加計呂間(かけろま)島へ


朝5時半。
「早朝の鳥の声をききに....」と思って起きれば、外は昨晩遅くからの雨が激しくなっていて、とても外を出歩くような雰囲気ではありませんでした。
遠くに鳥のさえずりが聞こえてくるものの、雨音にかき消され、残念ながら再びベッドに潜り込んで、雨音を聞きながら二度寝を決め込みました。


ゆっくりと朝食を食べた後、さてどうしましょ。
午後からの予定は決まっているので、あまり長時間とれないし、天候もいまひとつ。
ウエットスーツを着てカヌーやスキンダイビングも寒すぎです。
せっかく目の前に加計呂間島が見えているので、せめてどんな島か渡ってみたい、そんな気持ちで部屋の前の桟橋から船で瀬相の港に向けて出発です。



ボートならものの10分もあれば着きそうに、すぐ近くに見えていた加計呂間島ですが、港のある瀬相は入江の奧深くで、20数分ほどかかって到着。
瀬相の港の前にはフェリー乗り場と待合所がありますが、船の時間でないようで人気もなく静かです。



車を借りて、まずはガジュマルの巨木のある於斎(おさい)の集落へ。
ここは到着した瀬戸内の瀬相から車で5分とかからない距離ですが、島の一番細い部分を縦断して、反対側の外海ともいえる海が見えます。




デジカメの中には一枚ではとうてい収まりきれない大きなガジュマル。
露出の違いで差があるものの、2枚の写真をつないでみれば、その大きさが良くわかります。




写真の手前にある碑にはかつて、映画「男はつらいよ」の撮影に使われた場所だということが書かれていました。
(第48作 1995年12月 「男はつらいよ 寅次郎紅の花」 浅丘ルリ子扮するマドンナ役の「リリー」とのシーン)




ガジュマルとならんで左側は真紅の花をつける「でいご」の木。
3月に旅した西表島では「でいご」の花が沢山咲く年は不吉なことがあると言われているようですが、こちらではどうでしょう。




野生化したランタナ
色々な色があるので奄美では「シチヘンゲ」とも呼ばれているらしいです。




はっとするほど大きく、また一瞬欄の仲間かと思う(実際はショウガ科ハナミョウガ属)この花は別名「月桃ゲットウ)」とも言われる「サネン」の花。
葉には防腐効果があり、この葉に餅などをくるむのだそうです。
サネンといえば昨年訪れた屋久島での夕食『トビウオのサネン菜包み焼き』を思い出します。




再び車に乗り、今度は呑之浦へ。
押角の集落へぬけるトンネルは入らずに、そのまま海岸線を少し進むと綺麗に整備された園地があります。




この石碑は『島尾敏雄文学碑』




第十八震洋特攻隊隊長であった島尾敏雄はまもなくの終戦のために命を落とすことなく、1986年11月12日死去までを関東や奄美大島、鹿児島の姶良で過ごしたそうです。




この入り組んだ奧にある呑之浦は、その地形的な利点から特殊兵器「震洋」を隠す基地として利用されていたそうです。






ジャスミンに似た蔓性の植物。



時間をみながら、もう一カ所、西阿室の集落へ。
こじんまりとした集落には子供達の遊ぶ声が聞こえ、大人は何とはなしに風の通る港の前に佇んで話をしています。
昔、いつかどこかで見たことのあるような、懐かしい風景に郷愁を覚えました。


ここの海は完全に外海。
晴れていれば夕陽がとても綺麗にちがいありません。



時間を気にしつつ再び瀬相の港に戻り、船で加計呂間島を後にしました。




『瀬相』『於斎(おさい)』『呑之浦』『西阿室』

より大きな地図で hatena diary用 を表示