村上尚己『新しいお金のルール』

 村上さんの第三作は、『日本人はなぜ貧乏になったか?』を原論とすると、デフレ脱却後の資産運用の変容を独自の「読み」を交えて解説したものです。本書の刊行に合わせるかのように日本の株価は大きく調整局面に入りました。これは僕の見解ですが、しばしばTwitterに書いてきたように、米国の経験に照らし合わせるとQE1で急上昇したNYダウが一時期大きく下落、その後長く“停滞”しました。そのような“停滞”というか調整期間が日本にも訪れたのかもしれません。ただ日本経済の場合はこのまま順調にいわゆる実体経済が回復していけば、株や為替レートもそれに応じた水準になるでしょう。

 このような調整期にこそ、村上さんのインフレ経済になった後の見通しが参考になってくるでしょうね。ちなみに戦前のリフレ派四天王の小汀利得も『インフレ経済時代』という本を書いて村上さんのように、デフレからインフレになる経済を描写したことを思い出しました。

 資産運用については、個々の判断でやればいいと思いますが、そのときの参考書となるでしょう。

不透明なインフレ経済を見通す 新しいお金のルール

不透明なインフレ経済を見通す 新しいお金のルール