:30
   報告者:田中秀臣上武大学教授)
   論題 :「福田徳三とアリストテレス
第2報告  16:45〜18:15
   報告者:松島茂東京理科大学教授)
   論題 :「興業意見再考」

Ruth Towse:A Textbook of Cultural Economics

 ようやく日本銀行本の本文を脱稿した。ここ10年のまとめになっているので自分としてもよくもまあ飽きもせずに同じ問題をやっていると思う。まだあと十年くらい平気で満額回答までかかりそうな予感がして怖いのだが。

 それはさておき、今年は某大学で非常勤で「文化の経済学」の講義をもつかもしれないので、その準備に最新の文化経済学のテキストを注文したら、最近のアマゾンは不思議で、2〜3週間かかるという表示だったのに数日で届いた(他にも似たケースがあり)。まあ、早く届いて文句もないけど 笑

 さてこのテキストは文化経済学会の会長の手になる2010年刊行のできたてほやほや600頁もある大部な本。ハイカルチャーからサブカルチャーまで目配りをしていて、きちんと経済学の初歩的知識から無理なく学べる構成になっている。

 本当にお薦めできるかはこれから使ってみないと何ともだけど、例えば著作権の問題や芸術家の労働供給モデル、それに文化遺産の経済学など、類書ではあまりふれられていない問題が展望されてるのはやはりありがたい。

 Towse自身が文化経済学の会長講演でいっているけれども、文化経済学は長年、著作権の問題を正面きって扱ってなかったという。しかしいまでは日本でもこの問題は経済学的にも面白いものになっていると思う。

 もうちょっとフォーマルな分析があってもいいように思うけれども(大半が文章)、まあ、参考文献なんかでそこらへんは補うかな

A Textbook of Cultural Economics

A Textbook of Cultural Economics

最近のもやもやしたもののひとつのまとめ

もやもや問題をBaatarismさんがご自分の意見を踏まえて綺麗に整理。

 http://d.hatena.ne.jp/Baatarism/20100307/1267946014

 あとこれは僕の考えでは(最近は僕の知人も同じこと考えてたようで驚いたがw)、急速に「リフレ政策」が実現性を帯びてきたための、どれを実際のオプションにするかの戦術論の差異でしかない、ということではないだろうか。

 よく思想的にまとまった集団が、それの思想の「現実化」が近いときに、その戦術論・政治的な攻略法で四分五裂になることはしばしば観察される。まあ、ただネットでわりと発言する人たち(しかもごく少数)の間の意見の違いでしかいまのところなく、その違いも相手の主張を全力で制圧(笑)するほどのものでもない。

 なんといっても日本銀行とその周辺のエコノミストや経済学者、ネットでは嘘つきコンビなど、そっちの方がはるかに大変である。現実味を持ってきたとはいっても、その現実の中味も有力閣僚の口先リフレ介入レベルである。まだまだもやもやが本当のもやもやキタ―!になるには遥か先。

 それにもやもやとはいっても、リフレ政策はもともと効果がなければ次々に矢を具体的にかけられることが最大のメリットなのでそれほど深刻な対立ともいえない。

 まあ、正直、そろそろ先の話題にいきたいものであるよw

 つうか、下のエントリーの地道だけど重要な作業の成果読む方がよほどいいと思うよ。あと勝間・宮崎・飯田本、上念本、片岡本、僕のもw 実際にどれだけの人が読んでいるのだろうか、とはてブとか、この話題に関連したブログのコメント欄を眺めてて思う。ただ単にみんな安易になっているだけなような気がする。金銭的な問題があれば図書館で借りよ、もし時間がないというならそれは時間のうまい使い方を勝間さんに聞けw ぜったいコマ切れでもあるw ともかく本を読んでから、こういうもやもやとした議論をたしなむ、それが大人の生きる道(違 つまり読んでもないでネットの他人の意見にちょこまかコメントやはてブするのはもういいかげんやめたほうがいいんじゃないのかな、ということ。バカの見本みたいで読むに堪えないから

自分をデフレ化しない方法 (文春新書)

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日本経済復活 一番かんたんな方法 (光文社新書 443)

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デフレと円高の何が「悪」か (光文社新書)

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日本の失われた20年 デフレを超える経済政策に向けて

日本の失われた20年 デフレを超える経済政策に向けて

 ちなみに私の日本銀行本も本日、本文脱稿しましたわよw 上念さんの第二弾とともにしばらく登場までお待ちくださいw