馬淵澄夫前国土交通相の政権構想

 民主党の代表選を、単に小沢vs反小沢の二元論的な数合わせゲームでしか議論しないマスコミは、なんなんだろう、という素朴な疑問というか懐疑はぬぐえないここ数日ですが、馬淵議員は代表選に出馬意志を示しているなかでは、従来から(小沢鋭仁議員とともに)経済政策についての具体的な構想を抱いている政治家だと思っています。ここでは馬淵議員の政権構想を直接掲載することで紹介します。おそらくマスコミではこれほど詳細にはとりあげられてないでしょう。しかし国会議員の間では知られているものです。いいかえるとそういう政策の話を無視して、先ほどの二元論で語っていくというのがいまのマスコミの報道です。

 現時点では、代表選挙というのは単なる民主党の400人足らずの国家議員だけの話のように思えますが、個々の日本の政治家がどのように経済政策を考えているかを理解するのは、日本がこれからどこにいくのかを考えるうえでも将来大きく参考になるでしょう。僕は馬淵議員の経済政策、小沢(鋭)議員の経済政策ともに支持します。彼らの優れているところは、多くの「有力者」議員のように、政策の「ちょい食い」だとか間に合わせでとりあえずいうだけではなく、その政策を実行するために日頃から議員活動をしていることにあります。その意味では、金子洋一議員や山本幸三議員らデフレ脱却議連の方々にも大きく期待しています。

馬淵澄夫議員の政策構想

政権政策
〜慈しみの心で分かち合う国へ〜
 震災、経済危機、そして、地域や貧富の格差。いま人々の心に、不信と不安が渦巻いている。国難に直面した今、国民一丸となって復興に立ち上がれる国を作らなければならない。成長を取り戻し、国民生活を底上げし、格差を縮小し、日本国民がひとつになって、それぞれの役割を果たし、助け合う国をつくる。人に対する尊厳をもって、慈しみの心で、総和としての恵みの豊かさを分かち合う国へ。
1.二つの国家的危機を脱する
【①東日本大震災からの復興、原子力災害の収束】
○復興庁に強大な権限と独自財源を 各省縦割りを超えた強大な権限と独自財源を持った復興庁を年内に設置し、被災地に副大臣政務官を常駐させる。
○被災地に国家プロジェクト特区 地域分散型の電力供給、省エネ環境住宅、最先端の農業・医療等を世界に先駆けて実現する国家プロジェクト特区を、復興のシンボルとして被災地に設置する。
原子力災害対策を一元化、世界の英知を結集 原子力災害・放射能被害に対応する組織を一元化、世界の英知をも結集し、国が前面に立って事態の収束を果たす。
○国の責任で原発被害に対処 こどもや健康への影響、汚染がれきや土壌の処理、農林水産物への被害等に、国が最終責任を負い、大胆かつ迅速に対処し、最大の透明性・情報公開で国民のみなさんと国際社会からの信頼を取り戻す
○安易な増税に頼らない復興 1,000年に1度の天災から世代を超えて復興するとの観点から、その財源は長期償還の国債や無利子非課税国債等でまかない、安易な増税には頼らない。

【②世界経済危機からの脱却】
○積極財政で経済危機に立ち向かう 平成23年度第3次補正予算平成24年度予算は、急激な円高・株安や世界経済の不透明感を踏まえ、機動的に積極的な予算編成を実施する。
○大胆な金融緩和でデフレ脱却 長期デフレからの脱却と円高の是正を目指し、3年間の集中デフレ脱却期間を設け、マネーサプライの増加など大胆な金融政策を駆使してマクロ経済政策にあたる。
○経済の司令塔「経済戦略会議」を 主要閣僚、日銀総裁、経済界、労働界、学識者等からなる経済戦略会議を司令塔に、オールジャパンで経済政策の基本戦略を策定する。
財政再建社会保障の安定 2010年代半ばまでに経済を安定成長路線に乗せ、自然増収を確保する。その上で、中期かつ複数年を枠組みとする財政再建に着手し、医療、介護、年金等社会保障制度の抜本的見直しを図る。

