『羊をめぐる冒険(上)』読了
まだ前半というのに、
「生命というコンセプトが根本にある」
というフレーズが頭から離れない。
困った。。。。。
- 作者: 村上春樹
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1985/10
- メディア: 文庫
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先日、この本を読み出したものの、少し読み進めたところで、そこから前に進めなくなっていた。
もともと、「物語性」が希薄だと思っている村上春樹の初期の作品だが、はっきりいって、物語性は必要なく、その1シーンの中で、形容される言葉1つ1つにつき動かされ、そしてシーンを想像してしまう。
わずか2、3ページの内容でも、2時間ドラマの脚本がかけてしまいそうな、そんな想像・妄想をしてしまう。
「別れて出て行ったばかりの妻、その妻のスリップを誰もいなくなった机の向かいの椅子の背もたれにかける」
この情景だけでも、心の衝撃は余りあるところに、出て行く間際となっても、冷蔵庫の残り物で食事を作り出す元妻。
なんとか冷静に勤めようとする主人公。
ちょっとした言葉の空隙に潜む、空気の重さ。
考えていくと、とてつもなく沈み込む。
しばらく、この調子の展開におびえて、その先を読むことができず、数日のブランクがあった。
しかし、ある章から、内容は突然物語性をおび、急展開する。
大袈裟にいえば、大洋の中で緑の島をみつけたように、私も救われた感じがして急速に読み進めた。
そして上巻の最後、
「生命というコンセプトが根本にある」
この言葉が、突き進むスピードに待ったをかけた、そして上巻が終わった。
下巻への布石なのか?
とにかく今夜はわずかの勇気をもって、下巻のページをめくってみる。