2.世界の先頭に立つ地域分散型国家へ
○「脱・原発依存」、「国策から国責」へ 原子力発電所の再稼動には、新たな厳格な規制体制の下で安全性を徹底的に確保する。耐用年数の経過した原子炉は段階的に廃炉し、「脱・原発依存」のエネルギー政策へと転換する。再処理方針はまず凍結とし高速増殖炉もんじゅ等の核燃料サイクル政策は抜本的に見直す。
○「生活の安全保障」 地方の活性化に向け、農村の6次産業化再生可能エネルギーを活用した地域分散型の電力供給等に政策資源を重点投下する。日本の豊かな水、肥沃な土地、そして四季折々降り注ぐ太陽といった固有の資源を最大限活用した「未来型食料・エネルギー供給体制」を作り、そこから新たな環境調和型の産業を生み出し、地域分散・循環型の持続可能な産業を実現する。
○危機管理型「首都機能強化」と危機管理本部 危機対応のための専門組織となる危機管理本部(仮称)の整備、首都機能を強化し国家としてのサバイバル機能を強化する。また、首都機能バックアップ都市の整備を図る。
○日米同盟基軸にアジアの安全確保 日米同盟を基軸とし、新たなアジアの安全保障リスクに対応できる安全保障体制を構築する。海上警察権の見直し等により様々な事態に毅然と対応できる体制を整備する。
○経済重視の実利外交 米国、ヨーロッパとのバランスを取った経済連携を行うとともに、中国・韓国・ASEAN・インド等の成長を取り込むことが可能となるアジア中心の経済連携協定の締結を促進、人的交流を深めるなど、現実主義に基づいた実利外交を展開する。
○中長期ビジョンとしての「ひとづくり」「ものづくり」「くにづくり」 技術、環境、教育、観光等を、ニッポン復興の中長期の基幹として位置づける
3.「ねじれ国会」を超えるための国家のガバナンス強化
○ねばり強い国会運営 「大連立」について選択肢を排除するものではないが、現在の政権の枠組みを維持することを前提として、立法府たる国会において政策本位の丁寧な政党間協議を積み重ねる現実的対応を忍耐強く続けることから逃げない。
○政治主導確立のための機能強化 「国家戦略スタッフ」「政務スタッフ」として国会議員、官民の優秀な人材を政治任用する。これにより、政権交代当初に企図していた国家戦略局行政刷新会議等内閣周辺組織の機能強化を図る。
○政府と党の連携 各省の政務官の一人は国会との連絡調整に専念するものとし、党国対・政調とともに与野党間協議を行う。
議員立法の充実、政調での法案修正 政調の各部門会議では、野党とも協議しながら積極的な議員立法の作成、政府提出の法案の修正を行うこととし、役所からの報告や勉強の場に加えて、国会対応と一体となった緊張感のある実質審議の場へと役割を強化する。
○党の機能を強化、国の「営業本部」に 政調、国対を束ねる党執行部と官邸・政府の連携を緻密に行い、党執行部は会社で言えば「営業本部」として、一方で国民各層の意見を幅広く吸い上げ、また一方で政府の活動を報告し、各党との調整協議を行うなど対外関係を取り仕切る双方向型組織として機能強化する。

馬淵議員のブログhttp://mabuti-sumio.cocolog-nifty.com/blog/

小松左京氏の遺作を含む新しい日本の想像力の結晶、『3.11の未来ー日本・SF・想像力ー』本日登場

 手前味噌ですが、物語の経済学のイントロといえる小松左京論「物語というメビウスの輪」も掲載しています。AKB48ももいろクローバーZ、ガンダム、そして小松左京氏と出会い学び、この分野への関心と経験値をあげることに日夜努力しています(ももクロ風)。

 すでに発売前からかなり注目度が高い本作。読者の方々の反応が楽しみです。